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第11話

22:45。 隼人に好きだと言われた。 いや、大好きだと言われた。 「…涼?」 「ごめん。なんて言えばいいか」 「…この前あんなことしておいて今更か…」 あんなこと、の中身を思い出して全身の血流が速くなる。 「あのさぁ…」 顔が赤くなるのがわかる。 部屋が暗くてよかった。 「…いきなりそんなこと言われたら」 「うん」 「トップガンが頭に入らないだろ」 「…笑」 隼人はさっき、男は初めて、と言った。 なぜかそれがすごく嬉しくて、なぜかそれで安心したような。なんでなのかはわからない。 「隼人」 「ん。」 「俺も男同士なんて初めて」 「…ほんと?なんでか、うれしい…」 「だから混乱する、ほんとに」 「俺もなんにもわかんないけど」 「うん」 「別にわかんなくてもいいんじゃないかなって思う、飛び込まないとわからないよ」 隼人が無邪気に布団に潜る。 「はやと?」 布団をめくると目が合う。 「…今日の試合、俺かっこよかった?」 「うん。憎たらしいくらい。」 「来てくれて嬉しかった」 それがすべてなんじゃない、と言われた気がした。 隼人が寝そべったまま両手を広げてくる。 俺もゆっくり寝そべって隼人の肩に頭を落とすと、俺を包むように身体を横向け、抱きしめられる。 「隼人大好き、」 くるりと抱き抱えるように身体を回され俺の背中がベッドにつく。 隼人は少し上体を起こして片肘をつき、俺に覆い被さって唇を舐め、舌を絡ませてくる。あの時のキスを思い出して、それだけで息が乱れる。 暗闇の中で隼人の端正な顔立ちにテレビの光が反射する。 キスがどんどん深くなる。 気持ち良すぎて酒に酔っているみたいな。 唇を離すと首元にキスをして隼人が大きく息を吐く。 「涼、脱がしたい」 「ん。」 トレーナーを脱がされると最後の理性が空気の冷たさに「ああ12月だな」と思考する。 隼人もTシャツを脱ぎ捨て、俺に覆い被さる。 一生味わうことがなかったかもしれない景色を奇跡的に観ているような、感じたことのない緊張と興奮に襲われる。 隼人の身体はとても熱くて、俺はその二の腕を何度もなぞる。 まっすぐと見つめられて、まっすぐと見つめ返す。 「隼人、ほんといい身体」 「どうしよ、めちゃくちゃ興奮する…」 「ん…。俺も。」 俺の首元や耳に何度も口付けをする。 くすぐったいような感覚が快感に変わっていく。 「っ…はぁ…」 「きもちいい…?」 「ん…っ…」 隼人の下半身が太ももにあたる。 男同士わかってしまうその反応に倒錯した興奮を覚える。俺相手に隼人がこんな反応をしていると思うと頭がおかしくなりそうだ。 「はやとぬいで」 隼人は全部を脱ぎ、俺のズボンにも手をかける。ゆっくりと下されると俺もだいぶ限界に近い。 俺の太ももに跨る隼人の硬いそこに手を伸ばし、太ももに擦り付けられるように手で覆い押し付けると、隼人は俺の手に向かってゆるゆると腰を動かし、抑えがたい欲望を持て余している。 「涼、おま、やらしーな…」 「どっちがよ」 隼人が体勢を直し俺に覆い被さる。 わざとらしく下半身同士が擦れ合う。 唇から溶けるようなキスに溺れる。 「ん、はや…っ」 隼人を少し押し返す。 「ん?、」 「隼人の舐めたい」 んー、と一瞬悩ましげな顔をしてベッドに膝立ちになる。 隼人の前に座り、立ち上がるそれを口に含む。躊躇うどころか、ほしくてたまらないというのが正直な気持ちで、自分でも驚く。ゆっくりと吸いながら舐めあげると隼人がどんどん切羽詰まっていくのがわかる。 「っー、…だめ、ストップ」 そう言うと口から引き抜いて、再び俺をベッドに押し倒し下半身同士をぴたりと這わせる。隼人は俺の手を取り、そこに運ぶ。 「触って」 「…じゃあさきにキスして」 唇を重ねる。 俺の舌を吸うたびに隼人のが大きくなるのがわかる。 「手でイっていい?いっしょに」 そう言って隼人が俺のを触ってくる。俺も隼人のモノを触る。体液が混じりあう音とお互いの息遣いが部屋に響く。 「もう出そう…」 「…俺も」 「隼人、……っ」 「涼っ……」 どんどんキスが激しくなる。 大きい鼓動と同時に白い液体が混じり合った。 ◇ 隼人side おまけ。 涼がぐっすり眠っている。 映画はすっかり終わっていて、スライドするメニュー画面が涼の顔を照らしている。 男同士がどうすればうまく愛し合えるのかなんて知らないけれど。 こんなにもいっしょにいたい。 11話 おわり。

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