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君についた嘘⑤

 太陽の忠告どおり、嘘を吐き通す自信がないなら、大路君とは距離を置くべきなのかもしれない。  なのに、それは嫌だと思ってしまった。  彼とはただの、クラスメイトで。つい数日前までは、まともに会話を交わしたことすらなかったはずなのに。  だめだ! やっぱりひとりだと、ついうじうじと余計なことを考えてしまう。  こんな時は、そうだ。お菓子を作ろう!  ちょうど配信用に用意した、キャロットケーキのレシピのための材料もあるし。  試作段階でもそこそこうまく出来ていたが、もう少し甘みがほしい気がする。  だから使う砂糖の量を、微調整したほうがいいかもしれない。  キッチンに移動して、僕の勝負服ともいえるエプロンを身に着ける。  三角巾を頭に巻いてカメラをセットすると、自然と理人からりとるへ、気持ちが切り替わるのを感じた。  ふぅと小さく深呼吸をして、ボウルをキッチン台の上に置く。  はかりを棚から取り出して、その横に材料を並べていく。  音声と音楽はあとから付けることにして、材料をひとつずつ、正確にはかっていく。  英国伝統の、キャロットケーキ。ぜひりとる君のレシピをとリクエストをいただいてから、二度焼いてみた。  これでうまくいけば、今週の配信はこのレシピでいこう! 元々キャロットケーキは、砂糖や蜂蜜が高級品だった時代、甘味料の代用品としてにんじんが使われたことがその起源とされているらしい。    ナツメグやシナモンなどの香辛料を使うことでただ甘いだけでなく、スパイシーな味わいが大人にも人気となり、最近よく話題になっている。

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