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気持ち悪い
隣の兄貴は運転に集中してて、俺が起きたことにまだ気づいてないらしい。
後部座席の稜生 も気づいてない。
もし気づいてたら、2人とも話しかけてくるはずだから。
気持ち悪くなったことを気づかれたくなくて、寝たフリを続けた。
兄貴と稜生は話してたけど、気持ち悪いことで頭がいっぱいでなんの話ししてたのかは全然わからない。
必死に気持ち悪いのをどうにかしようとするけど、どうにもならなくて、それに悪化していってる気がする。
呼吸も過呼吸に似た感じになってきて、動悸も激しくなった。
気づかれたくなくて、必死に抑えた。
「ハッ、ふぅ、うぅ、ハ、ハッ」
「?あや?起きてるの?」
抑えたつもりだったが兄貴にはバレてしまっていた。
兄貴に名前を呼ばれたけど、俺は気づけなかった。
「菖綺 起きたのか?」
「わかんない。けど、なんか様子が....稜生あやのこと見て」
「わかった」
「はッ、ハ、ふッ、は、は」
窓の方を向いていた俺は稜生の気配にも気づくことが出来ず、稜生から肩を揺さぶられて、ようやく気づいた。
急に肩を揺さぶられて、反射で振り返ってしまった。
「菖綺、菖綺!大丈夫か?」
「ふ、は、ハッ、だい、じょ、ぶッ、ウッ」
「大丈夫じゃないな。気持ち悪いか?」
声を出そうとすると、他のものまで出そうだったから、首を横に少し振った。
自分が思ってる以上に首を振るのも抵抗があって全然首を振れなかったけど、稜生は俺が横に首を振ったとわかってくれた。
「気持ち悪いんだな。顔色悪いし」
だけど、俺が嘘ついていることもすぐバレた。
稜生が兄貴に車を止めるようにいって、兄貴は承諾した。
兄貴の顔は見えなかったけど、声色で兄貴が悲しんでるような怒ってるようなそんな気がした。
俺はまた兄貴たちに迷惑かけてしまったのだと思った....。
兄貴が稜生の指示で車を止めれるところに止めてくれた。
車を止めて、シートベルトを外してもらって、稜生は一旦車から降りて、助手席のドアを開けた。
「菖綺、吐きそうか?」
未だに呼吸が速く、顔色が悪い俺を見て、稜生はそう聞いた。
吐きそうだけど、吐きたくない。
ここで頷いてしまったら、吐かされるかもしれない、!
それは嫌だ!
兄貴や稜生は吐いた方が楽だからと吐かせてくる。(時と場合によるけどねBy零軌)
それが嫌なんだ。
吐くのが好きな人の方が珍しいだろう。
吐いた方がスッキリするというのも分からなくは無いのだが、『吐く』という行為がそもそもダメなのだ。
嘔吐恐怖症とまではいかないのかもしれないが、『吐く』ことにものすごく抵抗がある。
それも、体調を崩しすい俺は吐き気が伴うようなこともよくある方だと思う。
だから、【吐く=ツラい、キツい】そんな印象が強く残っているからだ。
兄貴や稜生が言いたいのは、吐き気をずっと我慢して長く苦しむよりも、吐くのはキツイかもしれないけど1回吐いてスッキリする方が良くない?って意味なんだと思う、多分。
それでも俺は『吐く』方が嫌だ。
というわけで、俺は首を横に振った。
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