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三日目

今日は志狼先生が来る前に目が覚めた。あまりよく眠れていない気がする。いや、逆に眠りすぎなのだろうか、少し体が痛い。  腕を上にして伸ばしているとノックの音とともに先生が部屋に入ってきた。 「あれ、今日は起きるのが早いね」  先生が来るより先に起きれたことを誇らしげに 「今日は早起きなんです」  そう言うと先生は少し考えて、言葉を詰まらせているようだった。  もしかして自分が起きると同時に食事を持ってきたかったのかな? 「早起きはいいことだね、今食事を持ってくるから少しだけ待っていてね」  扉から出ていく。  暇だな、なにか面白いことが無いかなと足をぶらぶらさせているうちに先生が戻ってきた。 「今日はリゾットだよ」  香りでわかる。チーズリゾットだ。自分の好きなものが出てくるなんてさすが志狼先生だ。 「これすっごく好きなんです。嬉しい。」  駆け足でテーブルにつくと先生は何も言わずリゾットを置いてくれた。 「今日はいつもみたいに火傷しないですよ」  そう言ってしっかりと冷ましてから頬張る。  本当に美味しい。やはりチーズは最高だ。  いつもよりすぐに食べ終わってしまった。物足りなさはあるが腹八分目というところだ。 「ご馳走様でした」 「じゃあ片付けるね」  今日の先生はいつもより素っ気ない気がする。どうしてだろうか。  少し待つと志狼先生は戻ってきて今日はちょっと早めに寝ようか。  不満はあるが先生の指示なのでしっかりと聞かなければならない。 「分かりました……おやすみなさい」  そう言うと灯りを消して先生は扉の向こうへ。    だが自分はそこで終わる男では無い。今日は夜更かししてしまおう。  常夜灯をつけて部屋をぐるりと見渡す。最初に見たように本当に何も無い部屋だ。せめて時計があればなぁ。  仕方ないのでベッドの周りをグルグルと歩いてみる。うーん。  ベッドの下を覗いたらお化けが出てきたりして。少しの好奇心でベッドの下を覗こうとする。  ……やっぱりちょっと怖いかもしれない。  少し悩んだあとベッドの縁に手をかけ勢いよく覗くことにした。  三……二……一……今だ!  ずるっとベッドの縁から手が滑ってしまった。あ、これはちょっとやばいかもと思って意識を手放した。     「痛い……」  そう呟いて僕は目を覚ました。  あれ……確かさっき頭をぶつけて……。  意識が戻ってくる。ベッドに手をかけジャラジャラと鳴る重い足を動かし灯りを付ける。 「また意識を飛ばしたのか。最悪だ、何とかしないと」  トントントン  扉を叩く音がする。どうしよう。どうにかしなきゃ。    逃げなきゃ。    ギィという音と共に扉が開かれる。そこには志狼が立っている。

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