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ルーの家(2)
とろみのついた乳白色のスープにはレンズ豆とじゃがいもがまばらに浮いていて、飲むと指の先までがほうっと温まっていった。
「美味しい?」
「……うん」
実際、まともに味のついたスープなど久しぶり過ぎて、美味しいなんて言葉じゃ足りないくらいだった。
「そう。良かった」
ルーは頬杖をつきながら、僕がスープをすするのを面白そうに見ている。まるで雨の中から拾って来た犬に、ホットミルクでも与えるみたいに。
「なんで、――」
なんでそんなに幸せそうに微笑むの。
僕はバツが悪くて、ルーから目を逸らした。
硬くなりかけていたパンは、ルーがナイフで薄く切って暖炉の火に炙ると、カリカリとした食感と風味が蘇った。
「夢みたいだな。ノア……誰かと、また一緒にご飯が食べられるなんて」
ルーはどこかに含みのある言い方をしながら、自身も豆のスープを一口すすった。
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