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二日目
トントンと扉をノックする音が聞こえる。まだ眠たい瞼を擦りながらベッドから起き上がると、部屋に橘先生がいた。
「よく眠れた?」
自分は欠伸をしながら答えた。
「眠りすぎた感じがします」
「沢山寝る事は身体にも精神にもいいから大丈夫だよ」
いい香りがすると思って部屋を見渡すとテーブルの上に食事が乗っていた。
「ご飯を持って来たんだ。そろそろお腹が空くかなと思って」
とてもありがたい。ちょうど今お腹がなりそうな所だった。
「今日はお雑炊にしてみたよ。」
わくわくしながらテーブルにつく。今日もとても美味しそうだ。
「ちゃんと冷まして食べるんだよ?この前みたいに火傷しちゃうからね」
スプーンを持って口に入れようとした時に言われてしまった。危ない危ない。
しっかりと冷ましてから頬張る。きのこのお雑炊だ。今日も橘先生が作るご飯は美味しい。
食べている間、先生はずっとこちらを見ている。また火傷をしないか心配なのだろうか。
「ご馳走様でした」
やはりまだ少量しか食べれないが満足感は充分にある。先生に感謝だ。
「俺は食器を片してくるよ。寝る準備をしておくんだよ?」
そう言って扉の向こうへ。
椅子から立ち上がりベッドに向かう。
コツンと足になにか当たる感じがしてつまづきそうになった。何も無いのにつまづくなんて、これも記憶喪失のせいか?と自虐した。
ベッドに転がると橘先生が戻ってきた。
「ちゃんとベッドに戻れて偉いね」
自分はムッという顔をして
「自分は子供じゃないです」
と文句を言った。
「そんなことを言える元気があるのはいい事だね、じゃあ今日もよく寝るんだよ?」
そう言って先生は灯りを消した。
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