19 / 27

第19話 溺れていく ※R-18

「……またホテル?」 「ダメ?」 「……別に」 そう答えた声は、少しだけ震えていた。 拒めばいいのに、拒めなかった。 ――本当は、少しだけ嬉しかったから。 部屋に入ると同時に、輝が俺を引き寄せた。 その腕の温もりに、抵抗する気力が溶けていく。 「圭が足りない。毎日、会いたい」 その瞳に見つめられると、何も言えなくなる。 「……そんなの、無理だろ」 「無理じゃない。お前が俺のそばにいてくれれば」 輝が笑って、ゆっくりと顔を近づける。 「……っ」 唇が触れ、舌が絡む濃密なキス。身体が熱く反応して息が荒くなる。 「んっ……っ」 また、ドキドキする。 キスが深くなるたび、心臓がうるさく鳴った。 「圭、もっと欲しい」 「……っ」 輝の手が胸に伸び、乳首を軽くつままれる。 指先で刺激されるだけで、思わず声が漏れる。 「やっ……あっ……!」 「いい声だね」 「や、やめ……っ」 「やめない」 そのままベッドに押し倒された。 「今日も、気持ちよくしてあげる」 下着越しに敏感な部分を刺激されると、身体が反応して小さく腰を動かす。 「ああっ……!」 「可愛い」 恥ずかしくて、顔を背ける。 「こっち向いて」 「やだ……」 唇が首筋、耳、胸へと移動し、舌で乳首を舐められる。 「んっ……あっ……っ」 下着を脱がされ、指先が直接敏感な部分に触れた。 熱い刺激が全身に伝わり、声が自然に漏れる。 「あっ! やっ……そこ……」 輝に触れられると、身体が勝手に反応してしまう。 「ここ? 圭、覚えてるんだ」 「……待って……っ」 「もう、待てない」 その夜も輝に抱かれた。何度も名前を呼ばれながら。 気づけば、夜が明けていた。 朝日がカーテンの隙間から差し込む。 まだ眠気の残る頭の中で、隣の気配に自然と意識が向いた。髪に触れる指先の温かさ。 「ん……」 思わず小さな声が漏れる。 目を開けられないのに、胸の奥がどきどきする。 そして首筋に触れる温もり。 「あ……」 身体が思わず反応して目を開けた瞬間、 「んん……!?」 視線の先には、柔らかく微笑む彼。 「おはよう」 「おはよ……って、何してんだよ」 顔が熱くなり、視線を逸らす。 「起こしてるんだよ」 耳元で囁かれ、手が腹や腰を撫で、唇が首筋へと動く。 「あっ……そういう起こし方じゃなくて……」 「嫌?」 視線を合わせられず、でも正直に答える。 「……い、嫌じゃねえけど」 その言葉に、輝の笑みが広がるのがわかる。 胸の奥が、温かく満たされていく。 「なら、続けるよ」 唇が重なる瞬間、身体の奥で小さな震えが走った。 「んっ……ん……」 思わず応えてしまう自分がいる。 「……ちょ、朝から、元気だな」 「圭のせいだよ」 恥ずかしくて視線を逸らす。けれど、心の奥では嬉しさが弾ける。 「朝からやりすぎ」 「悪い」 ――腕の中でぐったりしている俺を見つめて、輝が笑う。 「でも、気持ちよかっただろ?」 「……うるさい」 思わず頬が熱くなる。輝が額にキスを落とす。 胸に顔を埋め、余韻に浸る。 時間が止まったような、二人だけの朝。 「……もう、帰らなきゃ」 「早くない?」 「仕事があるから」 「会社、辞めたら?」 輝が、真顔で言う。 「は?」 「だって、お前、あの会社で苦しんでるだろ?」 「……それは、そうだけど」 「なら、辞めて。俺が養う」 「……無理」 「なんで?」 「だって……それじゃ、俺……」 言葉を濁す。 “輝に依存してしまう”――その恐怖が、喉に引っかかって出てこない。 「……ヒモみたいじゃん」 「ヒモじゃない」 輝が、俺を抱きしめる。 「お前は、俺のものだから」 「……っ」 その言葉に、胸がドキドキする。 「まだ、考えさせてくれ」 「わかった。でも、辛くなったらすぐに言って」 「……ああ」 輝が、俺の額にキスを落とした。 「大事にするから」 その言葉に、胸の奥がじんわりと熱くなる。 ――なのに、怖かった。 このまま、輝に飲み込まれていく気がして。

ともだちにシェアしよう!