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第4話 画面の向こうの彼に振り回されて ※
リョウが少し照れながらも、自分の体を晒していく。
……そう、これが見たかったんだよね。
リョウの鎖骨にある小さなホクロ。何度も見てるのに、見るたびにドキッとしてしまう自分がいる。
肝心な部分はぼかしが入っていて見えないけど、リョウは自分のモノに指を絡め、喘ぎ声とともに上下に動かし始める。
肩で荒い息を繰り返す姿に、俺は思わずごくりと喉を鳴らす。
やばい、こっちまでドキドキしてきた。
⎯⎯ぁ……っ……はぁ……
恥ずかしそうに、でも一生懸命に動くその姿は、演技っぽくなくてそそる。
吐息混じりの微かな甘い喘ぎ声が可愛くて、めちゃくちゃ良い。
気づけば俺は画面を見つめ続けていた。
そして……自分の心臓だけじゃなく、なぜか体まで熱くなっているのを感じる。
こんなに一人の人を意識したの、いつぶりだろう。
仕事では常に誰かの視線を浴びて、カメラの前では完璧に振る舞ってるのに。
それなのに、ただの配信を見ている今のほうが、心が動いている。
――やばい、これ完全に沼だ。しかも深い。
リョウの小さな吐息が、イヤホン越しに耳に届く。
「……はぁ……」なんて言われたら、思わず胸が跳ねる。
画面越しでも伝わるその“熱”に、俺の心臓は早鐘どころかドラムセット級。
指先が無意識にスマホをぎゅっと握って、なんだか変な汗まで出てきた。
俺、完全に推しに落ちてる……。しかも真剣に……。
頭の中で自分が滑稽すぎて、ちょっと笑いそうになる。
でも、そんなことどうでもいいくらい、リョウの声が心に刺さる。
⎯⎯っ、……あ……やば……気持ちいい……
チャット欄も盛り上がる。
『声がエロい!』
『リョウちゃん、照れてる?』
⎯⎯ 照れて……ない……よ、あ……
必死に否定しているのに、声は掠れて息も荒い。
リョウは自分のモノを掴み、甘い声を漏らしながら手の動きを再開する。
ぬちゃぬちゃと湿った音が耳に届き、胸の奥がざわつく。
「……可愛い……」
吐息を漏らしながら扱くリョウを見ていると、俺も自然に興奮してしまう。
もっと見たい……いや、この人に触れたい。
『ひゅーが:リョウ、かわいい声を聞かせて』
思わずコメントを打つ。
⎯⎯かわいい声って……俺、27だからね……?
苦笑しながらも、指の動きは止まらない。
リョウは時折体をピクピクと震わせ、感じているのが分かる。
掠れた声、息遣い――すべてが画面越しに伝わってくる。
『リョウくん、えろい』『かわいい!』
コメントがどんどん流れる中、俺は迷わず大きな投げ銭をポチッと送った。
応援したい気持ちと、誰にも渡したくない独占欲が入り混じって、自分でもちょっと制御できない。
⎯⎯……ん、あ……声、聞かれてると……恥ずかしいね……
震える声、上擦った吐息。チャット欄が一気に沸く。
『エロい! 最高!』『もっと!』『リョウちゃんかわいすぎ!』
そして、俺からのコメント。
『その声、俺だけに聞かせてほしい』
⎯⎯な、何言って……っ、あ……はぁ……っ……
必死に耐えようとしているのに、声はどうしようもなく甘い。
思わず笑ってしまいそうなちょっとした仕草や照れ方に、胸の奥がくすぐられる。
⎯⎯……あっ……んんっ……!
羞恥と快感が入り混じるリョウの姿を、画面越しで独り占めしている気分。
……今日もまた、秘密の夜に巻き込まれちゃったな。
でも、なんだかちょっと楽しい。
可愛い相手に振り回される感覚が、少しクセになりそうで、思わずにやりとしてしまう。
ソファーに体を預けて、ふぅっと一息つく。
そのままベランダのドアを開けると、夜風がひんやりと顔に当たって、さっきまでのドキドキを少しだけ冷ましてくれた。
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