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重なる日々*

こんな事をしてしまえば、この方は僕を嫌いになってしまうかもしれない。 身体の自由を奪って強引に犯そうというのだ。罵詈雑言を浴びせられるとしても、それは仕方のない事だと僕は覚悟していた。 僕にとってケイト様は何にも代え難い、大切な方だ。 だからこそ、この方に軽蔑されてしまう事は、僕にはかなりこたえるだろうと思っていた。 だというのに、この方は何をしても僕を疎まなかった。 僕に謝り、許しを乞うばかりで、僕を罵る事はしなかった。 ただ、どうしてと、悲しそうに涙をこぼすのだ。 なんとお優しい方なのだろうか。 そのお心の美しさ、慈悲深さに、僕は驚嘆しつつもありがたくそれを利用した。 心の素直な方だからか、その身体も刺激には素直に反応した。 そんな姿もまた、僕の中の嗜虐心を煽った。 ここへきてようやく、僕にはあの頃僕を弄り回し抱き潰していた男達の気持ちが分かった。 こんなに可愛く愛しい生き物が目の前にいれば、そうしたくなるのも当然だ。 あの男達にとっては、その対象が僕だっただけで、あの男達にも悪気はなかったのかも知れない。 僕にはそんな風にすら思えた。 ケイト様の恥じらう様子はあまりにも初心で、何ひとつ穢れを知らなくて、僕はそれを毎日ひとつずつ暴いていくことに夢中になった。 ベッドに仰向けるケイト様の上に馬乗りになった僕は、弛む口元をそのままに、指先で弄んでいたケイト様の胸の粒をギュッと潰す。 「ぅぁっ」 ケイト様は僕の与えた刺激に素直に声をあげて、びくりと身体を震わせた。 ああ、なんてお可愛らしいんだろう。 僕に夜毎執拗に犯され続けたその身体は、既にそのあちこちで形を変え始めていた。 初めは捏ねてもなかなか反応しなかった胸の飾りも、すっかり真っ赤に染まり、今ではひと撫でするだけでぷっくりと丸く立ち上がってくる。 「ケイト様、今夜も僕にたっぷりご褒美をくださいね」 僕は腹の底に疼く熱に届くように、ケイト様の物を内側へと誘う。 「ぁ……っ、ケイト様……の……今日も……、気持ちい……です……」 「ん……っ、セリ、ク……っ」 ケイト様はぎゅっと目を閉じて、悲しみに耐えているかのような表情をしていた。 その瞳に見つめてほしくて、僕はゆるゆると腰を揺らしながら、口を開く。 「ケイト様……。僕は今日も……お仕事、いっぱい頑張ってきました……から、褒めて、ください……」 ねだると、ケイト様はそっと目を開けて僕を見上げる。 悲しげな瞳をそれでも少しだけ緩めて、僕に微笑もうとする。 「セリクはいつも、頑張ってるよ……。ずっと……見ていてあげられなくて……、ごめん、ね……」 上がる息の合間からケイト様は僕に謝って、僕の頭を優しく撫でてくれる。 近頃では、ケイト様の両手両足の拘束は、行為の間は解くようにしていた。 逃げられると困るので普段は縛り合わせてあるけど、行為の最中は自由にさせていてもいい。 この方はそれが可能であっても、僕を殴ったりしないからだ。 僕はケイト様の熱く硬い物を自分の好きなところへ押し当てると、夢中で腰を振った。 「ぁ、や、セリク……っ。ダメ、そんな……っ早、ぃ……っ」 追い詰められるケイト様の瞳に涙が滲んで可愛い。 「ケイト、様っ、僕の、中に……んっ、注いで、ください……っ……」 「ぁ、あ、……んっ!」 ケイト様は僕が望む通りに僕の内に熱を吐き出す。 それから、悔しそうに瞳を伏せる。 時には歯軋りさえ聞こえるこのケイト様のご自身を蔑む表情に、僕はたまらなくドキドキしてしまう。 自分のコントロールできない自身の身体を恨んでいるような、そんな仕草がどうしようもなく彼らしくて……。 そんなこと気にせずに、僕の身体にもっと溺れてくれたらいいのに。 そう思う気持ちと、もっと僕の前で無力感に苛まれていてほしい気持ちが入り混じる。 あの頃、僕を拾ってくれたこの人はまるで神様みたいだった。 それが実は元の聖女様だったと知って、僕は納得した。 この方は誰にもできないようなことができるすごい人で、皆の憧れでいつも皆に囲まれていて……。 それなのに今は、僕ひとりに全てを奪われて、どうすることもできずに震えている。 その事実が、僕の支配欲をこれ以上ないほどに満たしてゆく。 「いっぱい、出してくださいましたね……」 僕の言葉にケイト様がびくりと肩を揺らしたのは、罪悪感からだろうか。 「えへへ、ケイト様、大好きです」 僕がぎゅっと胸元に抱き付けば、ケイト様は僕の背を優しく撫でてくれた。 ケイト様も随分と僕との行為に馴染んでくれたみたいだし、それじゃあ今日は、もう一段階、進んでみようかな。 「じゃあ今夜は、ケイト様に入れてみましょうか」 僕の言葉に、ギシリ。と、ケイト様の身体が強張る。 「ぇ………………俺……に……?」 その短い言葉が微かに震えていて、垣間見えたその恐怖心に僕の背はぞくぞくと震えた。 ああ、どうしてケイト様はこうもお可愛らしいんだろう。 「そうですよ」 僕は浄化が使えないので、一般的な洗浄魔法で彼の中を洗う。 「ぁ……、あ……、や、だ、やめ……っ、やめて、セリク……」 体内を洗われる感覚に震えながらもケイト様が訴える。 「大丈夫です。痛くないようにゆっくり解しますからね……」 言って、僕はいつも自分の内側に塗るとろりとした液体を手に取る。 「も……もう、こんな事……」 恐怖に震えるケイト様のお姿は、どうしようもなく僕を煽るだけだというのに。 この方はきっと、まだそれを分かっていらっしゃらない。 つぷ。と指を差し入れる。 ケイト様のお身体が、少しでも僕から離れようと動く。 僕はそれをしっかり押さえつけて、狭いそこへと指を進める。 「や、やめ、やめて、お願い、セリク、もう、やだ、も……ぅ、やめ、て……お願い……だから……」 震える声も、懇願も、涙も、その全てが愛おしい。 僕はふるふると首を振るその方の唇を、ゆっくりと自分の唇で覆い隠した。

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