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鼓膜切開とその後

鼓膜に麻酔をし、耳の穴にメスを入れ、鼓膜を小さく(2~3mm)切開した。 案の定菖綺(あやき)は痛みを感じ起きてしまった。 「ッ!痛いッ!!」 「大丈夫大丈夫」 「うぅ、痛いぃぃ!!痛い、離れろッ!!」 痛みで起きた菖綺はパニックになってしまい、零軌(しずき)の抑制からどうにか逃げ出そうと暴れた。 だが、かなうはずもなく、抑制されてない足だけバタバタさせることしか出来なかった。 痛いと何度も大声で叫ぶものの、手を止めることもなく琳皐(りつき)はちゃくちゃくと進めた。 切開して、鼓膜の内(中耳)にたまっている膿や液体を吸引した。 鼓膜切開は終わったものの、耳の中を切られているから痛くて、その痛みでパニックを起こしてしまった菖綺はなかなか落ち着くことも出来ず、終わってからも痛いと暴れていた。 「痛いッ、痛いってば!!」 「もう終わった」 「痛い痛い!」 「あやー、終わったよ」 「いだぁーい!」 治療が終わったら落ち着くと思っていたが、なかなか落ち着かなったので、菖綺は涙を流しながら、痛い痛いと暴れているが、抑えて点耳薬をさした。 それが気持ち悪かったのか、より泣いてしまった。 「いやぁぁぁぁ!」 「よしよし、もう終わったからね。あやくん頑張ったね」 「うわぁぁぁぁん」 零軌が抱っこしたら、さっきまで暴れていたが暴れることはなく、ただ幼い子のように菖綺は泣いた。 耳が気持ち悪いのか触ろうとするので、零軌の腕で菖綺の腕を抑えて、抱っこしたまま手を抑制した。 触りたいんだろうけど、菖綺が零軌の抑制から逃れることが出来るわけなかった。 零軌が菖綺を抱っこして、「大丈夫だよ」と声をかけながら、トントンと背中をリズム良く叩いていると、治療の前の過呼吸と治療によってすごく疲れていた菖綺はしゃくりをあげて寝てしまった。 「寝たか」 「うん、寝ちゃった。」 「明日目腫れるんじゃない?」 「腫れちゃうね。」 「明日も学校か?」 「うん。でも休ませるよ。」 「熱も出てるしね。零軌明日休み?」 「うん、休み!だからあやくんとずっと居れる♡」 「良かったな」 「あやくんには申し訳ないけど、あやくんが体調不良だから明日は一緒にいれるから嬉しい♡」 「菖綺に言ったらと怒られるぞ笑それに今日結構あやくん呼びだったよ」 「え、まじ!?無意識だった」 「良かったな、菖綺の耳が聴き取りずらくて」 「聴き取りずらいのもあるけど、キツかったら幼児退行気味になりやすいから」 「あーなるほどな」 稜生(いつき)も1度学校に戻るらしい。菖綺は寝てしまったので、このまま帰りたかったが、零軌にはまだ仕事が残ってたため、仕事場に菖綺を連れていった。 「琳皐本当にありがとうね!」 「あぁ。通院はまぁ零軌が見るなら正直大丈夫だと思うが」 「いやいや、専門医に見てもらわないとね。」 「病院に少しでも慣れてもらいたいんだろ?」 「うん笑さすが、いっちゃん!」 「その呼び方やめろ、逆に病院嫌い悪化すると思うけど?」 「俺もそう思う」 「え、なんで?」 「りさは容赦ないだろ?」 「うん」 「自分で頷くんだ笑俺がついていける時だけ通院するよ」 「そうか。零軌がいるなら大丈夫だろう」 「(そうかな笑2人とも容赦ないから笑)」 稜生は学校に帰り、琳皐もまだ仕事があるため、菖綺を連れ零軌も自分の科に戻った。 菖綺のことを知っている人が多く、零軌がブラコンなことも知っているので、菖綺を連れてきても今更誰も驚かない。 医院長もいろいろと理解してくれているので、菖綺を連れてきても怒られないし、どうしても菖綺を見れなくて見てくれる人もいない時は菖綺の面倒見てくれることもある。 菖綺は零軌と稜生以外はあんまり慣れてないので、嫌がるけど。 ちなみに琳皐はまだマシな方。 零軌が仕事中、幸いにも菖綺は大人しく寝ててくれたので、順調に終わり、早めに退勤させてもらえた。そのまま何事もなく家に帰ることが出来た。 もし、菖綺が起きたらいろいろと大変だから笑 菖綺はぐっすり寝てるので、明日学校は休ませるしこのまま寝かせておくことにした。 切開した耳は水が入らないように気をつけなければいけないから、大丈夫になるまでは零軌の監視の元、お風呂に入らないといけない。 もちろん、菖綺は嫌がるが、兄にかなうはずもなく、あまりにも嫌がり抵抗すると零軌から怒られるので、結局従うしかない。 零軌が怒るとガチで怖いからだ。 寝ている菖綺には申し訳ないが、点耳薬はささないといけないので、点耳薬をさして、起きてしまった菖綺を寝かせて、零軌も隣で寝た。 菖綺は治るまで、点耳薬と薬、週2回のステロイド鼓室内投与と耳のことで注意しないといけないことが多く、零軌の監視の目が光り、菖綺の機嫌がものすごく悪くなった。

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