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君についた嘘①
「へぇ……。そう……なんだ?」
激しく動揺しながらも、無理やり言葉を絞り出す。
だけど情けないことにその声は、またしても少しだけ震えてしまっていたかもしれない。
そういえばとそこで、思い出す。
僕が配信をはじめてすぐの頃から、熱心にコメントを残してくれていた人のハンドルネーム。
それがたしか、『KIYO』だったなと。
あれってもしかして、大路君のことだったのでは!?
あまりにも身近に存在していた、僕の配信初期からの視聴者。
しかもまさかその人物が、クラスの王子様的存在である大路君とか。……こんな偶然、さすがにありえないだろ!
すると大路くんはその反応を不思議に思ったのか、きょとんとした顔で一瞬だけ僕のことじっとを見つめた。
これまで僕は彼の瞳を、サファイアの宝石みたいだとずっと思っていた。
だけど実際に間近で見ると、それはどちらかというと深海を思わせるブルーであると気付いた。
……綺麗だな。本当に、本物の王子様みたいだ。
「佐藤? お前、もしかして……」
思わず大路君の美しすぎる顔に見惚れてしまったけれど、彼の言葉でようやく我に返った。
もしかして、いったいなんだというのか? まさかたったこれだけのやり取りで、僕がそのりとる本人だと、気付かれてしまったとか!?
心臓が、かつてないほどの勢いと大音量で早鐘を打つ。
だけど、落ち着け! なにもバレるような発言、僕はしていなかったはずだろう!?
こっそり小さく深呼吸をひとつしてから、ほぼ力技で顔の筋肉を動かして無邪気を装い笑顔を作った。
「まさか、なに?」
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