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第32話 溜め息と告白と。(1)

最近セシルの様子がおかしいと感じるようになっていたブラックシャーク号船内。 その様子に最初に気付いたのは、一番身近にいるレイズナーだった。 何かの作戦を真剣に考えているのだろうかと最初はそう思っていたのだが、やたらと艶っぽい溜め息を吐いていたので、セシルがおかしいとレイズナーは思った。 以前このようなセシルをレイズナーは見たことはあった。 レイズナーがセシルを抱き始めて、『好きだ』とそう告白したそのときのことだった。 「セシル、その溜め息はわざとですか」 「……あ?何がだよ」 セシルが溜め息を吐いた次の瞬間にレイズナーは尋ねて見たが、どうやら無意識の内に溜め息が出てしまっているらしかった。 「溜め息が多いので、何か考え事かなと思ったんですけど」 そうレイズナーが言うと、セシルは普段通りに笑顔で答えた。 「なんでもねぇって」 なんでもないはずがない、レイズナーは確信していた。 しかし自分が聞いていいものなのか。 もしかしたらそれはレイズナーの思い違いで、セシルは今後の作戦を考えているなら自分が聞いても的確なアドバイスは出来ないだろう。 逆に聞いてセシルの気持ちが軽くなるのなら聞くべきだろう、そうも思っていた。

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