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第13話 苦悩が似合わない男。(3)

どこかスッキリした気分でセシルはブラックシャーク号に戻ったが、船内は大事になっていた。 勿論セシルが本当のキャプテン・セシルだと知っている幹部のみが焦っていたわけなのだが。 無理もない、海賊船のキャプテンが何も言わず姿を消していたからだ。 「セシル、勝手な行動は謹んで!!下船するならせめてレイズナー(戦力)を連れて行ってちょうだい。アンタに何かあったら困るのはアタシ達なのよ?!」 シルビーはかなりキレていた。 「キャプテンが二人して出掛けていたら、それこそ何かあった場合事態がもっと大きくなるだろうが。俺とレイズナーの二人行動は出来ない」 セシルは普段通り冷静だった。 まさか船を下船していた理由が苦悩を整理するためだとは誰も思いもしていないだろう。 そして多分自分の部屋にいるだろうと思っていた弟分(レイズナー)は、セシル愛用の椅子にふんぞり返って主の帰りを待っていた。 「全く。……何処をほっつき歩いていたんですか、セシル」 「心配かけて悪いな、レイズナー。だが俺にでも誰にも言えない秘密くらいあるんだぜ?分かれよ」 笑いながらセシルは自分の心配していたレイズナーの頭をクシャクシャと撫で回した。

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