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第20話 狸寝入りの代償

「……はぁ」 満月はベッドの中で悶絶しそうなくらいイチモツが反応していた。 美月が掛け布団を掛けてくれた時に起きてしまっていたのだ。 だから好きな相手が風呂に入っていた音も薄っすらと聞こえていたし、その人が自慰をしていた声すら漏れ聞こえていた。 美月は普段テノール調の聞きやすい声色をしているが、淫れた喘ぎ声になると途端に身体の芯に響くボーイソプラノになることを知った満月の身体が反応してしまうのは当たり前のことだった。 その人がこのベッドの上で一緒に眠る前に何としてでも鎮める方法を考えている矢先に、バスローブに身を包んだ本人が濡れた髪のまま部屋に入って、そのままベッドにインしてきた。 さすがにイチモツが苦しいままでは眠ることができないので、美月が眠ってしまってから抜け出しトイレで抜こうと考えた瞬間、静まり返った部屋にテノール調の声が響いた。 「眠れないのか」 「っ!!」 満月は反射的に身体を動かしてしまった。 「狸寝入りしても意味ないぞ?寝息じゃない息聞こえてるから」 そんなに息が上がっていたかと、満月は手で口を抑え、目を見開いた。 美月と視線が合い、反射的に視線をそらす。 が、露出した美月の脚を見て目を瞑る。 「抜いてやるから、さっさと寝ろよ?」 目を閉じていると履いているジーンズに手が掛かり、ジッパーを下ろされる音。 勇気を出して目を開くと、好きな人が自分を見つめながら下着をずらしていた。 美月は何のためらいもなく満月の変わり果てたイチモツに触れてきた。 「はぁ、はぁ、はぁ」 好きな人が自分のモノに触れ快感を与えてくれていることに、興奮してしまい息が上がる。 「本当にかわいいな、満月。お前とセックスするのが楽しみで仕方がないよ」 言われた瞬間を想像してしまい、満月は美月の手の中で果てた。 初めて人の手で、初めて好きになった人の手でイかされた満月は、今まで乱したことのないくらいの荒い息を吐いていた。 「いいこだな。そのまま目を閉じて眠れ」 あんなに心を乱したテノールの声色が今とても心地よく感じて、その人の言う通り目を閉じ眠りについた。

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