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第20話 猫、自分に嫉妬する

「せっかく恋人になれたんだから明日は研究じゃなくて二人で楽しいことしたい。その……そんなに気に入ったなら、ねこ耳とねこしっぽのアクセサリーくらいつけてやってもいいし」 大サービスでそう言ってやったのに、トルスは不満そうな顔をする。 「作り物に興味はない。ローグの甘えるみたいにスリスリしてくるしっぽとか、興味いっぱいでピーンと立ってる耳とか、ホント犯罪的な可愛さなんだぞ」 「あ、そう」 「絶対に本物がいい」 確固たる意思でそう言い切るトルスにちょっと引く。僕が今腕の中に居るってのに、なんか失礼な話だ。 「猫の方がいいわけ? なんなら今すぐ猫になろうか?」 つい拗ねた声を出したら、トルスは優しく僕の頭を撫でてくれる。 「バカ、人間のローグが一番に決まっている。戻れなくなるくらいなら二度とあんなことさせない」 「うん。人間の僕も、ちゃんと可愛がってよね」 「当たり前だろう……!」 「明日は研究しないで、僕といちゃいちゃしてくれる?」 渾身の上目遣いでトルスを見上げたら、目がバチッとあった後、トルスは大きく息をついて片手で目を押さえ天を仰いでいた。 「お前、ほんっとーに! 可愛いな」 ちゅーっと、トルスが熱烈なキッスをくれる。 「全力で可愛がる!」 勝った。言質をとったぞ。これで明日のトルスの時間は僕のものだ。一日中トルスといちゃいちゃしてメロメロにして、僕の虜にしてやる! と鼻息荒く決意した。 でも、とりあえずはその前に。 僕はお風呂の中でゆったりしているトルスの大切なところにお尻をスリ、と擦りつけながらトルスに可愛くおねだりする。 「ねぇトルス、僕、またエッチな気分になっちゃった……」 「え?」 「明日まで待てない、もう一回、しない?」 問答無用でトルスの唇に僕のぷっくりした唇を押し当てる。中に入れて欲しくてかたく結ばれている唇をつつくけれど、なかなか唇を開けてくれない。乳首をキュ、と摘んでやったら簡単に唇が開くから、僕はすかさず舌を捻り込んで、でも舌を巻き付けたりするのはグッと我慢してねだるように舌をくすぐった。 しばらくそんな風にソフトタッチで舌を触りつつ、トルスの大切なところにお尻をスリスリするのを続けていたら、お尻に硬い感触が食い込むようになってきた。 同時にトルスの舌が絡まってきて、僕の舌を擦り上げる。 ああ、気持ちいい……。 濃厚なキスをたっぷり楽しんで、唇を離す頃には、トルスのアソコはすっかり大きく硬くなっていた。 「小悪魔め……!」 「えへへ、その気になってくれて嬉しい」 「まだゴムもないのに……俺はお前を大事に抱きたいんだ。頼むから準備くらいさせてくれ……」 「僕はそういうのなくてもいいから、トルスとラブラブぐちゃぐちゃドロドロになるくらい気持ちいい事したいけど。だってプロポーズしてくれたし」 そう言ったら、トルスはボッと真っ赤になって「ホントもう、無理だ……」と呟いた。 もちろんそのままたっぷり気持ちよくして貰って、翌日も声が枯れるくらい可愛がって貰ったのは言うまでもない。 あれから一か月、僕はトルスと一緒に住むための家を探していた。 ホントは四六時中一緒にいたいくらい大好きだけど、国立魔術研究所なんていうお堅い職場でいちゃいちゃするわけにはいかないし、寮でトルスの部屋に日参するのも風紀上問題があるからね。 やっぱり気兼ねなくトルスと一緒にいるためにはこうするのが一番だから。 できれば家探しもトルスと一緒にやりたいけど、僕のダーリンはまだあの『猫になる呪い』の研究に忙しいからしょうがない。 家具とか生活に必要なものも、『金は出すから好きなものを買っていい』って言われてるし、トルスが引くくらいめっちゃラブラブで暮らせるような設備にしてやる……! そう決意した僕は家を何軒か内見して、僕たちの職場である国立魔術研究所からあまり離れていない場所にこじんまりした家を見つけた。 部屋数は少ないけど、どうせひとつのベッドで寝るんだし問題ない。 とりあえず二人で暮らすのに困らない程度に家具を運び入れてもらったら、一気に実感が湧いてきた。一番気合いを入れて選んだのはもちろんベッドで、丈夫で、おっきくて、寝心地いい最高の物を用意した。トルスと一緒に使うのが楽しみで仕方ない。 ワクワクしながら寮に戻って、スキップしそうな勢いでトルスの部屋に急いだ。 トントン♪ と跳ねるようにノックしてカチャっとドアノブを回す。いっつも「勝手に入れ」って言われてるから、もう待つ気もない。 「あのね、トルス」 「ローグ!」 部屋に入るなり、机に齧り付いている筈のトルスに話しかけたら、トルスがめちゃくちゃいい笑顔で振り返った。 いきなり、なんか呪文を唱えられて、僕は目をパチパチと瞬かせる。 「え、なに? なにしたの?」 何も変わった様子もない。でも、トルスは引くくらい小躍りして喜んでいる。 「成功だ! 素晴らしい!」 「え、マジでなに?」 「見てみろよ、すごいぞ!」 グイグイと押されて鏡の前に連れていかれた僕は、さすがに笑った。ニャンコの耳、生えてる……! コイツ、ついにやりやがった。執念がスゴイ。 トルスが僕にこの呪いをかけたってことは、多分完璧に解除できる状態になったかつ既に自分で何回かは試しているに違いない。トルスはそーゆーヤツだ。 「頼む! しっぽが生えてるか見せてくれ……!」 珍しく懇願してくるトルスに、僕はニッコリと微笑んで見せる。研究が完成したってことはこれからはもっと自由に時間を使えるって事だもんね。それは僕も嬉しい。 すっかりご機嫌になった僕は、意味ありげな目でトルスを誘う。

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