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セリクの望んだもの*
「どうですかケイト様、そろそろ熱くなってきましたか?」
セリクの言葉に応えるように、俺の腹の奥にじわりと熱が集まる。
こういうのって、あれだよな。なんかエロ広告とかで見るやつ……。
ああそうか、媚薬シチュってやつか……。
頭の中までもがぐつぐつと煮込まれているような熱さに、思考が朧げになる。
「ふふ、可愛いお顔になってきましたね……」
ん……、なんだって……?
俺が言われたことを理解するのに時間がかかっているうちに、俺のシャツのボタンを全部開けたセリクの手が俺の肌を撫でた。
「っ……」
それだけで、びくりと腰が揺れてしまう。
俺の両手両足首を拘束している黒鉄の輪のようなものは、魔力を通すことで磁石のようにくっつき合うのか、セリクはそれらを器用につけたり外したりする。
俺の両腕は今、大きなソファの背もたれのてっぺんに2本束ねて固定され、俺は両腕を頭上に持ち上げたような格好になっていた。
こういうポーズは、可愛い女子がやるからいいんじゃないのか?
セリクは俺で本当にいいのか……?
戸惑う俺の腰をセリクは片手で抱えて、俺のズボンを下着ごとずらす。
いつの間にそんな腕力を……。
いや、そもそも俺をここまで運んで来たのも、セリクが1人で運んだのか。
本当に大きくなったなぁ……。
ズボンを足首の部分まで引き下ろされると、色々とモロ出しになった。
魔法の影響か、俺の物は触れられることもないままにしっかりと立ち上がっていた。
俺は恥ずかしさにギュッと目を閉じる。
セリクはこの部屋全体に防音術と魔力探知避けを施していると言っていた。
つまり俺は、全力で叫んだところで、聖力を爆発させたところで何にもならないという事だ。
俺の使う魔法は、そのほとんどが魔力を必要とする。
それを誰にも借りられないなら、俺にできるのは浄化と障壁……。
あ。障壁があるか。
時間稼ぎにしかならないだろうが、俺だって無抵抗で犯されるわけにはいかない。
せめて抵抗の意思をだな……。
俺がなけなしの理性を集めて必死で作った障壁に、セリクがバチっと弾かれて、机の角で頭を打った。
「あ、セリク!」
ゴン、とそこそこ良い音がして、俺は思わずセリクを心配してしまった。
セリクはむくりと起き上がると楽しそうに笑う。
「ハハっ、ケイト様はやっぱりすごいなぁ。そんな状態でもまだ術が使えるんですか?」
言って、セリクはもう一度俺に覆い被さってくる。
もう一度慌てて張った障壁は、セリクの風魔法に一瞬で崩された。
粉々に砕け散る白い壁に、そんな、まさか。と目を疑った。
どうして俺は気づかなかったのか、セリクはあの時点であれほどの魔力を持っていて、あれだけの魔法をすぐに使いこなしたじゃないか。
3年も会わなければ、もっとずっと上達していて当然じゃないか。
俺はもう、魔法ではセリクに敵わないんだ。
それどころか、腕力ですら敵わない可能性もある。
それなのにこの1年間、その成長にすら俺は気づいていなかったなんて……。
俺の首筋にセリクが顔を埋めて、そのままこしこしと擦り付ける。
その仕草は、あの頃のセリクが寂しい時に見せていたものだった。
「ごめん、セリク……寂しい思いをさせていたね……」
俺が謝れば、セリクは小さく笑った。
「いいんですよ。もう。……これからはずっと、ケイト様は僕だけのものですから……」
言ったセリクの舌が俺の首筋を舐める。
「っ」
たったそれだけの刺激で、身体が震える。
俺の中心に、痛いくらいの熱が集まっている。
俺の視線を追うようにして、セリクの手が俺の物を握った。
「んっ」
小さく漏らしてしまった声が恥ずかしくて、俺は赤面する。
「ふふ、恥ずかしいんですか? 大丈夫ですよ。ここの音は漏れませんから」
セリクはどこまでも優しく囁く。
「僕にいっぱい、ケイト様のお声を聞かせてくださいね……?」
セリクの手が俺の物を擦る度に、今まで感じた事のないような快感がそこから湧く。
「ぅ、ぁ、ん、っ、っっっん」
声を堪えようとするのに、どうしてもうまくいかない。
「んっ、ぅんんっ」
どくどくと煩い心臓は、まるで喉の辺りまでせり上がっているような気がした。
ぱっとセリクの手が離れる。
熱を失った俺の腰が無意識に揺れる。
セリクはいつの間に脱いでいたのか素肌のままで俺に跨ると、俺の右手だけを固定具から外して彼の後ろ側へと俺の手を導いた。
「……?」
ぼやけた頭は彼の意図を汲めずに、俺は小さく首を傾げる。
「僕のここを浄化してください」
浄……化……?
言われるままに、俺はセリクのそこを浄化する。
「流石ケイト様ですね、お上手ですよ」
期待に添えたことだけが分かって、俺はホッとする。
セリクはソファー脇のテーブルに置いていた小瓶からとろりとした液体を手に取ると、セリク自身の後ろへと塗り込んだ。
あ……分かった、……これ、セリクは俺のを……。
ようやく理解が追いついた頃には、俺の物はセリクの手に掴まれていて、そのままセリクのそこへと差し込まれていた。
ずぶずぶと割り入る感触に思わず腰が引けそうになる。
だって、こんなの、セリクに入れていいものじゃない。
「ん、っ」
俺の小さな呻きに、セリクの声が重なる。
「ぁ、あ、これが、ケイト様……っ、ずっと……ずっと欲しかった……」
その声は喜びに溢れていて、俺はどうしたらいいのかわからなくなった。
セリクは俺の上で腰を揺らして、奥へ奥へと俺の物を進める。
その度にどうしようもないほどの快感が湧き上がるのが、俺には怖くてたまらない。
「っ、セリク、痛く、ない……?」
上がる息の合間から思わず尋ねた俺に、セリクは色付いた声で答える。
「っは、気持ちイイ、です……ケイト様の……とっても熱くて……」
セリクはすっかり根元まで俺の物を飲み込んで、夢中で腰を振っている。
「ぁ、……あ、っぁああっ、ケイト様っ、奥……奥まできてますっっ」
「んっ……っ、まっ、て、ダメ、出ちゃ……っっ」
俺の身体は焦りと恐怖に震える俺の気持ちとは関係なしに昂って、セリクの求めるままに彼の中へと熱を放った。
「くっ」
「あっ、あぁぁぁあぁぁぁんんっっっ」
セリクの身体が大きく跳ねる。
まるで意のままにならない自分の身体に、俺は堪えきれず、涙が溢れる。
「ごめ……、セリク、ごめん、ね……」
「どうして、ケイト様が……謝られるん、ですか……? 襲われているのは、ケイト様、ですよ……?」
セリクはハァハァと肩で息をしながら答える。
そうか……。一方的に犯されているのは、俺の方なのか……。
それからセリクは嬉しそうに微笑んで言った。
「僕は今、とっても嬉しいです」
ああ……。
俺はもう……ここから帰ったが最後、こちらには二度と来れないんだな……。
頭の隅の方で、俺はその事実をぼんやりと掴む。
「ケイト様、もう一回してくださいっ」
セリクは俺の物を抜く様子もなく、そのまま腰を揺らし始める。
鋭く刺さる快感は、俺の物がまだ力を失っていない事を伝えていた。
嘘だろ……。今出したばっかなのに……。
俺は愕然とする感情ですらも快感に押しつぶされていくことに恐怖を感じる。
「ぁ……やだ、待ってセリク、こんなの、や……っ」
「あれ、ケイト様……怖いんですか?」
「……っ、怖、い……」
ガクガクと震える手足は恐怖からなのか、それともセリクから与えられる快感によるものなのか、もう分からない。
「大丈夫ですよ、怖いのもわからなくなるくらい、気持ち良くしてあげますからね」
ふわりと微笑むセリクの瞳は劣情に染まっている。
「や……、待って、セリク、待って、や……っ。ぅあっ」
セリクは俺のはだけたシャツの中に手を入れると、胸の突起を摘んでくる。
びくりと跳ねたのは、俺の身体だった。
嫌だ、こんな……。
こんなのは、俺は嫌だよ……セリク……。
「もう、こんな、事……っ、や、やめて……っセリク……っ」
俺の言葉は、セリクに全然届かない。
無力感と悲しみに、心が塗りつぶされてゆく。
それなのに、俺の身体だけはセリクの求めるままに応えて、彼が満足するまで繰り返し熱を与えてしまう。
俺は、自分の身体がまるでコントロールできない事実が、怖くてたまらなかった。
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