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第16話 買われて、蕩かされて ※R-18
そっと身体を重ねられ、心臓が跳ねる。
輝が俺のシャツのボタンに手をかけ、一つずつ丁寧に外していく。
「やっぱり、細いな」
「……うるさい」
肌に触れる手の熱さに、身体が勝手に反応する。
「圭は敏感だな」
首筋に唇が触れ、柔らかくキスされる。
「ん……っ……」
思わず漏れた声に、頬が熱くなる。恥ずかしい。
「いい声だな」
「……やめろ」
「やめない」
手が胸から下へ滑り、ベルトを外され、ズボンも脱がされる。
「待て……」
「なんで?」
「心の準備が……」
「必要ないよ」
下着にも手をかけられ、全て脱がされる。
「……見るな」
「見る。動画じゃなくて、お前の全部が見たい」
熱い視線に耐えられず、思わず目を閉じる。
「圭、目開けて」
「……やだ」
「開けてくれないと、もっと意地悪するよ?」
恐る恐る目を開けると、そこには輝の熱い視線。
「綺麗だね」
指先が身体に触れると、熱と安心が同時に押し寄せる。
「……っ、」
「圭……声、聞かせて」
耳元で低く囁かれ、「あっ……」と声を出してしまった。
輝の指先が胸に触れ、乳首をそっと摘まれると、息が詰まるように荒くなる。
「んっ……」
熱が波のように押し寄せて、意識が少しぼんやりしてくる。
輝の手がさらに下へいき、敏感なところを的確に攻められる。
「やっ……そこ……」
「ここ? 気持ちいい?」
答えたくなかった。でも、身体は正直に反応してしまう。
「っ……だ、だめ……っ」
初めての感覚に、頭が真っ白になる。
「……今、圭は俺のものだから」
優しいのに支配的な声に、ドキッとした。
首から鎖骨へ唇が滑り、乳首を吸われると、身体が小さく跳ねる。
「圭、力抜いて」
「無理……っ」
「大丈夫。俺に任せて」
輝の優しい声。
それに、少しだけ身体の力が抜ける。
輝が丁寧に俺を解していく。
痛みはあった。でも、それ以上に――。
「あっ……あぁっ……」
変な感覚が、身体を駆け巡る。
「輝……っ」
「ん?」
「す、ストップ……! なんか……変……」
「変? 気持ちいいんだろ?」
「……っ」
認めたくなかった。でも、嘘はつけない。
「素直になれよ」
輝が、俺の耳元で囁く。
「気持ちいいって、言ってみて」
「……やだ」
「じゃあ、もっと気持ちよくしてあげる」
輝の動きが、激しくなる。
「あっ……やっ……待っ……」
「待たない。お前が素直になるまで」
「あああっ……!」
身体の奥から、何かが溢れてくる。
「ほら、言って」
「気持ちいい……っ、ああっ……」
声に出した瞬間、恥ずかしさで顔が真っ赤になる。触れられるたびに熱が全身に広がっていく。
「あっ……ああっ……」
頭では混乱しているのに、身体だけは正直に輝を求めている。
「輝……っ! もう……ダメ……っ」
「いいよ、出して」
その言葉に、俺は――。
「ああああっ……!」
全身が、痙攣する。頭の中が、真っ白になる。
気づいた時、俺は輝の腕の中にいた。
「……っ」
身体が、だるい。動けない。
輝が俺の髪を撫でる。
「……最悪」
「え?」
「こんなの……最悪だ」
涙が、溢れてきた。
「おい、泣くなよ」
「泣いてない……」
嘘だった。涙が止まらない。
「痛かった? ごめん、加減したつもりだったんだけど」
「痛くない……」
「じゃあ、なんで泣いてるんだ?」
「身体、勝手に反応して……気持ちよくて……」
その言葉が、口から出た瞬間、恥ずかしさで死にそうになった。
輝が、少し驚いた顔をして――そして、優しく笑った。
「そっか。よかった」
「よくねぇし……」
「なんで?」
「だって……こんなのおかしい……」
輝が俺を抱きしめる。
また顔が熱くなって、輝の胸に顔を埋めた。
「圭は俺のものだから」
「そんなの、金の関係だろ……」
「今はね。でも、これから変わる」
「……何が?」
「お前の気持ち」
輝が、もう一度キスをしてきた。
深くて、甘いキス。
「んっ……」
「可愛い」
「……もう、やめろ」
輝が、俺の身体に触れる。
「あっ……」
「また、気持ちよくしてあげようか?」
「……っ」
身体が反応してしまう。
「ほら、身体は正直だな」
その言葉に、何も言い返せなかった。
否定すればするほど、自分の中の本音が暴かれていく気がして。
「もう一回、する?」
輝が静かに俺を抱き寄せ、低い声が耳元で笑うように響く。
「……っ、しない!」
思わず突っぱねると、輝は少しだけ肩をすくめて、「残念」と軽く笑った。
その笑みが、憎らしいほど優しくて。
わかってる。
俺は、もう輝から逃げられない。
あの日の傷を知っていても、心は、まだこいつに縛られている。
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