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第16話 本能が名前を呼ぶ夜 ※R-18
冬馬の胸に顔を埋めると、鼓動の音が近くで響く。
「……律、俺はαだ。止まれなくなる」
冬馬の声が、必死に理性を保とうとしているのがわかる。
「……いい、から……」
「っ、……律」
顔を上げた瞬間、唇がすぐに塞がれた。
最初は軽く触れるだけのキスだったけど、すぐに息を奪うくらい深くなった。
「ん……っ」
舌が入ってきて逃げられない。
息をつく暇もなく、冬馬がまた唇を重ねる。
手が背中をなぞって、腰に触れた瞬間――身体が思わず反応した。
「……っ」
「律……敏感すぎる……」
冬馬が、耳元で掠れた声で囁く。
「ヒートだから……」
「わかってる。だから余計に……抑えるの、きつい」
顔を逸らそうとしたのに、そっと顎を持ち上げられてしまった。
「律。こっち向いて」
「……見なくていい……」
「見たい。お前が……今どんな顔してるのか」
真剣な顔で言われて、もう何も言えなかった。
「律のフェロモン、律の全部が……俺のαを刺激してる」
冬馬の瞳が、完全にαの色に染まっている。
「冬馬……」
「ん」
「俺……初めてで……」
恥ずかしいのに。でも、隠せない。
「……冬馬がいい」
自分でも何を言っているのかわからない。
でも、もっと冬馬を感じたい。
「そんなこと言われたら……俺だって平気じゃいられない」
冬馬の声が低くなって、触れている手に力が入ったのがわかった。
「律……」
「冬馬……」
お互いの名前を呼び合って。
冬馬が、優しく俺の身体に触れてくる。
「……もう、止まれない。ごめん」
そう言うと、冬馬は体中を触ったり、胸に口づけを落としてきた。
「んっ……ああっ……」
声が、勝手に出る。
いつもなら絶対に出さないような声。
「冬馬……っ、やだ……こんな、声……」
「いい。律の、全部を知りたい」
冬馬が俺の唇を奪う。深くて、激しいキス。
息ができない。でも、離したくない。
「はぁ……はぁ……」
「律……」
冬馬の指が、丁寧に俺の体を開いていく。
「……あっ……」
「痛いか」
「……っ、少し」
「ごめん。でも、すぐ……気持ちよくなるから」
冬馬が優しく囁く。
その言葉通り、徐々に痛みが引いていく。
代わりに、快感が強くなっていく。
「あ……っ、冬馬……」
頭が、真っ白になる。
「もっと……」
思わず、自分からそんなことを言ってしまう。
冬馬の瞳がさらに色濃くなって、体ごと覆いかぶさってきた。
「律……痛かったら、すぐ言えよ」
「……わかってる」
信頼はしてる。でも、ちょっと怖い。
冬馬の手が俺の体を優しく撫でて、腰を掴む。
「っ……あぁっ」
体が、繋がる。
深くて甘い快感に、思わず声が出てしまう。
「……律、大丈夫か?」
冬馬が、心配そうに俺の顔を覗き込む。
「……っ、だい、じょうぶ……」
「嘘つくな。顔、泣きそうだ」
「泣いて、ない……」
「……ごめん。動くぞ」
冬馬が、ゆっくりと動き始める。
呼吸も痛みも、全部彼に溶かされていく。
「んっ……あ、ああっ……」
冬馬の動きが徐々に速くなり、快感が波のように押し寄せる。
「あっ……! 冬馬……っ、待って……!」
「待てない。律が……可愛すぎて」
冬馬は、優しく俺の唇を封じるように口を重ねた。
「……んっ……」
キスをしながら、冬馬が動く。
身体が熱い。でも、それは苦しい熱さじゃない。
冬馬と繋がっている、温かさ。
「冬馬……冬馬……っ」
「……律……」
頭の中が真っ白で、何も考えられない。
全身に広がっていく快感に、息が震える。
ただ、この腕の中でなら、何も怖くなかった。
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