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心配性の兄貴
「入院しなくていいって言ったじゃん!」
「確かに言った。でも入院する1歩手前の数値だから」
「1歩手前なら入院する必要なくない?」
「入院"1歩"手前だからね?わかる?どれだけ数値悪いか」
「....?」
「要観察なんだよね。誰かが一緒に住んでて、食生活を管理してくれる人がいるならいいけど、菖綺はいないでしょ?」
「....いないけど」
「だから俺の家に来てって言ったんだけど?それが嫌なら入院して、食生活を管理して、健康的な数値になるまで、ココに居てもらう。」
「え....」
まさかの二択が、兄貴の家か入院かだった。
なら、兄貴の家がいいけど、食生活を管理されるってことだよね?
食べてなかったらバレるじゃん....!
でも入院は嫌だ。
「どっち?早く決めないと帰る時間遅くなるよ?まぁ、入院するなら帰れないけど」
「....」
「決めれないなら俺が決めようか?入院する?」
「....グスッ」
「!?あや?え..泣いてるの?」
「兄貴がこわい、から」
「ごめん!ごめんね、でも俺あやのこと心配で。」
「....グスン」
「泣かないで。よしよし。俺の家においで?少しの間お泊まりって思えばいいでしょ?」
「....ぅん」
「よしよし。いい子いい子。大丈夫だから、ね?」
「にゅういん、しなくていい?」
「うん、いいよ!俺の家に帰ろうね?」
「...ぅん」
俺は兄貴の家に少しの間住むことになった。
医者と一緒に住むと考えたら嫌だけど、兄貴のことは普通に好きなので、医者というところを除けば、普通に嬉しい。
医者の兄貴もかっこいいけど、俺が患者で兄貴が医者なのがめっちゃ嫌なだけで、医者姿の兄貴が嫌いなわけじゃない。
兄貴は優しくてカッコよくて好きだから、本当は困らせたくないし心配かけたくないし迷惑もかけたくない。
そういう意味でも隠してしまう。
嫌われたくないから。
兄貴はいつも俺のことに気づいてくれて、そばにいてくれる。
あれから、兄貴と一緒に住むことになった。
あの日、兄貴の家に一緒に帰って、すぐに寝た。
夜ご飯は食べれなかったけど、兄貴は怒らなかったし食べさせようともしなかった。
家に帰ってすぐに寝たけど、少しして起きて、お風呂に入った。
兄貴は心配して、「一緒に入ろうか?」なんて言ってくるから、「いい!」って突っぱねたら、少し残念そうだった。
申し訳ないかなと思ったけど、この歳で兄貴と一緒に入るか!?恥ずいだろッ!
お風呂に入ってたら、兄貴が「大丈夫?」ってドア越しに何回も聞いてくるから、「もううるさい!」って言って、すぐに上がった。
上がったら、ガチャと聞こえて、ん?と思ったら兄貴が入って来ようとしてて、「入ってくんな!」って言ったら、「えぇー、いいじゃん....わかったよ....」と若干、いや全然納得してないようにドアを閉めてくれた。
兄貴は心配性すぎるんだよな。
「あ、やっと上がってきた!大丈夫?熱出てない?」
「大丈夫だよ、兄貴は心配性すぎるんだよ....」
「そうかな?あやが自分のこと大切にできないからなぁ〜」
「そんなことねぇし」
「(そんなことあるんだよね笑)」
「なんだよッ」
「ううん、あやは可愛いなぁ〜」
「はぁッ!?早く風呂入ればッ!」
「はいはい、ちゃんと大人しくしててね」
兄貴はすぐ俺の頭を撫でてくる。
嬉しそうに撫でてくる。
何がそんなに嬉しいんだろうか?
俺にはよくわかんない。
兄貴がら風呂に入ってる間、ソファに座ってテレビを見てた。
けど、途中で座ってるのがキツくなって、ソファに寝転んだ。
....そして、そのまま寝てしまった。
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