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第19話 儀式
角谷が、ベッドにバスタオルを敷いた。ゴムと、潤滑油代わりのボディミルクを用意する。
明日、大事な本番を控えている山野辺を傷つけないように、角谷は細心の注意を払った。時間をかけ、じっくりと山野辺の体を拓いてゆく。
お互いにパジャマやTシャツを脱がせ合う。すぐに一糸纏わぬ姿になった。
角谷は山野辺の素肌に手を這わせた。
「おまえにこんな風に触れられる日が来るとは思わなかった…。」
山野辺の身体のあちこちに丁寧に触れながら、それを追いかけるようにあちこちに軽いキスをする。頬に、額に、肩に、鎖骨に、そして胸に。
「そこ、やだ…」
山野辺が少しでも反応すると、角谷はそこを攻め続けた。何度も山野辺の胸の先を舐めしゃぶり、逆の頂きは手で捏ね、撫でた。そこがぷっくりと立ち上がるまで。
ようやく胸から顔を離すと、今度はねっとりと口付けながら、勃ち上がった山野辺の分身を握り込んだ。先端を刺激し、上下に扱きあげる。
山野辺の喘ぎは、角谷の口中に吸い取られた。
刺激に耐え切れないかのように、山野辺の身体がびくびくと震えて。
やがて、角谷の手の中で山野辺が弾けた。
山野辺の放ったものを、角谷は丁寧になめとった。山野辺の目をじっと見ながら。
「おまっ、なにして…」
角谷がにやりと笑う。
「うつ伏せになって。」
言われるまま、山野辺がうつ伏せる。背後で、角谷がボディミルクを絞り出すのを感じ、山野辺は身を硬くした。
角谷の指が、入ってくる。ゆっくりゆっくり。あちこちを探りながら、慎重に。
「…痛くない?大丈夫?」
「大丈夫…だ、けど…」
違和感がすごい。
「指、増やすよ。」
少しずつ少しずつ、角谷が侵食してくる。少しずつ少しずつ角谷に侵される。
「…あ。」
角谷の指がそこをかすめた時、山野辺は思わず声を漏らした。
「…ここ?」
「…う。」
角谷の指が何度も何度もそこを辿る。
粘着質な音を立てて、角谷の指が出し入れされる。
「あっ…あ、かどや、そこは…だめだ、…あぁっ!」
今までの刺激の比ではない。
立て続けに訪れる大きな快感に耐えきれず、山野辺が腰をくねらせる。振り返って縋るように角谷を見上げた。
角谷の瞳が熱を孕んで山野辺を見つめている。
それでも、さらにそこを丁寧にほぐす角谷に、どれだけ時間が経ったのか、山野辺にはもうわからなくなった。
「もう、大丈夫か…?」
堪えきれないように、角谷も切羽詰まった声を出した。
「挿れるよ。」
角谷が宣言する。うつ伏せのまま腰だけ上げた格好の山野辺のそこに、角谷の熱があてがわれる。
「…待って。」
全身蕩けきった山野辺が、なんとか頭を起こし、角谷の方を見た。
「かどやの顔が見たい。」
「…でも、バックの方がおまえの負担が少ない。」
「いやだ、かどやの顔を見ながらがいい。」
何を言っても引き下がりそうにない山野辺に、
「…分かったよ。」
苦笑しながら、角谷が山野辺の身体をそっとひっくり返した。腰の下に枕を挟む。仰向けに寝そべった山野辺の膝の裏に手をかけ、両脚を大きく開かせた。
「いくよ。」
少しずつ少しずつ、角谷が入ってくる。
山野辺はシーツを掴んで、その衝撃に耐えた。
「息、吐いて。」
「…うん。」
角谷にゆっくりと愛された身体は、素直に角谷を飲み込んでいく。
「はいった。」
ほっとしたように角谷が言い、両手を絡ませ合う。身体が馴染むまでしばらく待って、
「動くよ。」
やがて角谷がゆっくりと抽送を開始した。寄せては返す波のように。
揺さぶられ、ナカの一点を的確に刺激される。同時に、耳殻や首筋や、赤く色づいた胸に舌が這わされる。山野辺もまた、おのれがゆっくりと勃ち上がるのを感じていた。
「かどや…、愛してる。」
思わず笑顔で呟いた一言に、角谷が中で大きくなった。
「おまえ…、破壊力半端ねえな…!」
繋がったまま身体を折った角谷が山野辺を抱きしめ、口付けてきた。口腔内を余すところなく蹂躙される。
角谷の腰使いが荒くなった。
「かど…や…、もう、だめ…も、むり…」
山野辺の息が上がる。開きっぱなしの口から唾液が溢れる。
「おかしくなる…」
角谷がさらに激しく動く。
「なればいい。俺でおかしくなって。」
山野辺の感じるところを狙って、何度も自身を叩きつける。
「山野辺、イくよ。」
角谷の腹にこすられ、だらだらと汁をこぼす山野辺の分身を、 角谷の手が握り締め激しく上下する。
「かどや、おれ、も…」
あまりにも翻弄されすぎたのか、山野辺はいつの間にか涙を流していた。
「一緒にイこう。」
角谷がその涙を舐めとる。
山野辺を握り締めた手が、腰の動きと連動して山野辺を攻め立てる。
「あっ…!」
再び山野辺が弾けた。その快感に山野辺が角谷をひどく締め付ける。
「…くっ…!」
堪えきれないように角谷が呻き、ひときわ深く山野辺を穿って熱を放出する。
角谷は、イくときの顔もかっこいいんだな…
角谷の熱をナカに感じた山野辺は、そんなことをぼんやり思いながら、気を失うように眠りについた。
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