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第3話 逃走失敗

俺が目を覚ました時には、アルバールは見当たらなかった。 見回すとそこは洞窟の中で、起きても日本の我が家でない事に落胆する。 「ぅうッ……」 身体はサッパリしていたが、少しでも身動ぎをすると、奥に放たれたアルバールの精子がお尻からトロトロと流れ出るのを感じた。 俺は素っ裸のままだったが、ともかくこのままここにいればまた何をされるかわからない。 幸いにもベッドの横に俺の着ていた服が畳まれて置かれていたので、慌ててそれを着る。  パンツやズボンが精液に塗れて気持ち悪いし洗濯もしてないけど、そんな事言ってられない。 ここから逃げようにもジャングルサバイバルの知識なんてなくて、何を持ち出して良いのかわからず、ともかく確実に必要な水を確保しようとアルバールが水を汲んできた洞窟の奥に一旦足を運んだ。 奥には綺麗な澄んだ泉みたいなものがあって、見ているだけで気持ちが浄化される様だった。 こんな状況でもなければ、飽きるまで眺めていたいのだけど。 俺は、水筒がわりに使えそうな容器を拝借してそれに水を汲む。 ふと泉の横に、木の実やら肉やらともかく食糧と思われる物が大量に置いてあって、それを見た瞬間にぐううう、と俺のお腹が鳴った。 ……これ、アルバールの食糧だよな? 一人分にしてはかなり多いから、少しくらい頂いてしまっても良いかな…… 罪悪感がわいてやっぱり止めとこう、と思ったけれども、頭を振った。 いや、俺はレイプ被害者だ。 これ位貰う権利はある! ……多分。 ふとアルバールの優しい眼差しを思い出して、泣きそうになる。 ……良い人だと思ったのに。 俺の勘なんて、当てならない。 そうだ、そもそも人を見る目があるなら、友達付き合いももう少しは上手くいって普通に高校も通えていたかもしれない。 ぼんやりそんな事を考えながら、食糧を運ぶための布らしきものに、生でも食べられそうな果物をいくつか失敬して、洞窟を後にした。 洞窟を出ると、とっくに日は昇っていて、少なくとも朝ではない事が容易にわかった。 この洞窟は、鬱蒼としたジャングルの中にぽつりと佇む祭壇から繋がる車一台は通れそうな道を道なりに歩き続けた途中、目立ちにくい岩場の脇の横道に入った先にあった。 俺は広い道まで出ると、祭壇の方とは逆向きに歩いていく。 確かVRゲームの中でも、この道を真っ直ぐに歩いて、とある部落から祭壇の隠しイベントに進めた。 だから、この道を行けばいつかは部落へ辿り着ける筈……だった。 「嘘だろ……」 俺は、頭を抱えた。 何回この目立つ真っ直ぐな道を先に進んでも、必ずあの祭壇に辿り着いてしまうからだ。 日没はもうすぐだというのに、人の足で何時間も歩いた筈なのに、俺は再び道の先に祭壇を見て愕然とした。 昨日アルバールが処置してくれた足に巻き付けた葉っぱもボロボロになっている。 もしかして、富士の樹海のように自分が迷っているだけなのかと思い、蔦を結んで目印をつけたが、先に進む限り自分のつけた印はないのに祭壇へと続いていた。 逆に、実は似たような祭壇がいくつもあるのかと思い、祭壇の一ヶ所に目印として葉っぱを石で抑えて置いてからそこを後にすると、次に現れた祭壇には俺のつけた目印がそのまま存在していたのだ。 あまりにも現実離れした現象に動揺する。 ……これは、どうしたら良いのだろう。 もしかして、この祭壇は実は呪われていたりとかして、その呪いを解かない限りは祭壇から離れられないシナリオとかに巻き込まれたのだろうか? 不安と恐怖に苛まれながら、俺はキョロキョロと辺りを見回す。 唯一ラッキーだった事は、何度祭壇にたどり着いてもアルバールには遭遇しなかった事だ。 もう俺には興味を失って、洞窟の中で休んでいるのかもしれないし、もしかしたらこの道以外の道があるのかもしれない。 ……そうだ、洞窟だって横道から入るのだ。 もしかしたら、他に横道があって、そこからならこのおかしな空間から脱出出来るかもしれない。 そう思った時だった。 「セイヤ!!」 慌てた様子のアルバールが祭壇の一番上から俺を見下ろしながら、一段一段が大きい階段を駆け降りてくるのが見えた。 俺の肌がゾワリと粟立ち、咄嗟に踵を返してアルバールから逃げ出す。 横道、横道……!! 広い道では直ぐに見つかってしまいそうで、俺は足の裏が悲鳴を上げるのも構わず横道を探した。 ……あった!! 振り向けば、まだアルバールの姿は見えない。俺はさっとその獣道の様な横道に逸れた。 しかし、直ぐにそれを後悔する事になる。 「うわっ!!」 木々がざわめいたかと思えば、俺を通せんぼするかの様に勝手に枝が動いたのだ。 正直、腰を抜かしそうになった。 植物が勝手に動くなんて、漫画や映画ではあっても良いけど実際に体感するのは心臓に悪すぎる。 「通せ、通して、くれっ……!」 枝を掻き分けながら先に進もうとしたが、意思を持ったかの様にその枝は俺の身体に巻き付いてきた。 通せんぼレベルならまだ良かったのだ。 「なっ……! 離せっ! 離せよっっ!!」 俺が身体に巻き付いた枝を剥がそうとすれば今度は手首にまた別の枝が巻き付き、俺は最終的に蜘蛛の糸に絡めとられた昆虫のように身動きが出来なくなった。 ……どんな罰ゲームだ、これ。 まさかこの植物、人間を食べたりしないよな? と考えて、こんなおかしな世界ではあり得ない事でもないと思い至り、恐怖で俺は再び暴れる。 しかしどんなに俺が暴れようが意に介すことなく、また種類の違うぶよぶよとした枝が身体を這い、あろうことか服の隙間からうねうねと入り込んできた。 鰻に身体をまさぐられるって、こんな感じだろうか? そんな明後日な思考を巡らせている間にも枝は確実な意思を持って、俺の性的な部分……乳首やペニス、そして昨日突っ込まれた肛門目掛けてぬめぬめ這い回ってきた。 「やめろって……っっ!! 抜けよ! 俺は男だーっっ!!」 だー、だー、だー……と、俺の叫び声が木霊する。 「セイヤ! セイヤ!!」 俺を呼ぶアルバールの声が聞こえて、やむなく返事をした。 「アルバール!」 このままこのいやらしい動きをする枝に身体を弄ばれるか。 全く動けず、誰にも見つけて貰えず餓死するか。 それとも一旦アルバールに助けて貰うか。 俺は結局、アルバールから逃げたにも関わらず、本人に助けを求めた。 「うっ」 アルバールの名前を呼んだ俺の口に、仲間を呼ぶなと言わんばかりに、ぶよぶよとした枝の先っちょが入り込む。 気持ち悪くてそれを思い切り噛んだら、風船の様にパシャっと割れて苦いのに甘い、変な味のドロリとした液体が喉の奥に滑り込んでしまった。 「おえっ、ぺっ! ぺっ!」 「セイヤ!」 吐き出そうとしても、変な植物に身体を拘束されていて上手く出来ない。 毒だったらどうしよう、と泣きそうになった時、全身がどんどん熱くなってきた。 「う……は、ぁ……っ」 「セイヤ! तुम ठीक तो हो न?」 アルバールの焦った、心配そうな声が徐々に近づいているのはわかったが、身体の内側から溢れる熱で、俺はまともに返事が出来ない。 「はぁ……っ」 額に汗が滲み、勝手にペニスが勃ちあがる。 昨日散々掘られた後孔が刺激を求めて勝手にひくつく。 「なん……こ、れぇ……っ♡」 ぶよぶよの植物が勃起した俺の乳首やペニスに巻き付いたのだが、それが堪らなく……気持ち良い。 はーっ♡ はーっ♡ と息が荒くなり、俺の性的欲求がピークに達した時、俺の視界の中にアルバールが現れた。

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