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眠れない僕と、悪魔の君と (4)※

視界がぐらりと回ると、微かに残る思考さえも吹き飛んでいく。 僕はただ磔にされた罪人のように、ルーの為すがまま甘く攻め立てる行為の全てを、夢うつつの狭間で受け止めた――。 深い深い眠りに落ち込んだ先で光を得、目覚めた安息日の朝は、前よりもさらにびっくりするほど体が軽くなっていた。 あんなに苦しかった体が、いっときで。 本当にルーのいう通りだった。 彼はお医者さまなのだろうか? ルーはこの日も先に起きていて、僕と目が合うとすかさず、蜂蜜入りのホットミルクを用意してくれた。 なんだか恋人同士みたいだ。 そう思わせるのも、治療のうちなのだろうか……? でも、それでもいい。 ルーの側にいられるのなら、僕はどんな口実でも受け入れる。 次の週も、その次の週も、その次も――、週末になると僕はルーに連れ去られるようにして、一晩中をベッドの上で過ごした。 実際、吹き荒ぶ嵐の中に立って僕を迎えに来るルーは、黒いマントに黒い手袋をして、首まで伸びた銀の緩い巻き毛を輪郭に踊らせ――ドラキュラかなにかのようにかっこよくて、見るたびに心臓がきゅうっ、と跳ね上がった。 こんなひとが、他の誰でもない自分を迎えに来てくれる現実が嘘のようで、僕はいつもおずおずと手の甲を差し出し、その手を引かれる力強さに圧倒されながら、家を出る。 そんな僕らを、母さんはハテ?と頬に手をやりながら、なにか不思議なものを見るように、複雑に微笑んで見送ってくれる。 行き場のない眠気と重さがルーの行為で一気に解放されていく心地よさは、僕にとって楽園と呼べるもので。 何度も僕を泣かせた後で、時おり彼自身も苦しげに表情を歪ませ――律動しながら僕のなかに熱を吐き出し、体を強く抱きしめてくれるとき――、 このまま時が止まればいいのに、明日なんて来なければ。 胸の中にそんな激しい愛しさがあふれた。 彼の全部を自分のものにしたい、彼のこんな顔を他の誰にも見られたくない。 それが独占欲と呼ぶものだと知ったのは、ずっと後になってからだ――

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