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君についた嘘④

「君のいうように、大路君はきっと言いふらしたりはしないと思う。だけど、壁に耳あり障子に目ありっていうだろう? 万が一誰かに聞かれたりしたら、目も当てられない」  もっともらしい言い訳の言葉を、口にした。  すると太陽はその言葉を、額面通り受けとってくれたようだ。 「あー……、たしかに。校内であんまそんな話、しないほうがいいもんな。けどさ、理人。大路には、やっぱりちゃんと話しといたほうがいいと思うぞ? お前は嘘をつくのが下手くそだし、ほんとのことがバレたらめっちゃ気まずくない?」  太陽のいっていることは、正論だと思う。  それでもやっぱり、今さら本当のことを大路君に伝える勇気なんて持てそうになかった。  そしてそんな心境を、無言だった僕の反応から敏感に察してくれたのだろう。  太陽はふぅと小さくため息を吐き、それから諭すような口調で告げた。   「別にお前を、責めてるわけじゃないから。ただ、なんていうか。……罪悪感に押しつぶされるくらいなら、あいつから距離をとったほうがいい」 「うん……。そうだよね、太陽。ありがと、聞いてくれて」  すると太陽はあきれたように笑い、今度はわざと明るい声で答えてくれた。   「おうよ、どういたしまして。とはいえ最後に決めるのは、理人自身だから。……でも、あんま考えすぎんなよ?」  幼なじみというのは、本当に恐ろしい。  だっておそらく彼は、すべて僕の気持ちを理解した上でこんなふうに言ってくれたのだと思うから。 「うん、そうだね。もし話したほうがよさそうなら、そうするよ」  とはいえ秘密を明かすようなこと、僕にはできそうにないけれど。

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