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第33話 溜め息と告白と。(2)
「ふぅ、……どうしたもんかな」
セシルは悶々とした感情のままでいた。
レイズナーの告白にもまだ返事をしていないのに、宿敵の海軍提督の幼馴染みからの告白され、更にその時抱かれてしまっていた自分なのだ。
自分の気持ちはどうなのか、理解が出来ていないのだ。
レイズナーにはウィリアムズの存在を話していない。
海軍提督と自分が幼馴染みだと言えずにいるのは自分が海賊の頭だからか、それともまた別の理由なのかすら分からない。
当然ウィリアムズに抱かれたことも言えずにいる。
「アイツに抱かれたこと、言わないと。……フェアじゃないよな」
ウィリアムズはセシルが弟分に抱かれていることを話している。
だからレイズナーにもなんとか話さなければならないだろう。
セシルはベッドに寝転がった瞬間、部屋の鍵が開く音がした。
セシルの自室の鍵を持っているのはレイズナーしかいない。
「どうした、レイズナー」
部屋に入ってきたレイズナーに声を掛けたら、そのままセシルに覆いかぶさった。
「あんたが眠れてない気がして来ました」
「……マジか。お前そこまで俺のこと理解してんの、少し怖いぞ」
そうセシルが言い終わるのと同時に、レイズナーの唇が降りてきた。
深い口付けを交わしてから、セシルはレイズナーを抱きしめて言った。
「レイズナー、俺は……久しぶりに会った幼馴染みと寝たんだ」
「……え?」
「相手は女じゃない、男だ。俺が女になって抱かれた」
セシルはレイズナーの顔も見ずに、正直に告白をした。
だからレイズナーが今どんな表情をしているか、セシルには分からない。
「天下の大海賊のキャプテンが、たかが幼馴染みに告白されて。そのままセックスするなんて軽いって思うだろ」
「……それでセシルは悩んでいたんですか」
「俺がそれだけで悩む訳ないだろう」
「そうですね。あんたが抱いてた女だって、そんなことで悩んでいる訳ないてすしね」
レイズナーの声色は普段と変わらないものだったが、次の言葉を聞いたときにセシルは告白したことを後悔した。
「それじゃ、俺はあんたの特別じゃなかったってことですか」
「……お前、何言ってるんだ。レイズナー」
「あんたが俺に抱かれてるのは、この右目の傷のせいだ。この傷を付けなきゃ、俺があんたを抱けるなんてあり得なかった。……そうですよね?」
レイズナーの左目から涙が流れ、セシルの右目の傷跡を濡らした。
「レイズナー、違うって。最後まで俺の話を聞け!!」
セシルはレイズナーの涙を拭ってやったが、その優しさすら彼には届かなかった。
「その幼馴染みに弱みはあったんですか?単に惚れていたんですか?……俺には砂時計の時間しか与えてくれなかったのに、その男は優しく抱いてくれましたか?」
そのままレイズナーはセシルを荒々しく服を脱がせたが、セシルは一切抵抗はしなかった。
レイズナーは始めて砂時計なしでセシルを抱いた。
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