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第10話 おいしく召し上がれ

 シュークリームはお好きですか?  ショートケーキはお好きですか?  僕は甘いものが好き。  じゃあ……、例えば自分がスイーツになるのは……?  第10話  おいしく召し上がれ 「……よしっ、出来た!」  僕は目の前の小さなホールケーキを見つめて言う。  今日は大好きな若の誕生日。……という設定らしく、自分でケーキを焼いていた。  小さなケーキの割に、生クリームをたくさん作り過ぎて余ってしまう。 「うーん……どうしようかな……。あ、明日食パンにでも付けて食べよう!」  ナイスアイデアだと思っていると、若が帰ってくる。 「ただいま、結惟」 「あっ、お帰り若! 見て見て、僕ケーキ作ったんだよ!」  出来立てのケーキを見せながら言う。 「わぁ、すごいね。結惟が一人で作ったの?」 「うん!」  若はケーキの横に置いてある、生クリームを見た。 「生クリーム余ったの?」 「うん、作り過ぎちゃって……。明日パンにでも付けて食べよう」  そう言って、僕は生クリームを冷蔵庫にしまう。  ご飯を終えて、手作りケーキにロウソクを立てる。 「ハッピーバースデー、若!」 「ありがとう、結惟」  若は嬉しそうに笑った。  ケーキを切り分けて食べる。生クリームもさっぱりしていて食べやすい。我ながら美味しく作れてよかったと思った。 「……さぁ、もう一つデザート頂こうかな?」  ケーキを食べ終えた若が、僕を見ながら言う。 「今日は何でも言うこと聞いてくれる……って約束だよね、結惟」 「えっ?」  そ、そうなの? そういう約束になってるの? 「う、うん……」  戸惑いながらうなずくと、若はにっこり笑った。 「じゃあ結惟を食べちゃおうか?」  そう言って若はキッチンへ消える。  何を持ってくるんだろう……。  ドキドキしながら待っていると、若が戻ってくる。手にはあの生クリーム。 「さぁ結惟、裸になって」 「えっ!?」 「服着たままじゃ食べられないでしょ?」  言うなり、若は僕の服のボタンに手をかけ、スルスルと服を脱がした。  裸になった僕の身体を、テーブルに座らせる。 「若……一体何……」  言い終えるより先に、若は生クリームを僕の口につけた。  そして、その唇を舐めて、キスをする。 「う……んっ」 「……甘くて美味しい」  唇を離した若は言う。 「わっ、若!?」 「もう一度……」  当たり前のように、若はもう一度僕の唇に生クリームを付ける。同じようにキスをされて、僕は自然に口を開いてしまう。 「……食べる?」  生クリームを差し出しながら若は言う。  ……どうしよう……。食べる……って言ったらどうなるのかな?  舌……入れてくれる? 「……た、べる……」  戸惑いながら言った。  若は僕に生クリームを与えると、自分の唇で蓋をするようにキスをくれた。そのまま、僕から口移しのように生クリームを食べる。 「……甘いね、結惟」  言われて、顔から火が出る程恥ずかしい……。  甘いに決まってるよ、生クリームだもん……。  あれ?でもこんなに甘い味だったっけ? 何だかよく分からなくなってきた。 「結惟。何百面相してるの?」 「えっ……」 「心配しなくても、僕が全部食べるから」  言いながら、若は僕の胸に生クリームを塗った。 「ちょっ……若っ!?」 「何?」 「そ、そんなところに塗ってどうするの?」 「……もぅ、何言ってるの。食べるんだよ」 可愛いなぁ結惟は。とかわされる。  ですよね……。分かってたんだけど。  ああっー、まだお風呂とか入ってないのにっ!  とかいう動揺も、本当に束の間。  若にペロリと胸を舐められて僕はピクンと反応を返す。  胸や、指、足の先まで、身体に生クリームを塗られる度に、今度はここを舐められるんだと思うと、妙な興奮が起こる。  そして若は、ついに勃起した僕のペニスに生クリームを塗った。 「あっ……あ……」 「ほら。ちゃんと足開かないと出来ないよ?」  テーブルの上でM字に足を開かされる。  それでいて、ペニスは生クリームに、白く可愛いらしく飾り付けられている。  情けないくらい、恥ずかしい格好……。  なのに若は「可愛いね」と言う。 「可愛いくないよ、こんなの……」  恥ずかしさのあまり、涙が出そうになる。 「そんなことないよ。美味しそうな結惟……」  パクリと若は僕を食べる。  優しく歯を立てられて、腰が浮いた。  本当にキャンディーでも舐めるかのように、チュルチュルと舌が絡まる。 「あっ、ふ……あ……」  僕は退け反りながら快感に耐えた。  生クリームの冷たさと、若の口内の温かさが刺激に加わる。 「つっ……も、だめぇっ……」  腰を前後にビクつかせながら、僕は若の口内に出す。 「……今度は後ろ」  息もまだ整っていない僕の身体を、若は反転させて四つん這いにする。 「じゃあ、クリーム入れるからね」 「ふえっ……!?」  いつの間に持ってきていたのか、若は生クリームの入った搾り出し袋を手に微笑む。 「えっ、ちょっと……」  まさかと思うと、若は先についた金具を僕のお尻に押し込んだ。 「あっ、あぁっ……!」  ニュルニュルと穴の中に生クリームが搾り出される。信じられなくて目を見開いた。 「このくらいでいいかな?」  若はお尻から搾り出し袋を抜く。 「シュークリームみたいだね」  両手で僕のお尻を掴んで若は言う。そして入口をペロッと舐めた。 「ひゃあ……!」 「うん、美味しい」  ペロペロと犬みたいに舐められて腰が揺れる。  そのたび、お尻からは生クリームが溢れた。 「あーあ、結惟の中温かいから生クリーム溶けちゃうね」  温度を確かめるように指が入る。グチャリと汚い音がした。 「や、やだ、汚いよぉっ……」 「汚くないよ。今の結惟はお菓子なんだから」  そんな耳元で、当然のように囁かないで……。そんなに甘くて可愛いものじゃないよ……。  中をまさぐられる度に、若を欲しがるように絡むなんて、可愛いくもなんともない……。 「可愛いよ、結惟は。ほら、僕が欲しいって言ってる」 「あ……あんっ、んっ……」 「グチュングチュンって泣いてるよ」 「いやぁ、言わないでぇ!」 「こんなに甘い蜜垂らして、やらしい子だ……」 「っふ……うぅっ……」 「言ってごらん。“若の大きなスプーンで奥まで食べて”って」 「そ、そんなこと……」 「言えない? なら言えるまでしようか?」  そう言って、若はまた僕の中に生クリームを搾った。パクパクと口を開けて食べるお尻。 「若……もう嫌ぁ……」 「なら言ってごらん。今日は僕の言うこと聞く約束でしょう?」 「うぅっ……やぁ…」 「ならしないよ」  グリグリと指でクリームを掻き出される。ああ、気が狂ってしまいそう……。 「若っ、やめて……い、言うから……!」  涙ながらに訴えると、指が抜けた。トロトロとクリームが床に流れる。 「……言ってごらん」  横から顔を覗き込まれる。 「あ……」  僕はゴクリと生唾を飲んだ。 「聞こえるようにね」  若は穏やかに笑う。 「い……入れて」 「違うでしょ? 聞こえてなかった?」 「……若の……スプーンで、お、奥、まで……食べて…?」  辿々しくも、言われた通りに口にした。 「いい子……」  若は優しいキスをくれた。  床に降ろされて、立ったまま後ろから突かれる。  指と違って、激しさのあるそれは、クリームをより外に溢れ出させた。本当に奥まで食べられてる気分。 「すごい……温かくて溶けちゃいそうだよ……」 「あっ、あぁんっ……」  ペニスが若の手に包まれる。  中から、外から与えられる刺激から逃げるように、僕は腰を振る。逆効果なそれは、簡単に高みへと僕を連れて行った。 「あ、も……イク、イクぅっ!!」  泣きながら訴えると、若が 「いいよ、イッても」  と許してくれた。  もう我慢すらなくて、僕は簡単に果てる。  弛緩する僕の中に、若も熱を吐いた。  若のペニスが抜けると同時に、中から真っ白な液がボタボタと落ちた。  生クリーム混じりの精液……。  その上に、支えられない身体を落とした。 「……可愛い。結惟は極上のスイーツだね」  肩で息をする僕の耳元で囁かれる、  甘い、甘い、若の声と、  肩で息をする僕の唇を塞ぐ、  甘く、優しい、若の唇……。  朝、いつも通りに目が覚める。 「おはようございます、結惟様」  昨日のあれが嘘みたいな、爽やかな若の笑顔。 「おはよう……」  眠い目を擦りながら起きる。  着替えて食堂に行くと、律さんの姿。 「おはよ」  食パンをかじりながら言う。  僕はそれを見た途端、身体が凍りついた。 「結惟も食うか。昨日の残りの生クリーム」  美味いぞ。と清々しい顔で言われる。 「…………いらない。」  って言うか、当分生クリームは見たくない。とりあえず昨日の記憶が薄れるまでは……。 「何だよ、甘くていい話だったろ?」 「甘いの意味が違うの!」 「甘いよなぁ、若?」  律さんが若に振ると、若は 「はい。結惟様は、いつでも甘くて美味しいです」  と真面目に微笑んだ。

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