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第6話

ー三日後ー 「よぉぉーっし! きょおぉ──こそは二千万だあ‼︎」 二人が目の下に濃いクマを作り喜び合っていると、ピコンとスマホが鳴った。 ガバッと拾い上げて画面を開く。 念願のママンの返信が来ていた。 『すみません、実は親戚に不幸があって……。申し訳ありませんが、あと一週間ほど預かっていただけませんか?🙏💦」 「うちは託児所じゃねええ────ッ‼︎‼︎ 」 機嫌良くキャッキャと笑う赤ん坊の横で二人は悶絶した。 ーさらに7日後ー ママンからの返信。 『やっぱりお金が用意できません……実は私、シングルマザーなんです。じっくり腰を据えて資金繰りをしたいので、あと一ヶ月ほど待っていただけませんか?🙏』 「……いやフザけんなああ─────ッ‼︎‼︎ どうなってるんだ今時の母親はっ‼︎‼︎」 「アニキぃ、おれ、もうムリっす……最近、頭に10円ハゲが出来て……頭痛も毎日するし……」 「ヤス⁉︎ そりゃお前、あれだ、育児ノイローゼってやつだ」 「まじもう、ボロボロっス……腕は抱っこのし過ぎて腱鞘炎だし、腰は痛くて寝れないし、胃は痛くて飯も食いたくないし……ボンのことは可愛いけど、もう本当に無理っす。出頭しましょうよ、アニキぃー!」 「ヤ、ヤス……」 そのとき、 「……ばー!」 「ん?」  二人は同時につぶやき、赤ん坊を見つめた。 「ばー、……バッバ!」 「えっ、今……」 「呼んだっスかね、俺らのこと……?」 「バッバって、パパ、って言いたいのか?」 「……ばー‼︎」 ボンは天使の笑顔でキャッキャと笑った。 「ヤス……」 「アニキ……」 もう少しだけ頑張ろう。二人は頷き合った。

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