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第11話
僕は椿の言葉に茫然とした。
『椿』が枯れる?
「なんで?……それ嘘だよね」
「俺が嘘を言ってどうなると思う?」
椿は苦笑いで僕を見下ろしていた。
「なんで枯れるの?!病気なら植物の薬を買わないと」
焦って僕は椿の身体にしがみついた。
「俺は言ったよ。冬馬も父さんと母さんに伝えるんだ、約束だよ」
「伝える!!だから、椿が枯れる原因を教えてくれなきゃ僕は納得しないっ」
僕はとても混乱していた。
僕はとても焦っていた。
だって今まで僕の唯一の家族が、友達が失くなるから。
そんなこと見過ごすことは出来なかった。
「冬馬は優しいね。俺を心配してくれてありがとう。でも俺はしてはならないことをしたんだ。だから病気になった」
僕の身体を優しく包み込んで覆い被さると、……温かい椿の片手が頬を優しく撫でた。
「俺は人間……冬馬に恋をしたんだ。恋は『不治の病』だ。だから椿の木は病気になって枯れる」
そう言うと椿のイケメンな顔が僕に近付いてきて……椿と僕の唇が重なった。
椿の唇は植物とは思えないほど温かくて柔らかかった。
「最後の兄弟ごっこで、愛しい冬馬の唇に触れることが出来た」
椿はあまりにも優しく笑うから、僕の目から涙が溢れた。
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