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芽生えた想い⑥

 その日大路君は僕との約束を守り、ちゃんとサブレを食べるのを学校にいる間ずっとマテができたようだ。  だからその結果、感想を聞くのは明日以降に持ち越しになってしまった。  それが少し残念な気もするが、そこは僕が我慢すべきだろう。  今回は余計なアレンジは加えず、元々配信したものと同じレシピどおり作ってみた。  そのため大路君がどんな感想を抱くのか、本音としてはとても気にはなるから早く聞きたい。  あぁ、明日が待ち遠しい! 早く、明日になってくれたらいいのに。  いつも太陽に食べてもらった時はこんなふうに考えたことはなかったのに、なぜか大路君の感想が気になって仕方がない。    そのためこの日僕はそわそわし過ぎたせいで夜なかなか眠りにつくことができず、翌日目の下にみっともないクマができてしまった。  そのせいで大路君には心配されてしまったけれど、その理由を彼には言えるはずもない。  僕のことを気遣うように見つめる、彼の瞳。  それを間近で見た瞬間、またしても心臓が馬鹿みたいにドクンドクンと激しく脈を打つ。  そこで鈍感な僕も、さすがに気付いてしまった。なんで僕が彼の反応が、こんなにも気になるのか。  そしてなんでこんなにも彼の、喜ぶ顔が見たいのかというその理由に。    そう。僕は大路君のことが、好きなんだ。……それもたぶん、恋愛感情として。  その事実に、愕然とした。  だけど彼は、みんなの王子様的な存在で。……しかも僕と同じ、男だぞ!?  ハハ……、嘘だろ。ほんと、不毛すぎる。  僕の顔を覗き込む大路君を前に、無理やり笑顔を作って答えた。 「心配してくれて、ありがとう。でも、大丈夫。特に体調が悪いとかじゃ、ないから。昨夜はつい夜更かしをしちゃって」

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