37 / 40

第37話 シャドウキャプテンお披露目会。(2)

気絶を仕掛けると水をかけられ、強制的に起こされる。 それはそれはとてつもない凶気に満ちた拷問で、監視官すら目を背けたくなるほどの鞭での仕打ちに、レイズナーは死んだほうが楽なのではと思いかけたとき、カインの手は止まった。 「……上に報告する時間だな。監視官、牢の外に出て見張りを続けてください」 カイン、そして監視官が外に出て、ようやく一人になったレイズナーは大きく息を吐いた。 「ははは……」 レイズナーの口から乾いた笑いが出た。 ここで俺はセシルのために死んでも悔いはない、そう思っていた。 大提督ウィリアムズとやらがここに戻ってきたら、どんな大海賊のキャプテン・セシルを演じてやろう、そう思いながらまた身を起こした。 ふと考えた。 セシルのために死ねば、彼の心に少しでも自分がいられるのではないか。 それはそれでいいと余計に笑えてきたレイズナーは冷静になっていた。 その冷静さを取り戻せたので、気付けた。 建物内が静か過ぎるのだ。 監視官すらこの牢の前にいない事に気付けたレイズナーは、外で只事ではないことが起こっている事に気付いた。 そして次の瞬間、牢のドアがガタリと開いたと思ったら、予想できなかった人物が入ってきた。 「セシル!!……あんたどうして」 「なに大人しく捕まってんだ、レイズナー」 そう、牢に入ってきたのはセシルだった。 しかも初めてセシルに出会ったときのレイズナーの服を着て、右目に黒い眼帯をしていた。 「一体どうして俺を」 「馬鹿も一度捕まれば治るかと思ったけど、捕まってもまだ治らねぇみたいだな。大海賊キャプテン・セシルが簡単に捕るなんて、本当にダサいぞ」 「ですから、どうしてセシルが……」 「そりゃ、シャドウキャプテン・レイズナーのお披露目会だからだろ。今はお前のために俺が働いてやるってことだ」 セシルは手枷足枷を針金で簡単に解き、肩を貸した。 そして牢から出ると、外で待っていたシルビーとその数名の仲間と共に廊下を走った。

ともだちにシェアしよう!