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第15話 欲求不満。(2)

セシルの部屋では、自分のシャドウ(影武者)が愛用の椅子に座って待っていた。 先程のシルビーに言われて来たのか、レイズナーが心配になって部屋を訪ねてきた、そんなところだろうとセシルは理解していた。 シャドウ(影武者)とはいえ、レイズナーはセシルが唯一気を許す人物なのだ。 「なんだレイズナー。独り寝が寂しくなったか?」 「俺がここにいる理由分かりますか、セシル」 「あー悪かったよ、無断で船内歩いて。でもほんのちょこっと歩いただけだって。それより酒でも飲もうぜ兄弟」 「その腕、……またですか」 そう言うとレイズナーは右腕から血がにじむシャツを捲って、髪を束ねていた布を巻いた。 船内にあるアルコールは限られているため、大したことのない傷では使うわけにはいかない。 「俺はきっとこの傷跡も付けなきゃ行けないんだと思ってるんですけど、セシルの意見も聞きたいです」 「そこまで真似しろなんて言わねぇよ。……それよりレイズナー」 セシルは砂時計を手にして、ひっ切り返した。 「今日はこれをあと何回かひっくり返してもいいぜ?」 そして自分から服を脱いだ。 レイズナーはセシルが欲求不満過ぎて苛ついているのを理解した。 「セシルが俺を求めてくれて嬉しいです。あんたが求めてる快感より、その上まで満たしてやるつもりで抱きます。」 レイズナーの手がセシルの胸筋に触れると、そのままベッドの上に押し倒した。 その日の行為は、砂時計など一切気に出来ないほどに、淫れながら溺れた。

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