7 / 18
第6話 新春、初売り
何て言うか……。
新年迎えて、最初のエッチくらい、まともにさせてくれてもいいんじゃないかな?
って、思ったりするんだけど……。
そんなの関係ない?
第6話
新春、初売り
「さぁ~ってと、何にしようかなぁ……」
さも楽しそうに例の取説本をめくる律さんを横目に、僕はココアをすする。
「律さん……早くして下さい……」
お腹をすかせた若が、珍しく僕の横でダウンしてる。
思い起こせば、この前エッチした日から3日目。ずっと新年の挨拶回りとかでバタバタしてて、やっと取れた時間。そりゃ若もエネルギー足りなくなるよね……?
「もういいから撮影なしでする、若?」
気づかって言う。
「はぁ? 何とぼけたこと言ってんだよ、結惟」
「だってぇ……律さん選ぶの遅いんだもん……。このままじゃ、若が止まっちゃうよ!」
そんなのやだぁ、と若に抱きつく。
「大丈夫ですよ、結惟様。とりあえず省エネモードですから、今日1日くらいもちます」
と、若が無理に笑う。
「んー……正月だからなぁ……ここは和服か?」
……って言うか、律さん聞いてないし! 相変わらず、僕には選ぶ権利はゼロ、ってこと。
「よし、これでいくかっ!」
やっと決めたらしい律さんがダイヤルを回す。
「若、決まったって。もう大丈夫だよ?」
「本当ですか? よかった。今回はかなりエネルギー消費してしまいましたので……いっぱい下さいね?」
机にうつ伏せたまま、優しい視線で言われる。
思わずうなずきそうになったけど……。
「い、いっぱいって……」
どのくらい? 僕は一体、どうなっちゃうんだろう……?
目を開けると、もう世界は一変してる。
キョロキョロ辺りを見回して、状況を確認する。
暗いから、多分夜。時代劇に出てくるお城の廊下みたいな所に立っていた。
「……時代モノなのかな?」
僕は結びの緩い感じの薄桃色の着物を着ていた。
とりあえず、若を見つけなきゃ。
そう思って、屋敷の中を歩く。時折、古い木造の廊下がギシッと鳴った。
障子越しに人影が映っている。
……若?
近づいていく、僕の足が止まる。
「んっ……あ、そんなこと……」
「駄目なのか? ならもっと金をやろう。お前が欲しいだけくれてやる。それならいいだろう?」
「はっ、あぁん……」
障子の向こうで行われている行為が容易に想像出来て、身が縮こまる。
何……ここ? お金って……? どういうシチュエーション?
「結惟、こんな所で何してる。早く来い!」
突然腕を引かれて、心臓が跳ね上がる。立派な着物を着た律さんだった。
「り、律さん……ここ、どこ?」
「どこって楼廓だ。セックスを金で買う場所」
「買うって……」
「いいから黙れ。お前が空いてると他の客にバレたら、面倒だからな」
「面倒って……」
「お前はこの楼廓の中で、唯一の専属だ。大金かけてもらってんだから、しっかり奉仕して来いよ」
そう言って、律さんは僕を部屋に押し込んだ。その部屋の奥に襖がある。
この襖の先には、誰がいるんだろう……?
……若?
そう信じて少しずつ襖を開ける。
「あの……結惟です」
声をかけると、行灯のひかりに影が揺れた。
「やぁ。明けましておめでとう、結惟」
穏やかに笑う若がいた。水色の着物に、黒の羽織を着ている。
「わぁ……! 若……さん、着物似合うねぇ」
念の為に名前の呼び方に気をつけてみた。
「結惟こそ、愛らしい薄桃色だ」
「あっ……」
手慣れた若が僕の腰に手を当ててスッと引き寄せる。
「あまりにも可愛いから、お年玉も奮発してあげよう」
そう言って、僕の緩く開いた着物の開きに札束を入れる。
「えっ……と」
「律には内緒だよ? いいね」
内緒って……。
「こんなの貰えません……」
僕は遠慮して言う。
「いいんだよ、その分楽しませてもらうから……」
部屋の中に時折響く卑猥な音……。
僕は言われた通り、若の前に座ると、立ち始めたペニスに触れる。
若のをまじまじと見るのは初めてで、触れる指先が震える。
「ゆっくりでいいから、結惟の可愛いお口にしまって……?」
正直、やり方なんて分からないから指図されるまま口に含む。
若がしてくれるように、唇で挟んで上下した。
「そう……舌も使って、アイスキャンディーみたいに舐めてごらん?」
うなずいて、若のペ二スを舐めあげる。
僕の髪に若が触れて、撫でてくれる。ペニスをくわえながらも、その気持ちよさにうっとりする。
「人のモノをくわえながら気持ちよくなるなんて、エッチな子だ……」
言葉が身体を駆け抜けて、下半身がキュンとなる。
「私だけ……というのもつまらないな……」
「え……?」
若が僕の横に寝転がって、僕のペニスを握る。
「っあ……」
少し擦られただけなのに、先端には蜜が滲む。
「結惟、お口がお留守ですよ?」
言われて、僕も若のペニスを口に含む。
それを確認して、若は僕のお尻にも手のひらを進める。
クルリと態勢を変えられて、僕は若を跨ぐ形で上にされた。
「腰を降ろしなさい」
「えっ……だっ、て……」
「出来ないの?」
股間の真下には若の顔……。自分で降ろすなんて……。自分から『して』って言ってるみたいで……。
躊躇いがちな僕の前に、若はさっきの札束をちらつかせる。
「これ、いくらくらいだと思う?」
――大金かけてもらってんだから……!
律さんの言葉が頭をよぎる。
「僕…が、奉仕するんじゃ……」
恐る恐る聞いた。
「そうですよ。だから私を“楽しませて”下さいね。何度もイッてみせて下さい……」
「――っふ、あ……ああっ!」
ゴクリと喉を鳴らして、若は僕の精液を飲む。口にくわえられながら小さくなるペ二ス……。
けれど、始めは優しく……そして強く愛撫されると、たちまち元気を取り戻す。
「ふふっ、もう元気になりましたよ。結惟はエッチですね……」
クスクス笑われ、身体中が恥ずかしさで熱をもつ。
それでも気持ちのいい若の口内に勝てず、僕はまた、腰を振り始める。
そして若はからかうように、イキそうな僕のペ二スの根本を掴み、直前で我慢させる。
僕は早くイキたくて、自分から腰を振った。
「イかせて下さい、って、お願いは?」
「はっ……あ……、……かせて……イかせて下さいっ……!」
恥ずかしさも捨てて、懇願する。
若の口内に解放の時がくる。目の前で星が弾けた。
寝かされて、若のペ二スを身体で受ける。
身体にまとわりつく着物が邪魔だったが、若は脱がせてくれなかった。
奥の奥までペ二スを突き立てられると、涙が溢れる。
「痛いですか、結惟…?」
僕は必死に頭を横に振る。
「やっ……と、貰えて……嬉しくて……」
普段なら言わない言葉が口をついた。
溢れる涙が、喜びの涙だと気づいた瞬間、僕を制御するものは無くなった。
若のペ二スを全身に受け、僕のペ二スからは汚い精液が飛び散る。
「あっ、あっ、気持ちいぃ……!」
「結惟、可愛い……もっと見せて下さい、淫らな貴方を……」
「……っく、ふ……も、イクっ……!」
「あぁ……キュウキュウと締め付けてきて……。でも、まだですよ……」
余韻に浸る間もなく突き上げられて、悲鳴が上がる。苦しくて、いっそのこと死んでしまった方が楽なくらいの快感……。
僕はひたすら精液を撒き散らしながら、快感の波に漂い続けた。
「結惟様……。これからも、もっと淫らに育てて差し上げます……。もっとご自分から、私の愛撫を欲するように……」
遠く意識の中で、そんな天使の声がした……。
「おう、若、どうだった?」
部屋を出ると律さんに出くわした。
「えぇ……とても良い新春の初売りでしたよ」
心の底から微笑んだ。
ともだちにシェアしよう!

