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腹痛

「くそ、腹痛てぇ」 なんか変なもんくったか? 「あやー?トイレ長いけど大丈夫ー?」 げっ、兄貴、! バレるわけには行かねぇ、!! 「お腹痛いのー?」 「うるせぇー!ただ歯切れが悪いだけだ!!」 「そう?お兄ちゃん心配だよー?」 「大丈夫だっつーの!!てか、トイレまで来るなよッ!」 「....わかった、何かあったら呼んでよ?」 「何もねぇーって!」 やっと向こうに行ったか?? うぅッ、くそ、腹痛てぇー 兄貴にバレたら色々めんどくせぇから隠し通さねぇーと、! それより、そんなに俺トイレ長いか?? ふぅ、さっきよりマシになった。 少し緩い気がするけど、結構そういうことあるからまぁいいや。 兄貴に言ったらめんどくさいし、 「あ、あやー!大丈夫?」 「だから、大丈夫だって!」 「そうだったね笑、」 兄貴にはバレてねぇーよな?? 「んぅ....」 「菖綺、朝だよ?早く起きないと遅刻するよ〜」 「…あに、き?」 「おはよう!」 「おは、よ」 朝か.... 今日も寝みぃ.... 「朝ごはんちゃんと食べてね!もう仕事行かないといけないから、」 「うん、いってら」 「菖綺も気をつけていくんだよー!行ってきます!」 昨日の夜、腹痛かったけど朝は痛くないな....良かった。 朝ごはんも食べれたし! でもなんか食べすた気が....まぁいいや。 学校行くか、 「菖綺!おはよ!」 「樹季おはよ」 「どうかしたか?」 「え?なんで?」 「ちょっと顔色が悪い気がする....」 「いや?そんなことないと思うけど?電気の当たり具合じゃね?」 「....そうかな?ま、体調悪くなったら言えよ!(って言ったところで言わないだろうけど)」 「はいはい」 樹季にバレたかと思った.... 登校中に我慢できるレベルだけど腹が痛くなった。 でも我慢できる程度だし、大丈夫だろう。 腹を壊すことはよくある。 だが、1時間目、2時間目と授業を受けてるとだんだんとまた痛みが強くなっていった。 痛みには波があって、この痛みを我慢したらまた少しは痛みが無くなるって思って我慢していたが、その波も間隔が短くなっていった。 痛みが来る度に、腹のとこの服をギューッと力いっぱい握って、寒くないのに冷や汗のせいで寒ような気がしてくる。 縮こまるようにして痛みに耐えていた。 後ろの端っこの席なので、先生に言いに行くには遠いし、そんな目立つ行為はしたくない。 それに、保健室に行ったら、稜生がいるし、稜生にバレたら兄貴にもバレる! それは避けたい、! お願いだから、学校終わるまで耐えてくれ、!そう思っていたが、さすがに耐えれるほどの痛みではなくなって、涙がでそうになった。 「うぅぅ」 「菖綺、大丈夫か?」 声が漏れてたのか、前の席の樹季が気づいてくれて、後ろ向いて俺に話しかけてきた。 「た、つき」 「大丈夫、じゃなさそうだな」 樹季は俺が「大丈夫」だという前に大丈夫じゃないと思ったらしい。 実際、大丈夫じゃないし助けて欲しいと思うけど、そんなときでも俺は「大丈夫」と言ってしまう。 だって、人に迷惑かけたくないから.... 嫌われたくない.... 樹季とは幼馴染で俺の性格も他の人よりはわかってる。 だから、一緒にいて安心するし、心強い。 ただ、兄貴とも稜生とも連絡先交換してるぐらい仲良いし、長い付き合いだからか俺の変化、特に体調不良の時は顔合わせただけでバレる! 結構鋭くて、なかなか隠せない。 兄貴とも稜生とも仲良いから樹季にバレれば2人にもバレる。 だから、隠したいのに....! 「腹痛いのか?保健室行くか?」 「い、いゃ」 「トイレに行くか?」 「....」 「2択だぞ?保健室に行くか、トイレに行くか」 「....じゃ、といれ」 「わかった、ちょっと待ってろ」 そう言って、樹季は席を立って先生のとこに行った。 今、授業中なのであんまり目立つ行為をしたくない俺に代わって、樹季が先生のところに言いに行ってくれたんだろう。 優しくて面倒見が良い奴。 「菖綺、大丈夫か?行けそ?」 「ぅん」 また波が来て、下を向いて、手に力を入れてギューッと服を握ってたら、いつの間にか先生に伝えに言ってた樹季が俺の横にしゃがんでいて、驚いた。 「俺の肩に掴まれ」 「うぅッ」 樹季の補助付きでトイレに連れて行ってもらった。 トイレの個室に俺を連れてきて、「終わったら呼んでな」と一言いって、トイレからでてくらた。 樹季は空気読めるし気遣いもできる。 ほんと、俺にはもったいないぐらい良い奴。 「うぅッ、いたいッ」 痛みの波と共に出たものの、昨日の夜よりも緩くて、下痢だった。 でもさっきより腹痛もマシになって、スッキリした。 個室から出て、手を洗って、トイレの外で待ってる樹季の元に行った。

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