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第1話 若のお仕事
僕の夜用アンドロイド『惟織の若い頃』通称、若。
ハンサムな金髪で深青色の瞳。
誕生日プレゼントに父から贈られたもの。
それはいいんだけど、“夜用”って何?
第1話
若のお仕事
夕食を終え、宿題も終える。その間、若はずっと側で待っていた。
「若、一緒に寝よう?」
寝る準備が出来たベッドで、枕を抱いて若を誘う。
「……これは……結惟様から誘っていただけるとは思いませんでした」
若はフワリと笑みを浮かべる。
本当に綺麗な笑い方するよね……。
「結惟様がその気なら、お話は早い。さぁ、どうぞこちらへ」
「……へ?」
僕は首をかしげた。
一緒に寝ようと誘っているのに、若は本棚の所へ向かい、僕を呼ぶ。
「なぁに若?」
僕が側へ寄ると、若は本棚の一番上の隅に置かれた辞書を、グイと押し込む。ガタガタ音を立て、本棚がずれた。その奥には一つの扉。
「わあっ、何これ!隠し扉っ?」
凄い、知らなかった。
若は扉を開けて僕を招き入れる。部屋の中には大きなベッドが一つだけあった。
「若……何ここ?」
扉に鍵をかける若に問う。
「ここは結惟様のセックスルームでございます」
若の言葉に固まる。
セックスルーム…?
「な、何それ?」
「私がここに来たのは、結惟様をお抱きする為です。研究のためのデータ採取が目的ですが、惟織様がそうしろと」
……ええっと……つまりどういうこと?
データ採取のために、抱く?
「ここで結惟様をお抱きして、それを部屋中にありますカメラで撮影し、体温や情緒の変化を、惟織様にお送り致しますので」
「AVじゃんっ!!」
僕は声を張り上げる。
父さんってば、何考えてるんだよっ!
データ採取のために、息子のAVが見たいとか、変態っ!
「さぁ結惟様、こちらへ」
怒りしか込み上げてこず、差し出される若の手を弾く。
「嫌だっ! バカなこと言うなよ! 誰がするかそんなことっ! ここから出してっ!」
反抗する僕に、若は一瞬冷めた目を向けた。しかしすぐ笑顔に戻る。
「結惟様……。あまり困らせないで下さい……」
「困らせるも何もっ! 僕はそんな気全然ないの! 早く出して!」
扉の所へ向かおうとする僕の腕を若が強引に引く。
「なにす――っ……!?」
振り返り様、白い布が口に当てられた。
ガクンと身体の力が抜け、身体は若の腕に支えられる。
「嫌がるようなら強制的にと、惟織様から指示が出ています」
「……ず、……るい」
精一杯に言う。
僕の身体は若にお姫様抱っこされ、優しくベッドに降ろされる。
「……そんなに恐い顔をなさらないで下さい。結惟様の行為を撮影、編集することで、今後の研究の発展に繋がるのでしょう」
なんの悪気もなく、むしろ良いことのように若は言う。
泣きたくなるのをグッと堪えて、若を睨んだ。
「それでは、撮影を開始します。撮影中、私のことを呼ばれる際は“Number.0”とお呼び下さい」
唇に、若の唇が重なる。
抵抗する力も奪われていて、僕はただそれを受け入れた。
若は優しく、唇の輪郭をなぞる。不覚にも、気持ちいいと感じてしまう自分が嫌になる。
唇を割って、舌が口内を探る。
「……っふん……」
息苦しくて、開いた唇から声が洩れた。
舌が絡んでくると、下半身が熱くなる。
若は僕のパジャマのボタンを丁寧に外すと、胸を撫でた。乳首を摘ままれると、身体がビクンと震える。
「良い反応ですね、結惟様」
違う……、と首を横にふる。
「惟織様もお喜びなさいますよ」
……泣きたくなった。
何でこんなみっともない姿、親に見せなきゃならないの?
「……若、やめて? お願いだから」
「“Number.0”とお呼び下さい」
マニュアルのような返事……。
「若……ねぇ、やめて?」
「止めません。……結惟様、安心して身体をお預け下さい。必ず満足にして差し上げます」
「満足って……、っあ……」
若の柔らかくて熱い舌が乳首を舐める。
……やだ、乳首起ってる……。
どうして……?
自分でも分かるくらいに腫れた乳首を、舌で優しく転がされ、甘噛みされる。
その度に、身体がピクンと反応する。
閉じた瞳を少し開くと、高い天井に幾つもの光……。
あぁ……、撮られてるんだ……。
そう思うと、余計に身体が熱くなる。
若は自分の身体を、僕の足の間に滑り込ませた。
乳首を舐めるのを止めることなく、ズボンの上から僕のペニスに触れる。
「っひゃ……!?」
僕はびっくりして間抜けな声を上げる。
「結惟様……。こんなに感じていらっしゃるんですね……。可愛らしい……」
クスクス笑いながら囁かれる。
「い、言わないでよそういうこと……。恥ずかしいから……。あっ、触っちゃダメっ……」
「ダメですか? 気持ちがいいでしょう?」
ううっ……。何で言うの? 言葉にされると、ものすごく興奮する……。
「んっ……、んーっ……」
ペニスを撫でる若の手が、布越しなのがもどかしい……。
これが……これが直だったら……? どんなに気持ちいいんだろう……。
「あっ、……ねぇ、若っ……?」
「はい」
「あ、と……」
……ど、どう言えばいいんだろう……?
“直に触って”?
ダメだっ、そんなの恥ずかしくて絶対に言えないっ!
「どうなさいました結惟様?」
キュッと僕のペニスを掴んで若は笑う。
「んっ、あ……、あのっ」
「はい」
「あっ、あ……、服、汚れるから……」
「……なら、脱いでしまいましょうね?」
若の手によって、ズボンとパンツが一緒に取り払われる。
露になったそこには、完全に立ち上がった僕のペニス。尖端には蜜が溜まっていた。
「可愛らしいペニスですね。おや、もう滴が溜まっていますね」
若はそれを拭うように、キュッと尖端を擦る。
「ひゃあっ、あんっ……!」
クリクリと指先でいじられると、気持ちよさに腰が震えた。
若は何処からともなく取り出した透明な液体を、僕の股間へ滴らせる。
「冷たっ……!」
「すみません、結惟様。しかし初めてでいらっしゃいますから、痛みを緩和する為です。我慢下さい」
丁寧に謝りながら、若は僕のペニスもべっちゃり濡らす。
「あ、あ、っはぁん!」
ヌルヌルとした若の手が、ペニスをくるんで上下する。
……信じられないくらい気持ちいいっ!!
「はっ、やっ、あぁんっ……!」
尖端から精液が飛び出す。
「おや、早い……。気持ちいいですか、結惟様」
荒く息をしながら、こくこくうなずく。
「結惟様のペニスはまだまだお若いですね。ほら、また立ち上がってきましたよ?」
愉快そうに、若は手をクシュクシュ動かす。その度に、僕のペニスからは、ピュッ、と液が飛び、若の空いている手は、僕のアナルに伸びる。
入り口に指が当ると、受け入れを拒否するように、キュッ、と閉じた。
若は僕の吐き出す精液で指を濡らすと、再び僕のアナルに指をあてがう。
「さぁ結惟様……、力を抜いて下さいね」
「えっ……!? ……ヒャ、いやあぁっ!!」
いくらしっかり濡れていても、初めての痛みに、僕は涙を滲ませる。
「少しの辛抱ですよ。すぐによくなりますから」
若は容赦なく、指を出し入れして、ぐるぐると中を掻き乱す。
痛いのか気持ちいいのか、不思議な快感……。
ペニスも同時にしごかれて、右も左も分からなくなる。
「あっ、うぅ……、若、若っ」
「……慣れてきました? いい具合に解れてきましたよ」
「あっ……!」
何度目かの射精を迎えると、自分でも若の指をきつく締め付けたのが分かった。
「あぁ……。結惟様はアナルも素晴らしいですね。……指が奥へ引き込まれて行きますよ」
名残惜しそうに、若の指が抜ける。
……名残惜しいのは僕の方……。
「若……」
「はい」
「若…………」
もう一度頂戴――、なんて、恥ずかしくて言えない……。
クスクス若が笑う。
「結惟様は恥ずかしがりやさんですね。……身体はこんなに素直なのに」
両足を天高く持ち上げられ、若の目の前全開に、僕のアナルが恥じらいもなく露出する。
「ほら、残念そうにヒクヒクしていますよ? エッチなお尻だ」
「み、見ちゃやだ……」
顔から火が出そうなほど恥ずかしくて、僕は両手で顔を覆う。
その隙に、またアナルに液が注がれる。僕のアナルはパクパクとその液を飲み込んだ。
そうしてあてがわれる硬いもの……。
「結惟様……、力をお抜き下さいね」
「―――っ、あぁーっ!!」
圧迫感に耐えかねて、僕は何度も息を吐く。
グチョグチョに濡れているせいか、死ぬほど痛くはない。けれども、激しい異物感と圧力で苦しい。
「若っ、苦しい……、抜いてっ……」
訴えると、若のペニスはズルズルと抜けていく。
ホッ、と息を吐いたのも一瞬。また、ズン、と奥を突かれる。
さっきよりも、深い。
「ふぁ、あっ、苦しっ……」
「……そうですか? 結惟様の中は抜け出せないよう、ねっとりと絡みついてきますよ……?」
「ふぁっ、……ぅそぉ……」
涙が頬を伝った。
何で涙が出るのか分からない。悲しい訳ではないのに……。
でも、慣れてしまって気付く。
この涙……、身体が喜んでる証拠なんだ……。
「あ、あーっ、若っ、若っ!」
「……結惟様、気持ちいいのですね?嬉しい……」
「……っああ、んんっそこっ……!」
余裕もなく、感じるままを声に出し、腰を揺らす。自分がこんなにもエッチな人間だなんて知らなかった……。
「若っ、若ぁっ、も、だめぇ……!!!」
二人の間に勢いよく精液を出して、果てる。
身体が、フワリフワリ、宙に舞った。
こんなに気持ちいいこと、今夜が初めて。
若が、初めて……。
ぐったりと沈む僕の身体を、カメラと若の視線が見ていた……。
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