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嘘つきさん
[零軌side]
最近、忙しくなって、菖綺食べれる日が減った。
少し空いた時間に様子見に行くけど、ゆっくりしてる暇なくて、すぐに戻らないといけないことが多い。
でも前よりはマシだと思う。
元々救命救急医だった。
だから呼び出しも多く、家に帰らないことも多かった。
今は内科医なので、救命救急医の時よりは呼び出しが少ないと思う、多分。
菖綺と一緒に住むってなる前に内科医として働いてた。
救命救急医が合わなかったとかではなく、菖綺のことを考えて、救命救急医から内科医になった。
救命救急医から内科への転科は、初期研修で内科を経験しているから、比較的スムーズに移行できた。
ようやく菖綺と少し長くいれる!と思った時に限って呼び出しくらう。
菖綺といる時に呼び出しくらったら、医者やめようかなと思うぐらい。
大事な菖綺との時間を邪魔されるのは嫌だから、呼び出し無視したくなる(医者とは思えない発言)。
まぁ、ちゃんと行くけど。
呼び出しが嫌なんじゃなくて、菖綺といる時っていうのが嫌なだけ。
話がそれたけど、最近ちゃん菖綺と話す時間もなく、一緒にご飯を食べる時間をもなかった。
毎日朝昼晩どのくらい食べたかっていうのも教えてもらってた。
だいたい半分か、それ以上食べてることが多くて、順調だなとは思ってたけど、どこかしら引っかかることがあった。
食べてる割には、菖綺に肉がついてない気がする。
服の上からしか見てないし、元々華奢だから、分かりにくいってだけか、そう思ってた。
久しぶりにようやく菖綺と一緒に食べれる時間が出来た。
だから、一緒に食べようと言ったら、拒否られて悲しかった。
けど、菖綺は優しいから結局一緒に食べてくれた。
でも1口、2口食べて、手は止まっていた。
声をかけると、緊張してるからと言われたから、様子を見ることにした。
あまりにも進まないので、一旦席を外すことにした。
菖綺を見て思ったのが、やっぱり体重が増えるような感じではなく、どちらかといえば減ってるような感じだった。
菖綺の病室から出て、明日の朝体重測定と採血をしようと思い、出たついでに朝用意して欲しいと伝えに行った。
戻ってくると半分くらい減っていた。
一応褒めたけど、この短時間で菖綺が食べれるわけないよなとも思った。
まだ確信があるわけじゃないし、もし本当に食べてないなら、バレなかったという安堵で気が抜けるだろうと思った。
気をはられてると、特に敏感な菖綺には色々気づかれてしまう時が多いので、明日の朝体重測定と採血をすることを気づかれてしまったら、いろいろ面倒だから、あえて言及しなかった。
どちらにせよ、明日わかるから。
次の日、朝ごはんの前に体重測定と採血をすると言ったら、めっちゃ嫌な顔された。
菖綺の嫌なことはしたくないのは本音。
だけど、嫌な顔も可愛くて見たくなるほど好きなのも本音。
体重測定も採血も大嫌いなの知ってるよ。
でも隠すのは俺が許さないよ。
本当に食べてるなら大丈夫だよね?
嘘つきさんには罰が必要でしょ?
さて、楽しみだね〜。
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