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第20話 【カーマイン視点】嘘だろ、おい!!!?

兄弟みたいな距離感なんていうくせに、今後お前と行動を共にする事はないだろうなんていう。二度と話さねぇ、顔さえ見せねぇ兄弟なんて嫌に決まってる。オレはずっとライアのこと、兄弟だって思ってたのに。 オレに幸せになって欲しいっていうくせに、こんな風にオレを泣かせることばっかりして、何がオレの幸せかなんてアイツに分かるもんか。勝手にアイツがいなくなってから『幸せ』だとか『楽しい』だとか、めっきり思わなくなってしまった。 しかも、オレの事を好きだと言うくせに、他の誰かと幸せになってくれなんて言う。オレが可愛い嫁さん貰ってオレに似た子供作って、アイツの知らない所で幸せになりゃあ、本当にアイツは嬉しいのかよ。そのうちオレを忘れて、アイツも誰かと笑って生きていくつもりなのか。 ふと、ライアの手紙を届けてくれたパーティーの、チャラい魔法剣士の言葉を思い出す。 ライアのこと、肌も白くて男なのに色っぽかった、コナかけようか迷ったって言ってた。強引で、懲りないタイプのヤツだった。あんなヤツにしつこく言いよられたら、もしかしたらライアだってほだされてしまうのかも知れない。 オレの代わりにあのチャラい男がライアの横に立って二人で笑いあい、背中を守りあう姿がふと浮かんで、猛烈に腹が立ってきた。 ほんとムカつく。 こちとらライアがいなくなってからこっち、いいなと思う女もいなきゃ、娼館すら楽しめなくなってるっていうのに。どうやって幸せな家庭を築けばいいんだよ。 かと言って、あの男みたいにライアに色気を感じるわけでもない。 ライアの顔が綺麗なのなんかガキの頃からだ。緑色の目が優しいのも、まつ毛がべらぼうに長いのも、しょっちゅう野宿してる割に肌が綺麗なのも、喉のあたりが特に白くてなんなら高級娼婦より肌理が細かいのも、薄い唇が意外にいい色してるのも、当然のことだ。だってそれがライアなんだから。 見慣れてた筈のアイツの表情を思い出して……ふと、異変に気付く。 なんか、腰の据わりが悪い。ベッドの中でもぞっと動いて、戦慄した。 嘘だろ。 なんか……なんか、兆してる? 変な汗がドバッと出た。 待てよ。 待てよ。 このとこ綺麗な女やいい乳を見ても兆したりしてなかったのに、そんなわけねぇだろ。 そもそもライアがオレに「好きだ」って打ち明けた時だって……。 なんて思い出したのが良くなかった。アイツの苦しそうな表情、ちょっとだけ震えてたアイツの唇が脳裏に浮かんだ瞬間、オレの愚息が痛いくらい熱を持つ。恐る恐る下着の中に手を入れてみたら、しっかりと硬くてごまかしようもないくらいに勃ち上がっていた。 嘘だろ、おい! なんで今さら!!? 自分でもなんで急にこんな事になったのか訳がわからない。それでも一回ライアで入ってしまったスイッチはどうしようもなくて。 カーマイン、カーマインってオレを切なそうに呼ぶ顔を思い出すと、それだけで手の中の愚息はまるで返事でもするかのように硬く大きくなっていく。 そんなバカな。 アイツにキスできるとでもいうのか。 好きだ、って泣きそうな顔で言ったライアを思い浮かべて、その薄い唇にそっと唇を合わせる想像をしてみたら……めちゃめちゃ普通にキス出来た。 恐ろしいことにいったん想像し始めるともう止まらなくなってしまう。だって、物心ついた頃からずっと行動を共にしてきたんだ。オレが何をすればライアがどう反応しそうかなんて簡単に想像できてしまう。 想像の中のライアは初心で、とんでもなく可愛くて魅力的だった。 キスをすれば驚いたように一瞬身を引こうとして、それでも強引に口付ければ体を震わせて受け入れてくれる。唇を舐るように食んだら唇が薄く開いて、俺は舌を捩じ込んでライアの熱い舌を巻き取る。ライアの口内をチロチロと舐めて反応を確かめるのが楽しかった。 ライアの体が緊張で固まっているのが可愛い。 キスが深まっていくと、ライアの腕がおずおずとオレの背中に回る。迷っているような手の動きで、なかなか抱きしめてこない。焦れたオレはライアを力強く抱きしめてベッドへと押し倒した。 そのままシャツを捲り上げ、慎ましい乳首を口に含む。 柔らかさもむにむにとした弾力もないのに、触るのも舐めるのも乳首を虐めるのもすごく楽しい。常は服で隠されていてまったく日焼けしていない肌はとても白くて、そんじょそこらの娼婦よりもよほど綺麗だ。 これまでアイツの裸なんて注意して見てきたわけじゃないのに、なぜか鮮明に思い出せるのが不思議だ。小粒でオレの黒っぽい乳首に比べると初々しい浅い色の乳首が艶かしい。思う存分乳首を舐めしゃぶり、その一方でついにオレはライアのズボンに手をかけた。 ここまでの想像というか妄想は自分でもびっくりするくらいに自然にできた。オレの愚息だって興奮しまくりだ。もういつでも出せるってくらい昂ってる。 けれど。アイツのチンコを扱けるのか? アイツのケツに指や愚息をぶち込めるのか? 自信はなかった。 けれどそんなのは杞憂で……その夜オレは、初めてライアで抜いた。 余裕で三回も抜いてしまった。 どうやらオレは、完全にライアで抜ける体になってしまったらしい。

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