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第19話 溺れていく ※R-18
「……またホテル?」
「ダメ?」
「……別に」
そう答えた声は、少しだけ震えていた。
拒めばいいのに、拒めなかった。
――本当は、少しだけ嬉しかったから。
部屋に入ると同時に、輝が俺を引き寄せた。
その腕の温もりに、抵抗する気力が溶けていく。
「圭が足りない。毎日、会いたい」
その瞳に見つめられると、何も言えなくなる。
「……そんなの、無理だろ」
「無理じゃない。お前が俺のそばにいてくれれば」
輝が笑って、ゆっくりと顔を近づける。
「……っ」
唇が触れ、舌が絡む濃密なキス。身体が熱く反応して息が荒くなる。
「んっ……っ」
また、ドキドキする。
キスが深くなるたび、心臓がうるさく鳴った。
「圭、もっと欲しい」
「……っ」
輝の手が胸に伸び、乳首を軽くつままれる。
指先で刺激されるだけで、思わず声が漏れる。
「やっ……あっ……!」
「いい声だね」
「や、やめ……っ」
「やめない」
そのままベッドに押し倒された。
「今日も、気持ちよくしてあげる」
下着越しに敏感な部分を刺激されると、身体が反応して小さく腰を動かす。
「ああっ……!」
「可愛い」
恥ずかしくて、顔を背ける。
「こっち向いて」
「やだ……」
唇が首筋、耳、胸へと移動し、舌で乳首を舐められる。
「んっ……あっ……っ」
下着を脱がされ、指先が直接敏感な部分に触れた。
熱い刺激が全身に伝わり、声が自然に漏れる。
「あっ! やっ……そこ……」
輝に触れられると、身体が勝手に反応してしまう。
「ここ? 圭、覚えてるんだ」
「……待って……っ」
「もう、待てない」
その夜も輝に抱かれた。何度も名前を呼ばれながら。
気づけば、夜が明けていた。
朝日がカーテンの隙間から差し込む。
まだ眠気の残る頭の中で、隣の気配に自然と意識が向いた。髪に触れる指先の温かさ。
「ん……」
思わず小さな声が漏れる。
目を開けられないのに、胸の奥がどきどきする。
そして首筋に触れる温もり。
「あ……」
身体が思わず反応して目を開けた瞬間、
「んん……!?」
視線の先には、柔らかく微笑む彼。
「おはよう」
「おはよ……って、何してんだよ」
顔が熱くなり、視線を逸らす。
「起こしてるんだよ」
耳元で囁かれ、手が腹や腰を撫で、唇が首筋へと動く。
「あっ……そういう起こし方じゃなくて……」
「嫌?」
視線を合わせられず、でも正直に答える。
「……い、嫌じゃねえけど」
その言葉に、輝の笑みが広がるのがわかる。
胸の奥が、温かく満たされていく。
「なら、続けるよ」
唇が重なる瞬間、身体の奥で小さな震えが走った。
「んっ……ん……」
思わず応えてしまう自分がいる。
「……ちょ、朝から、元気だな」
「圭のせいだよ」
恥ずかしくて視線を逸らす。けれど、心の奥では嬉しさが弾ける。
「朝からやりすぎ」
「悪い」
――腕の中でぐったりしている俺を見つめて、輝が笑う。
「でも、気持ちよかっただろ?」
「……うるさい」
思わず頬が熱くなる。輝が額にキスを落とす。
胸に顔を埋め、余韻に浸る。
時間が止まったような、二人だけの朝。
「……もう、帰らなきゃ」
「早くない?」
「仕事があるから」
「会社、辞めたら?」
輝が、真顔で言う。
「は?」
「だって、お前、あの会社で苦しんでるだろ?」
「……それは、そうだけど」
「なら、辞めて。俺が養う」
「……無理」
「なんで?」
「だって……それじゃ、俺……」
言葉を濁す。
“輝に依存してしまう”――その恐怖が、喉に引っかかって出てこない。
「……ヒモみたいじゃん」
「ヒモじゃない」
輝が、俺を抱きしめる。
「お前は、俺のものだから」
「……っ」
その言葉に、胸がドキドキする。
「まだ、考えさせてくれ」
「わかった。でも、辛くなったらすぐに言って」
「……ああ」
輝が、俺の額にキスを落とした。
「大事にするから」
その言葉に、胸の奥がじんわりと熱くなる。
――なのに、怖かった。
このまま、輝に飲み込まれていく気がして。
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