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第7話
結局、俺は新條のナカで三回も果てた。新條のナカは最高に気持ちよかった。新條は俺のちんこをきゅうきゅうに締め上げてびくびくと身体を震わせ、何回もイッていた。そんな新條がかわいくて愛おしくて、俺は何度も深いキスをした。新條も舌を絡めて応えてくれた。
ぐったりしてしばらく二人とも横になっていたが、精液やらローションやらで身体はベッタベタだ。俺は無理にも身体を起こして新條を振り返った。
新條は目を閉じて横向きに寝ている。いくつか俺がこっそり付けた赤い痕が見えていて、エロい。後から怒られるかもなと思いながらもほの暗い満足を覚える。
新條の頬にそっとキスをした。すると新條が目を開けた。
「新條、風呂入らないか?身体がきつかったら俺が運ぶけど」
「ん~‥」
新條は一度ぎゅっと目をきつくつぶってから開けた。目元はまだほんのり赤い。唇が半開きで、とても扇情的な表情だ。あんなに出したのに、俺はまた下半身が熱くなるのを感じた。
「‥運んでもらうかな‥腰がいてえ」
「悪い」
俺は新條を横抱きにして風呂に連れて行った。風呂場のデカいマットの上に新條を降ろしてバスタブに湯をため始める。
その間にシャワーを出して新條の身体を洗う。
「笹井、さすがに自分でやるって」
「させてくれ。したいんだ」
俺はそう新條に頼んで、ボディソープの泡を新條にこすりつけた。その身体をやわやわと洗いながら、俺はずっと気になっていたことを訊くことにした。何かしながらの方が、訊きやすいと思ったからだ。
「新條、俺とセックスしてみて、何かわかったか?」
新條はしばらく黙っていた。俺は後ろから新條の身体を支えて洗ってやっていたから、その表情は見えない。
新條は身体を洗っている俺の手を掴んだ。
「笹井」
「ん?」
「笹井の事が好きなのは変わらない」
新條はそう言って俺の手を握ったまま、俺の方に首をねじって目を見てきた。
新條のきらきらした目と視線がぶつかった。
「すっげえ、気持ちよかったし」
「うん、俺も、いっぱい準備してくれてありがとう」
「また笹井とセックスしたいと思った」
「‥そうか」
新條は俺の顔に手を添えてきた。
「笹井は、気持ちがあるやつとしかセックスすべきじゃないって言ってたよな」
「‥うん」
「笹井がおれ以外のやつと付き合ってセックスすることもあるんだよなって考えてみたんだ」
「‥俺が好きなのは新條だ」
「うん、まあ仮定の話」
新條はそう言って、身体の向きを完全に俺の方に向けて俺の身体を抱きしめてきた。
「笹井が、おれ以外のやつとセックスするかも、と思ったらすごく嫌だった」
え。
「笹井がおれ以外のやつとキスするって考えたらそれもすごく嫌だった」
「新條」
新條は泡だらけのままの手で俺の首を引き寄せてキスをしてきた。そして舌を入れてきて俺の咥内を舌先でぐるりと舐めまわした。ぞくっとした快楽が身体の中心を走った。
ちゅっという艶めかしい音を立てて唇を離し、新條はにっと笑った。
「笹井、多分俺笹井が好きだ。他のやつにくっついてほしくないくらい。これって嫉妬、だよな?だから」
「新條!」
俺はぎゅっと新條を抱きしめた。
神様もう一生宝くじが当たらなくても文句言いません。
新條の気持ちを、俺に向けてくれて、俺にチャンスをくれてありがとうございます。
俺は新條の身体をぎゅうっと抱きしめ、その首筋に顔をすりつけた。新條の身体中を触りたい。首筋にちゅっとキスをすると新條が身をよじった。
「笹井、くすぐったい、あと、ちんこ勃ちそうだからやめろ」
「‥も一回挿れたい」
「時間ないだろ」
俺たちはそのあと、莫迦みたいにキスをしまくってお互い抜き合ってから何とか身体を洗って風呂を上がり、ホテルを出た。
サンドイッチは食べる暇がなかった。
ホテルを出てから、しばらく駅と反対方向に歩いた。せっかく買ったサンドイッチをどこかで食べたかったからだ。少し歩くと公園があったので、そこのベンチに並んで座った。
「美味いな、このサンドイッチ」
新條が調べた店のサンドイッチは本当に美味しかった。運動?も散々して腹が減っていたのであっという間に二人とも食べてしまった。
「あーまだ腹減ってる、帰りにも買って帰ろうかな」
「帰りは別の店で食べてもいいだろ。新條、夜一緒でもいいか?」
時刻は四時過ぎ。もう少ししたら晩飯、という時間帯だった。今日は家で食べないと言ってきてある。
新條は俺の顔を見て言った。
「‥笹井と一緒にいたいから、一緒に食べようかな」
新條。急に、甘える系彼氏みたいになるのは反則だ。
新條とちゃんと付き合い始めたら、俺の心臓は持たないかもしれない、と真剣に悩み始める。そんな俺の顔を見て、新條はまた笑った。
「笹井、なんかかわいいな」
‥‥スパダリ‥?これが噂のスパダリなのか‥?
新條は悶えている俺に構わず、ペットボトルの水を飲んでから言った。
「色々世話になったし、音ちゃんには報告しないとだなあ」
そう言えば。
「新條、俺も‥名前で呼んでいい?」
「ああ、いいよ、音ちゃんにはアキって呼ばれてるし」
「‥音原とは違う呼び方がしたい」
新條は目を丸くして俺の顔を覗き込んできた。
「え、笹井もそういうこと思うんだ」
「俺のことは修一郎って呼んで」
新條はまたにっと笑った。
「うん‥長いからシュウって呼んでいい?」
「‥‥いい!」
彼氏感ある!
「俺のことは?秋親って呼ぶ?」
う~ん、と考えて俺は言った。
「音原がアキって呼んでるから、俺はチカって呼んでいい?」
新條は俺の肩にごん、とその頭をぶつけてきた。
「いいよ。‥なんか嬉しいな、特別って感じで。‥シュウ」
俺たちは立派にバカップルになった。
サンドイッチの袋なんかを公園のゴミ箱に捨てて移動しようとした時、新條‥‥チカが「いっ」と呟いて顔を顰め、少しよろめいた。
「チカ、どうした?」
驚いてチカの腰に手をかけ、支える。チカはへっと少し傲岸な顔で笑って俺を見上げた。
「‥シュウががんがん突くから、な」
俺は顔がかあっと熱くなるのを感じた。
「ごめん‥」
「ん、へーき。なあ、まだ腹減ってる。どっか食べる店行こう。あ、その前にちょっと家に連絡入れとくわ」
そう言ってチカはもう一度ベンチに座って携帯を取り出した。
「新條か」
ふと誰かの声がした。俺が振りむくと、前に食堂と教室でチカに絡んできた上級生が、四人ほどの仲間を連れて立っていた。
上級生たちは、いかにもな悪い感じの服装をしていて、一番後ろのやつは煙草をくわえていた。
チカは、じろっと上級生に目をやると携帯を鞄にしまって立ち上がった。
「なんか用?」
チカは、抑揚のない声でそう言った。上級生ではない仲間がじいっとチカを無遠慮に見つめてくる。
「大里、やっぱこいつはあれだ、『倉見のジョー』だよ。大里から話を聞いてそうじゃねえかと思ってたんだ」
仲間はそう言ってははっと笑い声をあげた。チカは何も言わずにそのグループを見ている。俺は思わずチカをかばって前に立った。
「何か用ですか?」
「なんだお前。新條のダチか?」
上級生・・大里、という名前なのだろうそいつが俺のことも睨んでくる。さっきチカを見つめていた仲間がへらへら笑いながら俺に話しかけてきた。
「オトモダチくんねえ、そいつめちゃめちゃ強いから君がかばう必要ないんだよ〜?二年くらい前まで、この辺で知らないヤツはいないってくらい喧嘩強かったんだから!『倉見のジョー』って二つ名で呼ばれてたくらい!負けなしで来てて、急に姿を見せなくなったからどうしたのかと思ってたんだけど、こんな陰キャに偽装してたとはねえ~」
ぺらぺらと喋っているそいつに向けて、チカは低い声で答えた。
「うるせえな。好きで喧嘩してたわけじゃねえ。俺がチビだからって舐めてかかってくるヤツが多かっただけだ。俺から喧嘩売ったことはねえからな」
後ろで煙草をくわえていたやつが、チカの言葉を聞いてぷっと煙草を吐き捨てた。
「‥お前、秋吉ジムのオーナーの孫だろ。‥なんで試合に出なかったんだ」
チカはそいつの方に向き直った。
「じいさんの道楽にそこまでつき合えるか。しばらくジムに通ってやっただけじじい孝行した方だ」
俺から見ても、煙草のヤツは強そうに見えた。他の四人も、煙草のヤツには一線引いているように見えたからでもある。
煙草はずいっと身体を前に寄せ、チカの前に立った。
「俺の事を覚えてるか」
チカはまたさっきと同じような全く抑揚を感じさせない声で応えた。
「知らねえ。いちいち喧嘩吹っかけてくる馬鹿の顔なんて覚えてねえ」
煙草は無言のまま長い足でチカを蹴り上げた。ように見えたがすぐさまチカは後ろに飛びしさってそれを回避していた。
「チカ!」
思わず叫んだ俺の腕を、大里とかいう上級生が横からグイッと引いた。思わぬことをされて身体のバランスがとり切れず、俺はその場に膝をついた。そんな俺を見てチカが叫んだ。
「シュウ!」
大里は俺の後ろに回り込み、俺の右足の膝裏にぐりっと靴をのせて踏みつけた。柔らかい場所を容赦なく踏まれた痛みで俺は思わず「うあ!」と声を出した。
「やめろ、シュウには関係ねえだろ!」
煙草が蹴り上げようとした足をすっと下して俺を見た。
「あんまり痛い目に遭わせんな。‥俺とこいつが終わるまで捕まえとけ」
「おう」
大里はそう答えると、俺の背中をどんと押して地面に倒した。そしてそのまま俺の背中に座った。でかい図体の男子高生に乗っかられて息が詰まるのを感じた。
「終わるまでこうしとくよ」
「ふん」
煙草はまたチカの方を向いた。
チカは顔を真っ赤にしていた。そして眼鏡を取って横に放り投げた。ああ、眼鏡割れちゃうかもしんないだろ。チカ、チカ、俺のことに構うな。
そう言いたいのに、ちょうど肺の真裏辺りに乗っかられているせいか、うまく言葉が出てこない。
チカはすっと一歩前に踏み出した。チカの正面には煙草が立っているが、チカの視線は大里にしかなかった。
「‥シュウからどけ」
「お前が屋敷に勝ったらどいてやるよ」
大里は嬉しそうににやにやしながらチカを挑発するように言った。煙草‥‥屋敷はチカが自分の方に向いていないのが不満だったのか、身体を大きく振りかぶりチカに殴りかかった。
チカはふっとその身体を横にスライドさせて屋敷の拳を避けると、そのままくるっと身体を反転させて右足で回し蹴りを放った。屋敷はすんでのところでそれをよけ、その足を掴もうと手を伸ばした。
しかし、チカは足を掴まれることなく素早く着地した地点から斜め上向きに拳を突き出した。その拳は屋敷の胴にクリーンヒットした。
「グッ」
鳩尾くらいの急所に鋭くチカの拳が入って屋敷は呻いた。しかし呻きながらも屋敷は手を振り抜いてチカの横っ面を張り飛ばした。小柄なチカの身体はそのまま横に飛んで倒れた。
「‥‥ガッ!」
俺はチカ、と名前を呼ぼうとしたが上に乗っかられているせいでうまく声が出なかった。一度地面に倒れたチカは、すぐさま顔を上げて体勢を整えようとした。
しかしそこに一足でやってきた屋敷はチカの上から踵落としをくらわそうとした。チカは横に転がってそれをよけたが、「うぐ、」と声を上げてその場にうずくまった。
チカ、チカそういえば俺のせいで、腰が痛いんじゃないか?
俺は上に乗っかっている大里から逃れようと、必死に身体をよじった。
うずくまったチカに屋敷が走り寄って蹴り飛ばそうと足を引いた。
「チカぁぁっ!」
俺は目いっぱい叫んだ。そして上に乗っかっていた大里を振り払い、横に倒れた大里に体当たりして肘打ちをくらわした。
これまで生きてきて、喧嘩らしい喧嘩もしたことのない、俺のできる精一杯だった。肘打ちは全くどこも狙っていなかったのだがたまたま大里の脇腹に命中したらしく「うえっ!」と大里が汚い声を上げた。
それに構わずチカの方を振り返れば、屋敷の足を握ったチカがそのまま屋敷を引き倒し、その股間にぐりぐりと足を押しつけて立っていた。
「‥どうする?このまま踏み潰されるか、すぐさまここから立ち去るか、選べ」
チカは今まで聞いたことのないような、低いドスの効いた声で呟いた。まだ地面に転がって呻いている大里以外の三人もチカを見ながら腰が引けているのがわかった。
屋敷は苦しそうに呻いていたが、チカがぐりっと足を踏み込んだ時に悲鳴をあげた。
「わ、わかったッ、もう行く、行くから!」
屋敷の声を確認してチカは足を離した。そしてすぐさま俺のところにやってくる。
「シュウ、ごめん大丈夫か?背中とか、傷になってたり」
「大丈夫だ、それよりチカの方こそ大丈夫か?倒れてたりしてたみたいだけど‥」
「大丈夫。行こう、シュウ、こいつらから離れたい」
まだ転がって呻いている屋敷に他の四人がおそるおそる近づこうとしているのを尻目に、放り投げてた眼鏡と鞄を拾うと、俺とチカは小走りで駅の方に歩いて行った。
「っつ」
歩きながらまたチカが小さく声を上げて顔を顰めた。
「チカ、大丈夫か?」
「‥ん、やっぱちょっと腰がな‥」
そう言って背中の方に手をやってとんとんと叩く。俺はそれを見てたまらない気持ちになり、ひょいとチカを抱え上げた。
「シュウ!?」
驚いたチカが降りようと暴れるのをぎゅっと力を込めることで抑え込む。
「俺のせいだから、もう少し駅に近づくまでこうさせてくれ。恥ずかしかったら俺の方に顔を伏せてていいから」
俺は胸にあるチカの頭に口を寄せてそう囁いた。チカは返事をしなかったが、その耳は真っ赤になっていた。そのままチカは俺の胸の方に顔を伏せた。
駅までの細い道をチカを抱えたまま歩いた。時々通りすがりの人から何事?という感じでのぞき込まれたけど、あまり気にならなかった。
多分、チカは喧嘩とか全然好きじゃない。
でもたまたま強くて、それで喧嘩を吹っかけられることが多くなって、でもきっとそれが嫌になったんだ。
だから、最寄りの駅からは結構離れた俺と同じ高校に進学したんだろう。俺と同じ学区であの高校に通っているやつはいない。
学校で、音原と漫画の話とかしているチカはいつも楽しそうだった。二人でよく笑っていた。
きっとあれが本当のチカだ。
それと、俺に見せてくれた、あの艶めかしい姿。あれもきっと、本当のチカだ。
チカは好きでもない喧嘩を、きっと俺のために買ってくれた。腰も痛くて万全じゃないのに、俺のために戦って勝ってくれた。
「チカ、ありがとうな。頼りにならない彼氏でごめん」
俺は思わずそう言って胸にあるチカの頭にこつんと自分の額をぶつけた。チカは伏せていた顔を上げて俺の目を見た。
そして、にっと笑った。
「俺が頼りになる彼氏だから、イイだろ?」
どこまでもかっこいい、チカ。
「チカ、大好き」
俺はまたぎゅっと腕の中のチカを抱きしめた。うえ、と声を上げてチカが俺の胸を叩いた。
「シュウ、ちょっと苦し‥もう歩けるから下ろして」
「キスしていい?」
「ダメに決まってんだろ」
「キスしたい」
「シュウけっこう押すなあ。‥ん」
チカはそうぶつぶつ言いながらも目を閉じて唇をつんと差し出してくれた。俺は嬉しくなって、その唇をちゅっと吸った。
チカはドン、と俺の胸を押してそのまま俺の腕から降りてしまった。
「サンキュ、シュウ」
そう言ってゆっくりと駅に向かって歩き出す。
「う~ん、セックスでこんなに腰がやられるとは思ってなかったな。俺けっこう鍛えてると思ってたんだけど」
「それは、なんかごめん」
「はは、シュウだけのせいじゃないだろ?‥俺も欲しがっちゃったしなあ」
もっと、という艶っぽいチカの喘ぎ声を思い出して俺は顔を赤くした。それをごまかすかのように顔を扇ぎながら俺は話しかけた。
「チカのおじいさん、何かのジムやってるの?」
「ああ、総合格闘技系のジム。じじい結構強かったらしくて」
秋吉ジム、って言ってたっけ。総合格闘技かあ。小学校くらいの時しか見てなかったけど‥‥ん?秋吉?
「まさか‥チカのおじいさんて、秋吉龍玄‥?」
チカは振り返って目を丸くした。
「あれ?なんでシュウ、じじいの名前知ってんの?」
「有名人じゃん!俺たちが小一の時引退試合してたよな?」
「あーそうらしいな。俺ジジイの試合とか見たことねえから知らんけど」
秋吉龍玄は、独特のファイトスタイルで総合格闘家の中でも人気の高かった選手だった。引退時も五十手前だったのに、二十以上も年の違う選手といい戦いをしていて子どもながらにすげえと思ったことを覚えている。
「龍玄選手のお孫さんだったのか‥」
そう言いながらしみじみとチカを見つめていると、チカが嫌そうな顔をして俺を見てきた。
「‥じじいに会わせてくれって言うのは無しで。俺、じじいのジムには二度と行かねえことにしてるから」
「え、別にそんなこと頼むつもりはなかったけど、なんで?」
不思議に思って尋ねてみると、チカはますます嫌そうに顔を顰めながら言った。
「変に俺が、まあ‥ちょっと強かったもんでじじいが俺に夢見ちゃってさ‥選手にしようってしつこかったんだ。高校受験の邪魔になるって言って中三の初めくらいから会ってない。格闘家になんかなるつもりねえし」
秋吉龍玄にそうまで思わせるほど、チカって強かったのか。
でも、能力があることと本人のやりたいことが必ずしも合致してるわけではないんだな。
俺はそう思った。
「格闘家かあ‥将来の選択肢にもなかったなあ」
「俺だってねえよ。‥じじいがうるさく言ってただけ。だからじじいにはしばらく会わないようにしてる、喧嘩もできるだけ買わないようにしてじじいの耳に入らないようにしようってさ」
だから俺たちを助けてくれた時、このことは忘れろ、って言ってたんだな。
「チカが強いの、すげえなあって思って。俺も今日みたいな時、チカを守りたいから‥ジム行ってみようかな?」
「やめろ。シュウのことはなんかあったら俺が守るから大丈夫」
チカが心底嫌そうにそう言って手をぶらぶらと振った。
「チカが腰痛いときとか」
「‥痛くならないように鍛える」
「セックスしないとは言わないんだな」
「シュウはもうしたくねえの?」
そう言って俺の顔を覗き込んでくる。小悪魔め。
「したいに決まってる」
「はは!」
小柄で陰キャで、オタクな俺の彼氏は実は。
強くて男前な、小悪魔だった。
*一応ここで完結ですが、明日から夏休み旅行編を投稿します。よかったらそちらも見てやってください。
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