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フラフラ

んん....ここどこだ? 俺....あ、倒れて....倒れた!? 「あ、起きた?というか意識戻った?」 「い、つき....?」 「そう。零軌(しずき)にも連絡したからもうすぐ来ると思う」 「え....」 「意識失って倒れたのに連絡しないわけないだろ」 兄貴にバレた、! どうしよう。 でもたまたま今日倒れただけだから大丈夫だよね? ご飯食べてなかったのは気づかれない、はず。 だって、今日もちゃんとお弁当空っぽにしたから。 「とりあえず、体温測って」 「うん....」 体温計を渡されて体温を測った。 熱がない自信はある。 だから、音が鳴ってすぐに稜生(いつき)に渡した。 36.1度だった。 やっぱり熱は無い。良かった。 でも稜生の顔に違和感を覚えながら、兄貴を待った。 待ってる時に稜生が「話は零軌が来てからでいいか」ってボソッと言ってたけど、特に気にしなかった。 兄貴は俺が起きてから数分後に来た。 急にドアが空いて兄貴が入ってきた。 無言で来るものだから怖かった。 「零軌、一応ノックはしてよ」 「あ、ごめん」 「まぁいいけど。どうする?ここで話す?」 「うん、ここでいい。」 「わかった。あっちの方に座って話そう」 話す?何を?? 全然ついていけてないけど、なんか話すことになって、兄貴と稜生が向こうの方に移動したけど、俺も一緒に話すみたいで、おいでって言われた。 稜生が向かい側に座って、兄貴が俺の隣に座って、なんか三者面談みたいな感じになった。 正直、座ってるのはキツイ。 ソファならまだいいけど、背もたれはあるものの、学校のイスだとフラフラしてしまう。 けど、どうにか踏ん張って、倒れないように頑張った。 「菖綺(あやき)のことなんだけど、、、」 兄貴と稜生が話してるけど、集中して聞けない。 聞こうと思ってるけど、集中出来ない。 「菖綺、聞いてる?」 「....あ、ごめん」 稜生の質問に遅れて返事した。 聞こえてはいるけど、全然集中できない。 「集中できてないね」 「そうみたいだな。」 フラフラするし集中出来ないし、座ってるのキツイ.... でも兄貴にも稜生にも言える状況じゃない。 どうしよう。 「これから病院行くだろ?」 「うん。俺は抱っこしてないからわかんないけど軽かったんでしょ?」 「うん、樹季(たつき)が言ってたし、俺も樹季から菖綺受け取って抱えたけど、軽かった。元から軽い方ではあるけど、また体重減ってると思う。」 「ねぇ、菖綺のバックある?」 「あー、ある。樹季が用意してくれた」 「お礼言っとかないとね」 「そうだな」 稜生が立ち上がって、どこか行った。 と思ったら、またすぐ戻ってきて、手に何か持っていた。 カバン....?多分俺のだろう。 兄貴に渡すと、兄貴はカバンを開けて、お弁当箱を取りだして中身を見ていた。 俺は兄貴や稜生の行動を目で追いかけるのが精一杯だった。 「やっぱり弁当箱空っぽ」 「ほんとだ」 「最近ずっとそうなんだよね。」 「正確には測ってないにしろ、抱えてわかるぐらい体重減ってるって思うのに、最近毎日弁当食べてて減るのはおかしくないか?」 「うん。家で食べてる時もちゃんと食べてたし....あ、でも、最近一緒に食べる時、トイレによく行ってたな」 「もしかして」 「うん、吐いてたのかも」 「とりあえず病院行くか?」 「うん。稜生はどうする?」 「俺もついて行くよ、校長には話通してる。」 「ありがと、助かるよ」 あ、やばい、倒れそう.... そう思って来るだろう衝撃に構えていたが、痛みも何も感じなくて、ついに痛覚まで無くなったのか?と思った。 だけど、隣の兄貴が支えてくれていた。 「座ってるのもキツイか」 「相当ヤバいかもな」 「早く病院行こう」 兄貴は俺を抱えた。 あー、病院に行くのか。 嫌だなぁ。 そう思うけど、もう抵抗できる力はなくて、疲れてたのかまた眠気に襲われて、目を閉じた。 兄貴の腕の中は暖かくて、心地良くて、安心した。涙が出そうなくらい。

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