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第27話 【カーマイン視点】もしかして。もしかして……!

頭の中のライアはいつだってオレから与えられる快感を素直に受け止め、貪欲に求めていた。 アイツの白い肌も、薄いピンク色した小さな乳首も、あんまりじっくり見た事はないペニスも、触って舐めて捏ねて撫で回して、オレより華奢で細い腰を掴んで突きまくってやりたい。 アイツがカーマイン、カーマインって泣きそうな顔で、声で、オレを呼ぶ様を思い描くだけでオレのペニスは何度でも勢いよく復活する。 大切に甘やかして、アイツが飽きるくらい好きだ、愛してるって囁いて、オレもアイツの事をこんなにも好きなんだって、ちゃんと分からせてやりたかった。 出しても出してもこの熱が全然おさまらないのは多分、本当にアイツの中に突っ込んでひとつになったって満足感があるわけじゃないからなんだろうなぁ。 初めてアイツで抜いた時には「嘘だろ、おい!!!?」って叫ぶ程度には、アイツで勃つって事に驚いたオレだったけど、一線を越えてからは一切の躊躇がない。 むしろなんでアイツじゃない人間をこれまで抱けてたのかわからないレベルで勃ちっぷりが違う。 アイツの痴態を思い浮かべながら、満足するまで何度も何度も手の中で果てた。自慰のし過ぎで腰が痛い。 ああ、早くライアが『聖騎士の塔』から出てこねぇかなぁ。 アイツが居なくなってから、オレは何をしててもどっか何か足りない……ぽっかり穴が空いたみたいな寒さを感じてる。アイツが居た時はそんなのまるで気が付かなかった。 きっとオレは、アイツが傍に居るだけで充分に満たされてたんだ。 かけがえのないオレの半身。 傷が増えてても、めっちゃごっつく成長しててもいい。アイツが生きて、アイツのまま帰って来てくれたらそれでいい。 腕の中でアイツが幸せそうに眠る、そんな姿を思い浮かべながらオレは今日も一人寂しく眠りについた。 *** ダンジョンから戻って一週間も経てば体もだいぶ復調してくる。 ポーションを使うまでもないケガは塞がったし、溜まってた疲労も取れた。いい加減部屋の中での筋トレにも飽き飽きしてきたし、武器屋もいくつか冷やかしてめぼしい剣も見繕ってある。 そろそろ新しい剣を買って手に馴染ませたら、またダンジョンに潜ってもいいかも知れねぇなぁ。 まだ太陽も真上にある昼日中、宿屋の窓辺に座っていつものように『聖騎士の塔』の入り口を見下ろしながら、そんな事をぼんやり考えていたオレは、眼下に見えたものに声にならない叫びを上げる。 「………!!!!!」 窓にバリっと張り付いた。 角度的に顔が見えないけど、あのキラッキラした銀色の髪! ピンと伸びた背中。 すげーゴージャスになってるけどソードスピア持ってるし、ソロみたいだし、槍振り回してる筈のくせに細くて白い腕も全体の雰囲気もオレが知ってるライアそのもので……。 あれって、もしかして。 もしかして……! ジワっと涙が浮かんでふるふるしてたら、門番のおっちゃんがこっちを見上げて、大きく頷いてくれた。 やっぱり。 ライアだ! そう確信した瞬間には足が動き出していた。部屋を飛び出して階段なんて何段飛ばしで駆け降りたかも分からない。もう階段を降りるのももどかしくなって、二階の窓から塔の入り口に立つライアに向かって飛び降りた。 「うわっ!?」 「ライア!!!」 「えっ、あっ、カーマイン!?」 ああ、ライアだ。 本当にライアだ。 ずっと見たかった顔が、目の前にある。 「やっぱりライアだ!!! この野郎、勝手な事しやがって!!!」 文句だっていっぱい言ってやりたかったのに、涙がボロボロ出てきて、胸があんまり熱くなって、それだけしか言えなかった。 ライアが逃げないように抱きついてがっつり拘束するくらいしか出来なくて、ただただぎゅうぎゅうに抱きしめて泣いた。 「ごめん……ごめん、カーマイン」 困ったみたいなライアの声が聞こえて、ああ本物のライアの声だ、って感動する。 生きてた。 会えた。 もうそれだけで良かった。 「おいおい、もう。しょうがねーなぁ」 「二年だぞ。そりゃあ泣くって」 おっちゃん達の呆れた声と同情する声が聞こえるけど、涙も止まらねぇし湧き上がる感情も抑えられない。抱きしめた体が暖かくって弾力があって、鼓動が体に伝わってきて。それがもう死ぬほど嬉しくて、体の奥からよく分からない熱い波が込み上げてきた。 もう嗚咽しか出ない。 「カーマイン。ちょっと落ち着けって」 「だなぁ。可哀想だがお前のライアはギルドに報告に行かなきゃなんねぇ。そういう決まりなんだ。ライアが行って戻ってくるまで詰所で待ってた方がいいんじゃねぇか? すげぇ顔になってるぞ」 「それがいいなぁ」 おっちゃん達がそう言ってくれるけど、オレはブンブンと頭を振って全力で拒否した。そのせいでちょっとだけ離れた体をもう一回ぎゅっと抱きしめてライアの首元に顔を埋める。 そんなよく分からねぇ決まりなんてクソくらえだ。だってあんなに待って待って待って、ようやっと会えたのに。 もう二度と、ライアの手を、体を、離したくなかった。

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