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第31話 大海原の片隅で。(3)
「ただいま戻りました、セシル」
レイズナーはセシルの部屋で報告をした。
「収穫はどうだ?」
「虐殺専門の海賊一味を一網打尽し、攫われた女達を港に返しました」
「宝は?」
「宝物庫に運んでます」
「ご苦労さん、レイズナー」
セシルはレイズナーの肩を叩いて労おうとしたが、その手をレイズナーに盗られると、そのままベッドに押さえつけられた。
セシルの喧嘩の腕前は負け無しのため、されるがままだった現実に、レイズナーを苛立たせた。
嫌なら拒める状態の彼が隙を見せるのは、自分だけだったらいいのにとそう思う。
「なんだよ、そんなにヤりたいのか?」
「四日も離れていたんですから、……当たり前です」
レイズナーはセシルにフレンチ・キスをしてから、そのまま耳元に唇を付けて話した。
「遭難船を助けたのは何故ですか」
「何処で聞いたんだよ、お前」
「女達を下ろした港です」
するとセシルは真顔でこう言った。
「レイズナー、お前は俺の行動に文句つけるのか?」
「……いえ」
セシルの真顔は迫力が桁外れたった。
それはレイズナーでさえ、一瞬怯むくらいだった。
しかしその真顔は秒で笑みに変わった。
「そんなのただの気まぐれに決まってるだろ。それよりもレイズナー、早く報告しろよ?」
そういうとセシルは砂時計を引っ繰り返すのではなく、横に倒した。
レイズナーからのセシルへの報告は、ベッドの上で長時間に及んだ。
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