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ロッドウルム編  赤髪からの手紙 ①

♢ 〈ほとり視点〉 「もしかしたら何か知ってるかもしれないし、聞いてみる?」 「?」  皿洗い中のミチの横に並ぶ。 「聞くって……何を誰にだ?」 「赤髪の人に」  きゅっと水を止める。  ミチは怪訝な顔だ。 「……ほとり?」 「赤髪の人から手紙が来てさ。はいこれ。怖いから一緒に読んで」  ミチにハガキを渡す。  触らなきゃ駄目? みたいな指の動きで受け取ったミチに「破かないでね」と言っておく。  俺は背伸びして、ジャージの背中を握って、一緒にハガキの裏を見つめる。 「……」  やたら流麗な筆致を目で追った。  ハガキの裏には申し訳なかったと謝罪の言葉がつづられており、泥まみれになりながら宇宙生物たちと楽しそうに畑仕事している赤髪の写真が。 「「……」」  ミチと同じく目が点になった。  この赤髪の人の話はミチから聞いている。自分では宇宙生物を苦しめていたと思っていたのに、宇宙生物たちは何も思っていなかったこと。  『むしろあの空間で、俺の方がアウェーだった。俺宇宙生物なのに』とかミチが遠い目をしていたこと。  俺の横で「もう関わらないと誓っといて手紙送ってくるとか舐めてるな」とミチがわりと怒っている。 「でもさ……俺も気になってたし。赤髪の人。死なれてたらどうしようって。それにほら、何かあれば力になるって書いてくれてるよ?」 「お前にトラウマ刻みつけた奴にまで優しくしなくていい。ほとり。この住所に俺が赴いて、こいつは畑の土にしておくから」  めちゃくちゃ怒っている。歯軋りの音が聞こえてくる。  別の意味でジャージをしっかりと掴む。  写真には、クラゲに似た美しい宇宙生物が映っていた。他には、猿とリスのキメラのような生き物や、赤髪さんの肩に乗っかっている目が無数にある蛇っぽい生き物。 「これ皆……宇宙生物なの?」 「ああそうだ。俺の星の生き物もいる。これ」  ミチが指差した先に季節外れの大根が映っている。 「……」 「俺の星の生き物は、姿を変えられるやつが多いんだ。俺とか」 「そうなんだ。大根に化けちゃって……食べられたらどうすんのさ」  苦笑していると、ミチの表情がどんどん険しくなっていく。  エプロンを外した。

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