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第46話 大丈夫に見えるか?

防弾ガラスが割れた音から数分、若頭(ミツキ)派の組員達は組長(タイキ)派の組員達を制圧した。 その中には若頭派に寝返った組長派の組員もチラホラいたようだ。 矢を射られた痛みで蹲る大樹に目を配りながら美月は出来る限りの身だしなみを整えた。 「若頭、大丈夫ですか?」 古株の若頭派の組員が美月に手を差し伸べるが、跳ねっ返り若頭はその手を取ることはなかった。 「今の俺が大丈夫に見えるなら、お前にいい眼科を紹介してやるよ」 ボタンが全部弾き飛ばされたワイシャツに、町屋の処置で血塗れになったスーツ、大樹に蹴られ腫れる腹部、どうみても大丈夫そうには見えない。 だが大丈夫だと返事をされるかと思った組員は、美月の姿を見て、確かに大丈夫そうには見えないと自分の発言に反省する。 「すっすみません、若頭!!」 美月はそのまま自力で立ち上がり、防弾ガラスを突き破った矢を拾う。 先端は丸くなっているが、折れなかった矢を見て、満月の腕力が相当強いことを実感していた。 「思い切り抱きしめられたら死ぬかもな」 満月に抱きしめられ死ぬのも悪くはないかなと思ったが、流石にまだ死にたくはないと思い返した。 「美月さんっ!!」 息を切らして部屋に入ってきた人物を数時間ぶりに見て、美月は安堵し、張り詰めていた余計な身体の力が抜けていく。 満月の顔にも殴られた跡があったが、まだ余力がありそうな表情を見て美月は笑った。 「あぁ、……お前が無事で良かった」 本当に良かった。 そう思い駆け寄ろうとした瞬間、大樹の身体が動いた。 大樹は力を振り絞り満月の身体を押し倒し羽交い締めにし、持っていた拳銃を満月に向けた。 「全員動くなっ!!」

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