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今も穿いているのなら、普段でも穿いているのだろう。 今気づいたのは姫宮のその部分に注目をしていなかったか、いやスーツのようにややぴったりであっても人様の臀部を見ないだろう。 隣で一緒に見ていた店員に気づかれていないだろうか。たとえ気づいていたとしてもいちいち指摘するわけがない。 姫宮の趣味だとしたら、わざわざ口にするべきではない。 安野自身も右に倣って見なかったことにするべき。 とは思うが、なにせ頭が前時代的なものだから、すぐに受け入れるのが難しい。 そして性格であるがゆえに理解する前に口に出してしまいそうで、危うい。 「私達を急に集めてどうされたんですか?」 安野が出勤日で、姫宮が遅くなる日。 同じ出勤日である今井が他の人が思っているだろう疑問を代表して口にした。 ちなみに小口は大河と共に大河の部屋に行ってもらっていた。念には念をというものだ。 「休みだった上山さんを呼ぶなんて、何か重大なことが?」と江藤。 「私は今日は特に予定がなかったので、良いのですけど」 「重大、というほとではないですけど、特に若い方の意見を聞きたいのですけど⋯⋯」 語尾が段々と小さくなっていく。 三人が顔を合わせる。 「らしくないですね。どうされたのですか?」 「もしかして、姫宮様のことですか?」 「えっ、姫宮さん?」 上山にずばりと言い当てられる。 彼女は他の人とは違う観察眼というものを持っているのだろう。とはいえ、安野が悩むことといえば姫宮しかいないと周知されているのだろう。 だから素直に「そうです」と返した。 「こないだ、急遽スーツを一緒に買いに行ったことがあったでしょう」 「ああ、安野さんが率先と行って、大河様の反感を買った⋯⋯」 「松下の奥様と伶介様の努力が水の泡にも、さりげなく私にもそんな感じでしたね」 「それは仕方ないことだったのですよ! 姫宮様おひとりで行かせることなんてできますか!」

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