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逃げ
[菖綺side]
「あやー、菖綺 ー」
「ん....んぅ?」
「おはよう」
「....ハヨ」
朝、兄貴に起こされた。
もう、朝か....。
「眠そうだね。寝るの遅かった?それとも途中で起きた?」
「ううん。いつもと変わんない。」
「そっか」
「んー」
兄貴は今日も仕事だからもうすでに白衣を着てた。
白衣を着てる兄貴は医者っぽくてあんまり好きじゃない....(医者っぽいじゃなくて医者なのよ笑byしずき)
まぁ、似合ってないわけじゃないけどー、。(ツンデレ発動)
「ねぇ、あやくん」
「ん?てか、その呼び方やめろ」
「ごめんごめん。今日さ」
「うん?」
「朝食の前に体重測定と採血しようか」
「....え、ッ?」
「ダメ?」
体重測定と採血、!?
え、あれ?
昨日そんなこと言ってたっけ?
昨日のことを思い出しても言われた覚えが全くない。
聞き逃した?
....もしかしてそもそも言ってない?
それよりも、どうしよう。
兄貴がダメ?か疑問形で聞いてきたけど、ダメに決まってんじゃん!
そんなのわかってるくせに多分....いや、絶対わざと聞いてきてる。意地悪い。
ダメって言いたいけど、あやしいか?
いやでも、俺が体重測定も採血も嫌いなこと知ってるし大丈夫か、!....?
「ダメに決まってんじゃん、!」
「なんで?」
「ッ、なんでって....俺が体重測るのも採血も嫌いなこと知ってるだろ、ッ!」
「ふーん。それは知ってるけど、菖綺もしないといけないってわかってる、よね?ニコッ」
うっ....この笑顔はなにかある....!
もしかしてバレてる?
でももしバレてるならなんで昨日問いたださなかったんだ?
2人きりだったし、いつでも問いただせただろうし....
それともこれとは全く関係ない別のことなのか?
でも、特に心当たりはないしな....。
他になんかバレたらまずいことってあったっけ?
うーん、わからん。
ここはいっそのこと素直に自白するのが身のためか?
いや、もし違うことだった場合、自爆することになる。
言わない方がいいよな....?
よし、こういう時は....、!
「わかってる。それに、兄貴から逃げられないこともわかってる....でも、わかっているからといって逃げないってわけじゃないッ!」
そう言って、勢いよくベットをおりて、ドアを開けて逃げようとした。
けど、
フラッ
「うッ....!」
勢いよく起き上がったせいなのか、立ちくらみを起こして、冷たい病室の床に座り込んでしまった。
って、こんなとこに座り込んでる場合じゃない!
と、まだ立ちくらみするけれど、気合いでまた立ち上がった、ドアの方に向かい、ドアを開けようとした。
その時、手をかける前に勝手にドアが開いた。
ガラガラガラ
「ん?なにしてんの?」
「あ、櫟 先生!」
!?なんで、この人が....
「零軌 、菖綺の体重測定と採血は終わったの?」
「それがまだで。」
「....菖綺はドアの前に突っ立ってなにしてんの?」
俺の方を見て問いかけた。
俺は唖然として反応が遅れた。
代わりに兄貴が返答した。
「逃げようとしてたよ」
「逃げられるわけないのに」
最悪だ....。
なんでこの人が....。
間違ってないけど、兄貴も余計なこと言うし。
1番会いたくない。
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