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第33話 これが、『幸せ』というものか。
カーマインに力強く抱きしめられて、何度も激しくキスされる。
角度を変え、深さを変え、何度も何度も。
好きなだけキスをして、やっと落ち着いたらしいカーマインは、今度は俺の体をじっと舐めるように見つめ始めた。一般的な男よりは白くて細身だとは言われるが、それでもどこからどう見ても男の体だ。
カーマインは俺とは違う。元々女性が恋愛対象で娼館だって足繁く通っていたのを知っているだけに、俺のどこからどう見ても男な体を見てカーマインの気持ちが萎えてしまうんじゃないかと急に不安になった。
「……あまり、見ないでくれ」
「なんで」
「女性と違って膨らみもくびれもないからな。見ても面白味がないんじゃないか?」
「いつまでそんな事言ってんだ。今のオレにとってはお前の裸が一番綺麗で、一番見たくて、一番興味津々なんだよ」
つい赤くなってしまう。カーマインの率直な物言いが、こんな所で威力を発揮して来るとは思わなかった。でも子供の頃から……というか、二年前までは互いに上裸なんて普通だったし、カーマインと違って俺は特に筋肉がついてカッコいい体になったわけでもない。筋肉のつきにくい自分の体が恨めしい。
「俺はあんまり二年前と変わってないから、見慣れてるだろう」
「まぁな。でもあの頃はじっくりも見てなかったし、エロい目線で見てたわけでもないからな。すげぇ新鮮」
ニッと笑って、カーマインが俺の肌にゆっくりと指を這わせた。
僅かな衝撃で崩れてしまう繊細な素材を扱うかのような、僅かに触れるだけの指の動きが、逆に感覚を鋭敏にしていく。酒で感覚が麻痺していると思ったのに、カーマインから触れられる部分はじんわりと熱をもったように熱く感じていた。
「綺麗だなぁ」
感じ入ったように、カーマインが呟く。
「そしてエロい」
俺の目を見てニヤッと笑ったカーマインは、乳輪の周りを柔らかく撫でると、「見ろよ」と促した。
「たったあれっぽっち触っただけで、乳首もアレもビンビンに勃ってる。お前、イヤらしい体してんなぁ」
それは……仕方ない。どうかするとカーマインの声を聞いただけでも勃ってた。
恥ずかしくて目を逸らしたら、目の端でカーマインの唇が動いて、チラリと舌が見える。その瞬間、乳首をキュ、と摘まれて俺の体がピクンと動いた。
「……っ」
「実際に触れるの、すげーいいな」
敏感な乳首の先をクニクニと弄られて、次第に性感が高まっていく。
「お前がいない間さぁ、どんな風に触ってやろうかってそればっかり考えてたんだぜ?」
「……っ、……ふ、んぅ……」
「気持ちいいか?」
「うあっ……」
胸の粒をチュウッと強く吸われ、思わず上擦った声が出る。満足したように笑ったカーマインは、舌先で丹念に粒を弄り始めた。
そこに与えられる刺激が股間にまで響くようになった時には、鼻にかかった声が漏れるのを止められなくなっていた。顔を見られるのが恥ずかしくて腕で顔を隠そうとしたけれど、すぐに腕は押さえ込まれてしまって、隠す事もできない。
「隠すなよ。気持ち良さそうな顔、見たい」
その言葉に涙が溢れた。カーマインの方から俺を求めてくれているという事が、単純に嬉しくて次から次に涙が溢れて止まらない。
これが、『幸せ』というものか。
***
それからどれくらいの間、そうして二人で時を過ごしていたのだろう。
乳首を散々虐められ、体中の至る所を舐められ吸われ、先走りではしたなく濡れている股間のモノまで擦られて、俺はもはや声を抑えることも出来なくなっていた。
何度、もうイかせてくれと頼んだか知れない。けれどカーマインは決定的な刺激は与えずに延々と俺の体をまさぐっていた。特に尻の穴の中は執拗なまでに弄られて、そんなところで気持ちよくなるだなんて考えた事もなかった俺は、恥ずかしくて居た堪れなくて、泣きに泣いた。
「涙でぐしょぐしょだな、お前」
ふ、とカーマインが笑う。
最初は感動の涙、それが幸せの涙になり、羞恥の涙になり、今や過ぎた快感を逃すための生理的な涙になっている。気持ち良すぎて辛い。息も出来なくなって回復魔法に頼る羽目になってしまった。
「はは、エロい眺め」
満足そうなカーマインの視線の先、自分の体を見てみたら、全身至る所にキスマークがついている。
「カーマインって……こんなに時間をかけて、その、するんだな」
結構な時間が経っているのに、まだ挿れてもいなければ、お互いに出してすらいない。俺は娼館にも行った事がないから一般的なことは明確には分からないが、さすがにこれが普通だとは思えない。あまりにも長時間続く快感の波に、おかしくなってしまいそうだった。
「いやぁ、娼館とかは時間も決まってるし、向こうも準備万端だから前戯もあんま時間かけねぇけど」
「ふ……ぅあ……、ん」
影が落ちてきて、耳の中をぬるんと熱い舌が舐めていく。
「どこ触ってもお前が色っぽく喘ぐもんだから、止められなくなっちまった。それにお前、今日だってギルドで色んなヤツから色目使われまくってただろ。俺のモンだって主張したくなったんだよな」
そんな独占欲とも取れる言葉を溢しながら、カーマインは俺を見下ろしたまま片手でポーションを手にして、歯でキュポンと栓を開けた。本日二本目のポーションだ。
俺の腰を持ち上げて、とろみのある液体を尻の割れ目と窄まりに丁寧に丁寧に塗りこめていく。
「ライア、そろそろいいか?」
「……嬉しい」
自身のいきりたった怒張にもポーションを塗りこめて、カーマインが俺の窄まりに切っ先をあてがった。ぬりゅ、と亀頭が窄まりを割り開く。散々指とポーションで解されたからか、意外なほどあっさりとカーマインの怒張が俺の中に入ってきた。
カーマインは俺をじっと見つめたままゆっくり、ゆっくりと腰を進め、時々眉根を寄せて悩ましい表情を見せる。その表情が、細く吐かれる吐息がたまらなく色っぽくて、俺の内壁はきゅうんとカーマインの怒張を抱きしめた。
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