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第37話 シャドウキャプテンお披露目会。(2)
気絶を仕掛けると水をかけられ、強制的に起こされる。
それはそれはとてつもない凶気に満ちた拷問で、監視官すら目を背けたくなるほどの鞭での仕打ちに、レイズナーは死んだほうが楽なのではと思いかけたとき、カインの手は止まった。
「……上に報告する時間だな。監視官、牢の外に出て見張りを続けてください」
カイン、そして監視官が外に出て、ようやく一人になったレイズナーは大きく息を吐いた。
「ははは……」
レイズナーの口から乾いた笑いが出た。
ここで俺はセシルのために死んでも悔いはない、そう思っていた。
大提督ウィリアムズとやらがここに戻ってきたら、どんな大海賊のキャプテン・セシルを演じてやろう、そう思いながらまた身を起こした。
ふと考えた。
セシルのために死ねば、彼の心に少しでも自分がいられるのではないか。
それはそれでいいと余計に笑えてきたレイズナーは冷静になっていた。
その冷静さを取り戻せたので、気付けた。
建物内が静か過ぎるのだ。
監視官すらこの牢の前にいない事に気付けたレイズナーは、外で只事ではないことが起こっている事に気付いた。
そして次の瞬間、牢のドアがガタリと開いたと思ったら、予想できなかった人物が入ってきた。
「セシル!!……あんたどうして」
「なに大人しく捕まってんだ、レイズナー」
そう、牢に入ってきたのはセシルだった。
しかも初めてセシルに出会ったときのレイズナーの服を着て、右目に黒い眼帯をしていた。
「一体どうして俺を」
「馬鹿も一度捕まれば治るかと思ったけど、捕まってもまだ治らねぇみたいだな。大海賊キャプテン・セシルが簡単に捕るなんて、本当にダサいぞ」
「ですから、どうしてセシルが……」
「そりゃ、シャドウキャプテン・レイズナーのお披露目会だからだろ。今はお前のために俺が働いてやるってことだ」
セシルは手枷足枷を針金で簡単に解き、肩を貸した。
そして牢から出ると、外で待っていたシルビーとその数名の仲間と共に廊下を走った。
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