10 / 35

第10話 海に投げ入れたブランデー瓶。(4)

レイズナーは昼過ぎに目が覚めた。 セシルの腕を解き、寝崩れた服を整え部屋をあとにした。 子供だった自分に気付かせてくれた彼に、これ以上みっともないところは見せられない、見せたくないと思った。 レイズナーはそのまま甲板に出てトレーニングを始めた。 自分はブラックシャーク号の中で、キャプテン・セシルとして存在している。 みっともないキャプテン・セシルを演じては駄目だ、よりセシルに近付こう。 シャドウキャプテンがトレーニングしていると、それに気付いた仲間達が集まり、一緒になって身体を鍛え始めた。 その仲の良いシャドウキャプテンと仲間を優しい目で眺める、キャプテン・セシルの姿が甲板の隅にあった。

ともだちにシェアしよう!