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IQ170の天才鈍感天然馬鹿野郎が俺だけのものであることを証明するための傾向と対策 8月31日 PM11:14 ―2 | うめとよの小説 - BL小説・漫画投稿サイトfujossy[フジョッシー]
目次
IQ170の天才鈍感天然馬...
8月31日 PM11:14 ―2
作者:
うめとよ
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8月31日 PM11:14 ―2
颯也
(
そうや
)
の舌を受け入れながら考える。 こんなことなら手を出すんじゃなかった。一度はあきらめる覚悟ができていたのに、俺はまた、あの頃以上に颯也に夢中になってしまっている。 まさか颯也がこの学園に来るなんて… 予想外だった。完全に。
上條
(
かみじょう
)
颯也
(
そうや
)
の知能指数はIQ170を超えているそうだ。 天才と付き合うのも楽じゃない。 今でこそ俺は幼馴染というコネクションで
ご
優
待
されているが、…この繋がりがいつ千切れてしまうか、俺は不安でしかたがない。 俺らが通うこの学園は少し風変わりなことで有名だ。 まず1つ目は、ここが海外のとある名門大学の付属校になっていて、無事に卒業さえ出来ればエスカレーター式に名門大学での海外留学生活が保障される仕組みになっている点。そのぶん外国語の履修項目のハードルはかなり高くて特にキツい。 2つ目は、希少価値の高いエスカレーターに乗る目的で全国から入学志願者がやってくるため、全寮制になっている点。 3つ目は、今どき珍しい男子校である点。…地元の連中は、山の中腹に隔離されたようにある瀟洒な建造物とその異様性とを揶揄し、ここを「ホモ
園
(
ぞの
)
」と呼んでいた。(…まあ、中学にあがるあたりからゲイに目覚めていた俺にとっては、けして笑えない仇名ではあったわけだが…。) 4つ目は、海外の大学と提携している都合上、毎年9月が進学月である点。つまり、明日から俺は、この学園の高校2年生。 学園は中高一貫教育制だが、俺の場合は、中学まではこの学園の麓にある地元の中学校に通学していて、中3の9月にここに編入させられた。 編入とはいえそれが事実上の高校入学。 義務教育の都合だろう、中学の卒業証書は、高1の3月に学園から配布された。だけどそれはあまりに形骸的で、もちろん中学校の卒業式なんてものもなかった。 “無事に卒業できれば大学入学” これがかなりのクセもので、年4回の実力考査や
月一
(
ツキイチ
)
の期間考査などの総合評価次第では、次の学年へ上がれない。 実際、学年の2割が、7月にもらえるはずの1学年の修了証書をもらえなかった。彼らはもう一度1学年をやり直すか、高額な入学金と前払いの授業料を捨て去り、学園を自主退学して別の学校へ転入する手続きをとらなければならない。 うちの学園のモットーは、「みんな仲良く平等に」ではなく、あくまで実力重視の競争主義なのだ。 入学・編入学希望者はどの学年にも次々と押し寄せてくるので、どれだけ生徒を
退学
(
やめ
)
させても採算が取れる仕組みになっているんだろう。 青春まっただ中の連中が集まっているはずなのに、寮生活はいたって味気ない。 みんな、次の考査のことで頭がいっぱいだからだ。 なにしろ考査の結果はネットを通じて瞬時に全生徒、…のみならず、全世各界の学園等関係者、さらには身内にまで大公開される仕組みになっている。 これでは「考査の結果なんて気にするな」というほうが無理な話だ。 そういうわけで、考査には必然的にそれぞれの様々なものが懸けられるようになっていく。意地、見栄、自尊心など、大概ろくなもんじゃない。 勉学だけに集中できる環境として、ここほど打って付けの場所は無い。 名ばかりの夏休みも実家に帰る奴はほとんどなく、かくいう俺も、学園側が用意した夏期講習に入り浸っていた。 なにしろ、2学年の初っ端の実力考査で、一番最初のクラス分けが行われる。 クラスは全部で5クラスあり、上からクラスA、一番下がクラスE。 クラス分けの実力考査は年に4回。考査の結果次第では上位クラスに上がれたり、逆に下位クラスに下がったりもする。最下位のクラスEになると、次学年へ進学できる可能性が極めて低くなると言われている。 編入生は当初、みんなクラスEに配属される。俺も最初はクラスEだった。そこからどこまで這い上がれるかは当人の実力次第だ。俺は1年かけてクラスBまでいった。 上條颯也。 こいつは、化け物だ。 颯也はもともと俺と同い年の幼馴染で、中学の同級生だった。 が、俺がこの学園に進学した去年の9月にいったん別れた。俺はこっちの学園へ、あいつは、中学を卒業して地元の公立高校へ行くはずだったのだ。 それがどういうわけか、今年の4月、こいつはうちの学園にフラリと編入してきた。 この学園で颯也の名前を一躍有名にしたのは、編入早々に行われた4月の実力考査だった。 なんと、編入生のくせに、全教科学年トップに躍り出てしまったのだ。 本人曰く、「ちょっと本気で勉強してみた。」…高校1年の、約半年分の履修内容を、颯也は春休みの間にマスターしてしまっていた。 そしてその数か月後、颯也は高1の履修科目のすべてを完全にマスターし、学園側に特別考査を申し出た。…異例にもほどがあるが、学園側もこれを了承し、単位が足りず本来なら留年することになる颯也のために特別考査を実施した。その結果、例外措置として、学園側は1学年の修了証書を颯也に渡してしまったのだった。 学園側は颯也に飛び級して大学にも行けることを進言したらしい。しかし颯也はその申し出をバッサリ断ったそうだ。…これが颯也の評判をさらに跳ね上げる結果となった。 自分の将来に対し全くの無欲無関心だった男が、ちょっと本気を出しただけでこんなことになる。 なぜ颯也にはそんなことができるのか? 昔から天然でバカ丸出しなので俺もつい忘れそうになってしまうが、颯也は、実に頭がいい。博学、というよりは、天才。 というのも颯也は、一度見たり、聞いたり、読んだりしたことを決して忘れない。全部覚えてしまうのだ。 たとえばいつかの誰かのセリフはこうで、そのときにいたメンバーは誰それだった、とか、週刊ジャンプの何号の何頁にあった脇役のセリフ、甲子園優勝校の3年投手の昨年の成績、あげく、歴代の担任教師に関する女性遍歴などのゴシップネタに至るまで、幅広いジャンルの、そのすべてを記憶している。 --------------------→つづく
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うめとよ
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