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第33話 バスルームで、距離ゼロ。※R
脱衣所に入ると、湯気がふわりと漏れ出してくる。
瑞樹はさっさとシャツを脱ぎながら、振り向きもせずに言った。
「ほら、涼太くんも早く脱いで」
「……マジ?」
「いやいや、お風呂入るのに服着たままっておかしいでしょ」
振り返った瑞樹が、無防備すぎる笑顔で言うもんだから、心臓がドクンと鳴った。
「なに固まってるの?」
「いや、別に。……ちょっと考えごと」
「そっか」
瑞樹は先に浴室に入っていき、シャワーを出す音が聞こえる。
蒸気に包まれた空間から、低い声が響いた。
「涼太くん、入っていいよー」
「……マジで入るからな」
「どうぞ」
しぶしぶ扉を開けると、瑞樹は髪を濡らしながら振り向いた。
その顔が、笑ってるのに妙にドキッとする。
「ほら、手、貸して」
「……ああ」
包帯をしてる指を取られて、瑞樹が軽く握りしめる。
「これくらいなら大丈夫そうだね」
「いや、でもシャンプーとかは無理かも」
「じゃあ、俺が洗ってあげる」
「は?!」
思わず声が裏返った。
「そんなびっくりしないでよ。頭洗うくらい別にいいじゃん」
「いや、“いいじゃん”じゃねぇよ。変な絵面になるだろ」
「絵面って……もしかして意識してるの?」
「うるさい」
瑞樹がクスクス笑いながら、俺の後ろにまわる。
指先が髪に触れて、泡立てるように動くたびに、くすぐったいような、心臓が跳ねるような感覚に襲われる。
「ん……」
「ねえ、力加減どう?」
「……悪くない」
「あはは。悪くないって何その言い方。素直に“気持ちいい”って言えばいいのに」
「言わねぇよ、恥ずかしい」
「ほんと素直じゃないんだから」
瑞樹が笑いながら、少しだけ距離を詰めてくる。
背中に湯気越しの温もりを感じて、息が詰まる。
やばい、近い……。
泡まみれの手を止めて、瑞樹が俺の横顔を覗き込む。
なんか急にドキドキしてきた。
さっき瑞樹は“今更恥ずかしくない”とか言ってたけど、普通に恥ずかしいよな、これ。
「泡もこもこで気持ちいいな」
「っ……」
ビクつく俺とは真逆で、瑞樹は楽しそうに泡で遊びながら俺の背中を洗ってる。
時々腰の辺りをさわさわと撫でるような手の動きが、なんかくすぐったい。
「瑞樹さぁ……その洗い方、なんとかなんない?」
「なにが?」
「……いやちょっと……ううん、なんでもない」
微かに震える身体に、瑞樹は気付いてないらしい。
「じゃあ涼太くん、足、開いて」
「はぁ?」
瑞樹が俺の膝をぐっと開こうとする。
「ちょ……っ、」
いや、そこはまずいだろ。
「まてまて!だめ!」
「開かないと洗えないじゃん」
「やだよ!恥ずかしい」
「ダメだよ、ほら早く――」
「ま……っ、」
俺の内腿ぎりぎりに泡をつけられる。
気のせいか、その手がいやらしくてぞくぞくする。
「っ……」
俺の内腿をするする撫でながら、中心部分にも泡を塗りはじめた。
「あっ……そこは触らなくていいからっ……!」
「ダメだよ、ちゃんと全身洗ってあげるね」
俺のモノに泡を塗りたくって、扱くみたいにその泡だらけな手で撫ではじめた。
「ちょ、こら、ふざけ……瑞樹……だ……め、あっ……、ふ、……は……」
「あはは、洗ってるだけだよ」
いくらなんでも……配信じゃないのにこんな姿は見せたくなかった。
「瑞樹っ……だめだ、って……あっ」
「……涼太くん、こうしたら気持ちいい?」
「んっ……ぁ、あっ、あ……!」
耳にかかる熱い息と、瑞樹の色っぽい声が腰にくる。
瑞樹と目が合って全身がゾクリとした。その瞬間、動きがさらに速められる。
「あっ……だめっ、……いきそ、ぅ、いく、……!」
瑞樹の前であっさりイッてしまった。
……てゆーかイかされた。まじ、最悪。
「はぁっ、は、はぁっ……」
「涼太くん、大丈夫?」
風呂場の壁にもたれかかる俺の髪を撫でて、心配してくれた……けど。
「全然大丈夫じゃねぇよ……何すんだよ、ばか……」
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