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第6話 新春、初売り

 何て言うか……。  新年迎えて、最初のエッチくらい、まともにさせてくれてもいいんじゃないかな?  って、思ったりするんだけど……。  そんなの関係ない?  第6話  新春、初売り 「さぁ~ってと、何にしようかなぁ……」  さも楽しそうに例の取説本をめくる律さんを横目に、僕はココアをすする。 「律さん……早くして下さい……」  お腹をすかせた若が、珍しく僕の横でダウンしてる。  思い起こせば、この前エッチした日から3日目。ずっと新年の挨拶回りとかでバタバタしてて、やっと取れた時間。そりゃ若もエネルギー足りなくなるよね……? 「もういいから撮影なしでする、若?」  気づかって言う。 「はぁ? 何とぼけたこと言ってんだよ、結惟」 「だってぇ……律さん選ぶの遅いんだもん……。このままじゃ、若が止まっちゃうよ!」  そんなのやだぁ、と若に抱きつく。 「大丈夫ですよ、結惟様。とりあえず省エネモードですから、今日1日くらいもちます」  と、若が無理に笑う。 「んー……正月だからなぁ……ここは和服か?」  ……って言うか、律さん聞いてないし! 相変わらず、僕には選ぶ権利はゼロ、ってこと。 「よし、これでいくかっ!」  やっと決めたらしい律さんがダイヤルを回す。 「若、決まったって。もう大丈夫だよ?」 「本当ですか? よかった。今回はかなりエネルギー消費してしまいましたので……いっぱい下さいね?」  机にうつ伏せたまま、優しい視線で言われる。  思わずうなずきそうになったけど……。 「い、いっぱいって……」  どのくらい? 僕は一体、どうなっちゃうんだろう……?  目を開けると、もう世界は一変してる。  キョロキョロ辺りを見回して、状況を確認する。  暗いから、多分夜。時代劇に出てくるお城の廊下みたいな所に立っていた。 「……時代モノなのかな?」  僕は結びの緩い感じの薄桃色の着物を着ていた。  とりあえず、若を見つけなきゃ。  そう思って、屋敷の中を歩く。時折、古い木造の廊下がギシッと鳴った。  障子越しに人影が映っている。  ……若?  近づいていく、僕の足が止まる。 「んっ……あ、そんなこと……」 「駄目なのか? ならもっと金をやろう。お前が欲しいだけくれてやる。それならいいだろう?」 「はっ、あぁん……」  障子の向こうで行われている行為が容易に想像出来て、身が縮こまる。  何……ここ? お金って……? どういうシチュエーション? 「結惟、こんな所で何してる。早く来い!」  突然腕を引かれて、心臓が跳ね上がる。立派な着物を着た律さんだった。 「り、律さん……ここ、どこ?」 「どこって楼廓だ。セックスを金で買う場所」 「買うって……」 「いいから黙れ。お前が空いてると他の客にバレたら、面倒だからな」 「面倒って……」 「お前はこの楼廓の中で、唯一の専属だ。大金かけてもらってんだから、しっかり奉仕して来いよ」  そう言って、律さんは僕を部屋に押し込んだ。その部屋の奥に襖がある。  この襖の先には、誰がいるんだろう……?  ……若?  そう信じて少しずつ襖を開ける。 「あの……結惟です」  声をかけると、行灯のひかりに影が揺れた。 「やぁ。明けましておめでとう、結惟」  穏やかに笑う若がいた。水色の着物に、黒の羽織を着ている。 「わぁ……! 若……さん、着物似合うねぇ」  念の為に名前の呼び方に気をつけてみた。 「結惟こそ、愛らしい薄桃色だ」 「あっ……」  手慣れた若が僕の腰に手を当ててスッと引き寄せる。 「あまりにも可愛いから、お年玉も奮発してあげよう」  そう言って、僕の緩く開いた着物の開きに札束を入れる。 「えっ……と」 「律には内緒だよ? いいね」  内緒って……。 「こんなの貰えません……」  僕は遠慮して言う。 「いいんだよ、その分楽しませてもらうから……」  部屋の中に時折響く卑猥な音……。  僕は言われた通り、若の前に座ると、立ち始めたペニスに触れる。  若のをまじまじと見るのは初めてで、触れる指先が震える。 「ゆっくりでいいから、結惟の可愛いお口にしまって……?」  正直、やり方なんて分からないから指図されるまま口に含む。  若がしてくれるように、唇で挟んで上下した。 「そう……舌も使って、アイスキャンディーみたいに舐めてごらん?」  うなずいて、若のペ二スを舐めあげる。  僕の髪に若が触れて、撫でてくれる。ペニスをくわえながらも、その気持ちよさにうっとりする。 「人のモノをくわえながら気持ちよくなるなんて、エッチな子だ……」  言葉が身体を駆け抜けて、下半身がキュンとなる。 「私だけ……というのもつまらないな……」 「え……?」  若が僕の横に寝転がって、僕のペニスを握る。 「っあ……」  少し擦られただけなのに、先端には蜜が滲む。 「結惟、お口がお留守ですよ?」  言われて、僕も若のペニスを口に含む。  それを確認して、若は僕のお尻にも手のひらを進める。  クルリと態勢を変えられて、僕は若を跨ぐ形で上にされた。 「腰を降ろしなさい」 「えっ……だっ、て……」 「出来ないの?」  股間の真下には若の顔……。自分で降ろすなんて……。自分から『して』って言ってるみたいで……。  躊躇いがちな僕の前に、若はさっきの札束をちらつかせる。 「これ、いくらくらいだと思う?」  ――大金かけてもらってんだから……!  律さんの言葉が頭をよぎる。 「僕…が、奉仕するんじゃ……」  恐る恐る聞いた。 「そうですよ。だから私を“楽しませて”下さいね。何度もイッてみせて下さい……」 「――っふ、あ……ああっ!」  ゴクリと喉を鳴らして、若は僕の精液を飲む。口にくわえられながら小さくなるペ二ス……。  けれど、始めは優しく……そして強く愛撫されると、たちまち元気を取り戻す。 「ふふっ、もう元気になりましたよ。結惟はエッチですね……」  クスクス笑われ、身体中が恥ずかしさで熱をもつ。  それでも気持ちのいい若の口内に勝てず、僕はまた、腰を振り始める。  そして若はからかうように、イキそうな僕のペ二スの根本を掴み、直前で我慢させる。  僕は早くイキたくて、自分から腰を振った。 「イかせて下さい、って、お願いは?」 「はっ……あ……、……かせて……イかせて下さいっ……!」  恥ずかしさも捨てて、懇願する。  若の口内に解放の時がくる。目の前で星が弾けた。  寝かされて、若のペ二スを身体で受ける。  身体にまとわりつく着物が邪魔だったが、若は脱がせてくれなかった。  奥の奥までペ二スを突き立てられると、涙が溢れる。 「痛いですか、結惟…?」  僕は必死に頭を横に振る。 「やっ……と、貰えて……嬉しくて……」  普段なら言わない言葉が口をついた。  溢れる涙が、喜びの涙だと気づいた瞬間、僕を制御するものは無くなった。  若のペ二スを全身に受け、僕のペ二スからは汚い精液が飛び散る。 「あっ、あっ、気持ちいぃ……!」 「結惟、可愛い……もっと見せて下さい、淫らな貴方を……」 「……っく、ふ……も、イクっ……!」 「あぁ……キュウキュウと締め付けてきて……。でも、まだですよ……」  余韻に浸る間もなく突き上げられて、悲鳴が上がる。苦しくて、いっそのこと死んでしまった方が楽なくらいの快感……。  僕はひたすら精液を撒き散らしながら、快感の波に漂い続けた。 「結惟様……。これからも、もっと淫らに育てて差し上げます……。もっとご自分から、私の愛撫を欲するように……」  遠く意識の中で、そんな天使の声がした……。 「おう、若、どうだった?」  部屋を出ると律さんに出くわした。 「えぇ……とても良い新春の初売りでしたよ」  心の底から微笑んだ。

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