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第10話 海に投げ入れたブランデー瓶。(4)
レイズナーは昼過ぎに目が覚めた。
セシルの腕を解き、寝崩れた服を整え部屋をあとにした。
子供だった自分に気付かせてくれた彼に、これ以上みっともないところは見せられない、見せたくないと思った。
レイズナーはそのまま甲板に出てトレーニングを始めた。
自分はブラックシャーク号の中で、キャプテン・セシルとして存在している。
みっともないキャプテン・セシルを演じては駄目だ、よりセシルに近付こう。
シャドウキャプテンがトレーニングしていると、それに気付いた仲間達が集まり、一緒になって身体を鍛え始めた。
その仲の良いシャドウキャプテンと仲間を優しい目で眺める、キャプテン・セシルの姿が甲板の隅にあった。
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