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ロッドウルム編  赤髪からの手紙 ②

「じゃ、俺は赤髪でサッカーしてくるから。お土産買ってくる。ほとりのためにハットトリック決めてきてやる」 「待て待て待てい」  手を振って見送ることなどできず、ジャージを掴むが止まらず引きずられる。でもすぐ止まってくれた。 「ほとり。何やってんだ」 「人間サッカーをするな。俺もついてったら駄目?」 「ほとりも赤髪を蹴りたいんだな。分かった。でも俺の傍から離れるなよ?」 「……うん」  蹴るわけではないが。宇宙生物たちには会いたくなった。自分から捕まっていたのなら、人より「優っている」んだろうし。きっとそうだ。うん。  ミチの腕を掴んで部屋に行く。  可愛斗に宇宙生物の部分を省いて説明すると、唸り出した。 「トラウマに向き合わないと、いつまでも可愛斗が帰れなくなるなと思って」 「帰りたくない。ここにいると飯出てくるし。ほとりいるし」  テレビを見ながらくつろいでいる。我が家のように。バイト以外はずっとここに居てくれるので、俺も助かっていが。 「ずっと拘束してるの、申し訳なくなってきてさ……。いや、居てくれていいんだけど。むしろ帰らないでほしいけど」 「じゃいいじゃん。何が不満なんだよ。無理にトラウマと向き合うのも良くないぜ? 心を第一に考えたか?」 「……」  寝転がってせんべいを齧っているくせに、良いことを言う。 「そう?」 「そうそう」 「出かけるから、留守番しててくれる?」 「一緒に行く!」 「可愛斗がまったく知らない人のとこに行くんだよ?」 「ほとりと一緒にいるうううううぅ」  寝転がったままじたばたし出したので、ミチがお腹を撫でていた。 「よーしよしよし」 「ほと……犬扱いすな! 触るなァ」  お腹を撫でているのが俺ではなく、ミチだと知ると荒れ狂いだした。元気だなこいつ。こぼしたせんべいの欠片を、ルンバさんが掃除していく。  情報を求めて、この三人で出かけることにした。

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