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第12話

僕の唇が奪えて? その言葉に僕の顔が熱くなるのが分かった。 今、……椿は何て言ったっ?! でも、僕は少し納得できないことがあった。 それは何で『植物は人間に恋したらいけないのか』だった。 「僕は椿が家族で友達なんだ。それ以上に思ってるよ。だから僕もある意味恋をしているようなものだよね?」 「家族の好きと恋は違うと思うけど……」 「そんなことはないと僕は思う。だって最初は好きから始まったんだから!!」 僕は首筋の動脈部分に椿の片手を持ってこさせた。 「僕の僕の心臓の早さを知って」 高鳴る僕の心臓の早さを椿に知って欲しいと思った。 「……早いね」 「だよね?告白されて、好きな相手じゃなきゃ……僕はこうならないと僕は思う!!」 告白されたことは今までに一度、中学一年の冬に女子から。 僕はそのとき何とも思わなかったから分かる。 「椿がいなくなるなら、最後に思いを僕にちょうだい」 「……冬馬」 「思いを伝えるだけじゃダメだよ。何か形にするものを感じないと納得できない!!」 『僕がそうだから』分かる、椿の気持ち。 百%分かるわけじゃないけど、……それでも僕は椿に何かしてあげたかった。 今まで僕のことを見ていてくれたから。 「なら、俺は……冬馬と愛し合いたい。……交わりたい」 「……はい?」 椿は何とても恥ずかしいことを言ってるんだろう、そう思いながら表情を見たらとても真面目な顔付きだった。 「でも、やっぱりいい!!まだ子供の冬馬に無理をさせたくない」 真面目に言ったくせに、したいことを諦めるなんて僕が許せなかった。 だから、 「いいよ、僕はもう子供はやめるから。だからさ、椿の思いを形にしてよ」 売り言葉や買い言葉じゃない、これも僕が椿を思う形だから。

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