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第23話 海賊と言ったら海と船。(4)
「あんたって思ってたよりも可愛い人だったんですね、セシル」
その日の明け方、レイズナーはセシルの部屋に寄った。
「俺がそうならお前も可愛いヤツだろ。あんな一言で船酔いしたような顔色で思い詰めやがるんだから」
「そうですよ、俺は可愛いヤツなんです。あんたの一言で俺は今後が変わる身ですし、セシルのいないチームなんて嫌です。それだけ俺はあんたに惚れてるんです」
あまり強く出過ぎたかとセシルはレイズナーを抱きしめた。
仲直りのハグのはずが、いつの間にかレイズナーの手はセシルの腰を優しく愛触していた。
「お前、船員に聞かれたら同じように答えろよ?」
「ええ、俺はあんたのシャドウですからね。あんたになりきって答えます。『海賊と言ったら、海と船だろう』ってね」
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